日本線虫学会誌
Online ISSN : 1882-3408
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41 巻, 1 号
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本報 (英文)
  • 立石 靖, 岩堀 英晶, 上杉 謙太, 桂 真昭
    2011 年 41 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2011/07/29
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    夏播き栽培(秋作)によって後作サツマイモのネコブセンチュウ害抑制が認められているエンバク品種「たちいぶき」における、南九州地域の主要ネコブセンチュウ3種の侵入、発育、および増殖を、対照品種「はえいぶき」と比較した。小型ポットを用いた調査により、「たちいぶき」におけるサツマイモネコブセンチュウ(以下センチュウ省略)およびアレナリアネコブ各3個体群の低い増殖性が示された。アレナリアネコブでは「はえいぶき」における増殖性も低かった。サツマイモネコブとアレナリアネコブ2期幼虫(J2)は、いずれの品種の根にも同様に侵入した。接種30日後の「たちいぶき」根では、好適寄主と比較して、未発育J2と雄成虫の割合が高く、逆に雌成虫の割合が低く、こうした発育特性が両線虫種の低い増殖性をもたらしていると考えられた。キタネコブ3個体群は、「たちいぶき」根へのJ2の侵入もわずかで、増殖も認められなかった。
  • 藤本 岳人, 冨高 保弘, 安部 洋, 津田 新哉, 二井 一禎, 水久保 隆之
    2011 年 41 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2011/07/29
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    植物のジャスモン酸(JA)経路がサツマイモネコブセンチュウ(RKN)の侵入に及ぼす影響をシロイヌナズナの多様な植物ホルモン合成経路変異体を用いて評価した。野生株(WT)とサリチル酸経路欠損体(npr1-1)はジャスモン酸メチル(MeJA)に浸漬すると、無処理時に比べRKNの侵入が有意に低下した。JA経路過剰発現体(sa2-1、sa2-7)に おけるRKNの侵入数は、MeJAを処理した場合も無処理と変わらず、ともにWTへのMeJA処理時と同等であった。RKNの侵入が抑制されたとき、植物のJA経路が活化されており、JA経路の活化とRKNの侵入との間に負の相関があることが 判明した。JA経路欠損体(coi1-1)ではMeJAを処理してもJA関連遺伝子は発現しなかったが、RKNの侵入はWTのMeJA処理時と同等であった。これらの結果から、植物への侵入の際にRKNがJA経路に影響を受けることが示唆された。
短報(英文)
  • 立石 靖, 桂 真昭, 岩堀 英晶, 上杉 謙太
    2011 年 41 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2011/07/29
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    秋作エンバクの播種時期がネコブセンチュウの増加に及ぼす影響を把握するために、熊本県合志市の圃場において、サツマイモネコブセンチュウの増殖に好適なエンバク品種「はえいぶき」および増殖を抑制する「たちいぶき」を栽培し、土壌中のネコブセンチュウ2期幼虫密度の変化を調査した。2006年8月下旬から9月下旬にかけて12日間隔で4つの播種時期を設定し、いずれも12月6日まで栽培した。「はえいぶき」では、8月下旬から9月中旬の3つの播種時期からの栽培において密度増加が認められたが、9月下旬播種からの栽培ではほとんど増加しなかった。また、根におけるネコブセンチュウの卵のう形成数は、播種時期が遅いほど少なくなった。一方の「たちいぶき」では、いずれの播種時期からの栽培においても、栽培後の密度増加は小さいか認められなかった。密度増加率(Pf/Pi)および卵のう形成数は播種時期が遅いほど低くなった。以上の結果から秋作エンバクの播種時期は、栽培後のネコブセンチュウ増殖程度に影響すると考えられた。
研究資料(英文)
正誤表(英文)
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