慢性腎臓病患者は高尿酸血症の合併頻度が高く、血液透析(HD)患者に関しても同様である。本研究では、HD患者の高尿酸血症に対する、非プリン型キサンチンオキシダーゼ阻害薬フェブキソスタットの効果と、その個人差について調査した。1年以上維持HDを施行中で、フェブキソスタットを10 mg/日で開始した血清尿酸値(SUA) 7.0 mg/dL以上の27例を対象とした。フェブキソスタットのSUA低下効果は、投与直前及び1ヶ月後のSUAを比較することにより評価した。フェブキソスタット開始時に、高尿酸血症治療薬が未投与であった患者群を新規群(13例)、2ヶ月以上継続してアロプリノールの投与中であった患者群を切替群(14例)とした。新規群のSUAは、開始前9.7 mg/dL (7.4 〜 11.9)から開始後5.0 mg/dL (3.4 〜 7.1)へ有意に低下した。切替群のSUAは、切替前9.1 mg/dL (7.0 〜 10.0)から切替後6.1 mg/dL (5.1 〜 10.0)へ有意に低下した。フェブキソスタット開始後のSUA変動率は新規群と比較して切替群で有意に小さかった。新規群及び切替群におけるSUA変動率とベースラインの血清尿素窒素(BUN)の間に有意な負の相関性を認めた。切替群を切替前後のSUA変動率の中央値(-22.7 %)で分割した結果、SUA低下が小さかった7例でベースラインBUN及び標準化蛋白異化率(nPCR)が有意に低かった。HD患者へのフェブキソスタット投与は10 mg/日で効果を発揮することが示唆され、過度なSUA低下には注意が必要と思われた。アロプリノールから切り替えたHD患者ではフェブキソスタットの効果が相対的に小さく、HD患者での栄養状態不良を意味するBUN低値及びnPCR低値がフェブキソスタット効果不良と関連する可能性が示された。
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