日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
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短報
  • 早川 兼司, 三星 知, 須藤 晴美, 忰田 亮平, 成田 一衛
    2022 年 11 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/13
    ジャーナル 認証あり

    CKD患者に対する腎排泄型薬剤の処方は過量投与による副作用リスクが高く、処方監査時には特に注意を要する。病院と診療所では腎機能に対して過量投与が疑われる薬剤の種類が異なる可能性があり、その特徴について調査した。2018年4月から5月に入院した1,630名の中から、除外基準に該当しなかった1,049名の持参薬について、改定45版腎機能別薬剤投与方法一覧に基づき、推奨される投与量よりも過量だった場合に過量投与疑いありと定義した。過量投与疑いがあった患者は66名(6.3%)、過量投与疑いのあった薬剤数は75剤であった。過量投与疑いあり群はCKDステージ2–3群では病院が34薬剤(58%)、CKDステージ4–5群では診療所が10薬剤(63%)を占め、CKDの進行に伴い診療所での過量投与が増加する傾向を認めた。薬効別ではH2遮断薬が11件、糖尿病治療薬が8件、抗アレルギー薬が8件、高尿酸血症治療薬が8件、抗菌薬が7件と過量投与疑いの件数が多かった。糖尿病治療薬の過量投与疑いは病院が有意に多く(P = 0.03)、抗精神病薬の過量投与疑いは診療所が有意に多かった(P = 0.03)。抗菌薬の過量投与疑いはCKDステージ2–3群において診療所が多い傾向を認めた(P = 0.17)。この結果は処方元医療機関の違いにより、腎機能低下時に注意すべき薬剤が異なる可能性を示した。これらを把握することで病院における持参薬の鑑別や保険薬局における処方監査の質を向上させると考えられる。また、過量投与疑いのあった薬剤は、日常的に処方されるものが多かったことから、処方監査時は薬剤の種類を限定せず腎機能を把握しておく必要がある。CKDシールや、院外処方箋への検査値印字、病院と保険薬局の情報共有による薬薬連携により、腎機能の指標となるデータを処方元医療機関もしくは患者本人から確認し調剤を行うことが、薬剤師業務の質を向上させCKD患者における安全な薬物療法を向上できる可能性がある。

症例報告
  • 三宅 瑞穂, 古久保 拓, 吉田 拓弥, 和泉 智, 庄司 繁市
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 11 巻 2 号 p. 179-183
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/13
    ジャーナル 認証あり

    低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬であるロキサデュスタット投与中のみ血中甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低下し、ダプロデュスタット投与中は低下しなかった症例を経験した。

    90歳代女性、CKD G5の患者、過去に甲状腺機能異常の指摘はなかった。腎性貧血治療にダプロデュスタット、ダルベポエチンアルファ、ロキサデュスタットを順に使用した。ダプロデュスタット投与中はTSH 5.950 μIU/mL、遊離サイロキシン(FT4)0.77 ng/dLであった。HD導入時にダプロデュスタットからダルベポエチンアルファに変更し、投与中のTSH 2.830 μIU/mL、FT4 1.14 ng/dLであった。ヘモグロビン7.9~9.8 g/dLと低値で経過し、ダルベポエチンアルファからロキサデュスタットに変更した。ロキサデュスタット開始4日目頃より倦怠感、開始15日目に希死念慮、HD拒否の抑うつ症状が出現した。その症状と過去の報告より、ロキサデュスタット投与に関連した甲状腺機能低下症が疑われた。ロキサデュスタット開始16日目にTSH 0.051 μIU/mL、FT4 0.77 ng/dLとTSHの著明な低下を認めた。開始21日目にロキサデュスタットを中止した。中止7日目頃に倦怠感は軽減し、中止19日後にTSHは正常化した。

    ロキサデュスタットはトリヨードサイロニンと類似した化学構造を有し、視床下部と下垂体の甲状腺ホルモン受容体に作用し、TSH分泌を抑制させると考えられている。本症例は、TSH低下がHIF-PH阻害薬に共通の現象でない可能性を示している。ロキサデュスタット開始後は甲状腺関連検査を実施し、甲状腺機能異常に伴う症状をモニターすべきと考えられる。

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