看護科学研究
Online ISSN : 2424-0052
ISSN-L : 2424-0052
11 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究報告
  • 夏目 美貴子, 太田 勝正
    2013 年 11 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、臨地実習における看護学生の患者情報の取り扱いについて、生じている問題の実態と、その問題に対して必要と考えられる指導について明らかにすることである。研究方法は、実習指導を担当する教員10名に対して半構成的面接を行い、逐語録の内容分析により問題点などを整理した。学生の患者情報の取り扱いに関する問題は、学生個人の問題・カンファレンスの問題・実習場の外での問題の3つに分類された。これらの問題点を起こさないために必要な指導は、学生の理解や情報プライバシーの意識の向上・管理方法の構築・問題が起きた時の対応の3つに分類され、多岐に渡る指導が挙げられ、これらの細かい指導の必要性が示唆された。また、学習効果を考えて各教員や大学で指導法を模索している状況が見受けられた。今後、必要な教育内容に関して了解が得られるような、統一した指導の指針を作成することが急務であることが示唆された。
<特集> 「特定看護師」
特集にあたって
ケースレポート
  • - 血糖コントロール不良の虚弱高齢者事例を通して -
    廣瀬 福美
    2013 年 11 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/11
    ジャーナル フリー
    本報告では糖尿病等をもつY氏への特定看護師 (平成23年度厚生労働省特定看護師 (仮称) 業務施行事業により、導入された事業対象看護師) の介入を通して、介護老人保健施設での特定看護師の役割を考察する。Y氏は特定看護師受け持ち前の2年間に5回の入退院を繰り返していた虚弱高齢者である。グリコヘモグロビン(HbA1c)7%、空腹時血糖値(FBS)150〜200 mg/dlと高血糖であったY氏に定期的な健康評価を行い、医師の包括的指示下で必要時にタイムリーな薬剤変更と栄養調整を行った。Y氏は介入から2年間、病状の変化はあるが入院に至らずに経過している。特定看護師の日常的な健康評価、異常の早期発見、多職種とのチーム連携が入所者の入院を防いだと考える。特定看護師の導入は介護老人保健施設の高齢者の健康管理を強化すると考える。
  • 塩月 成則
    2013 年 11 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/11
    ジャーナル フリー
    本ケースレポートは、プライマリ医療の臨床現場で活動する特定看護師の実践について、日常的な活動における代表的な1症例を通して、1)観察、判断および実践、2)看護の実際を報告し、特定看護師の具体的な実践を明らかにすることを目的とする。症例は60代の女性、II型糖尿病、急激な血糖値の悪化、左下腿の熱感、腫脹、発赤にて受診した。特定看護師は症例に対し鑑別疾患をあげ検討した。検査より蜂窩織炎が確定し、急激な血糖値の悪化についてはI型糖尿病が新たに判明した。特定看護師は心理的なショックを受けた患者に理論的なアセスメントをもとに看護チームと協働した援助を行い、効果的な支援に繋げた。臨床現場において、特定看護師は、看護と医学の視点を通して判断し、多職種と連携・協働しながら患者とその家族にとって効果のある独自のアプローチを創る。今後、さらに特定看護師が医療現場において広く貢献できることが期待される。
  • 光根 美保
    2013 年 11 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/11
    ジャーナル フリー
    訪問看護ステーションで活動する特定看護師は、患者の症状の変化に対応し、身体所見、検査所見から病態を把握し、医師と共通の医学的視点で臨床推論ができ、医師に必要な情報を適切にタイムリーに報告する能力が求められる。また看護職であるため、生活状況、家族状況、心理面など包括的にアセスメントすることも重点に考えている。新規利用者に対しては特に、病態把握と生活を見るため、独自に開発したアセスメントシートを活用している。本報では、頚椎損傷、褥瘡、要介護度5、膀胱ろうカテーテル留置中、高血圧、糖尿病加療中の男性高齢患者が、突然にめまい、悪寒、発熱、手先の痛みの症状を訴えた際、特定看護師として、問診、身体所見からのアセスメントと、患者、家族に対する対応について報告する。症状が急に変化し、不安が特に強いであろう在宅療養者に対して、その場で丁寧な身体診察、情報提供や判断を含めた医師とのきめ細やかな連携の重要性が示唆された。
  • ~褥瘡を有する在宅療養者の症例から~
    村井 恒之
    2013 年 11 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/11
    ジャーナル フリー
    訪問看護部に所属してから、特定看護師として介入した、褥瘡を有する在宅療養者A氏の事例を報告する。A氏は40年前より下半身不随で、蜂窩織炎により入院中に、右臀部に褥瘡を形成したが、本人と妻の希望により、褥瘡が治癒しないまま退院することとなった。退院までには、本人と妻を含めた多職種間での連携会議を開催し、創処置の統一やリハビリ導入を行った。退院後は医師の包括的指示の下、デブリードマンや創傷被覆材の選択、薬剤の調整・変更を行った。創部の画像を見てもらいながらA氏と妻の訴えを傾聴し、肯定的アプローチを実践することでA氏の治療への参加が促され、退院後37日目に褥瘡は治癒した。特定看護師が、療養者と家族の治療参加を促し多職種と連携・協働しながら、局所療法、除圧、栄養管理を行うことで、在宅における褥瘡管理が可能となることが示唆された。
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