日本鳥学会誌
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35 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 黒田 長久
    1986 年 35 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    シロハラミズナギドリPterodromaには腸の上半部が手拭を絞ったように捻れているものがあり,下半部は細く複雑な回転をなす.これは,少量の食物をなるべく長く腸に保ち,長時間栄養摂取できる適応と思われ,台風などで体力が消耗したものでは,捻れが伸びて手拭の絞りをゆるめた状態になる.
    この類は,昼間採餌性で餌群に群れ飽食性のミズナギドリ類と小型のためプランクトンなどの餌を分散して常時少量採餌するウミツバメ類との中間にあって,単独性で夜間ハダカイワシや発光イカなどを探し捕食する探索採餌性への適応として,腸の捻れが発達したと考えられる.
    なお,比較腸長(腸長/翼長)は,溜餌する大型種ほど大,少量の餌を短時更新する小型種ほど小,また,餌密度の高い高緯度寒流域に分布する種(越冬•越夏も含め)ほど大,餌密度の一般に低い熱帯留鳥性の種で小,という結果を得た.シロハラミズナギドリは熱帯海域性であり,少量の餌をなるべく長く腸に留め,荒天時の絶食にも耐える適応としても腸の捻転が役立つものと思われる.腸の回転型,捻転部や前胃壁(食性との関連として)の組織学的所見なども加えた.
  • 藤巻 裕蔵
    1986 年 35 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)北海道大学苫小牧地方演習林(北海道苫小牧市)の落葉広葉樹林で1982•1983両年に森林構造ど繁殖期の鳥類群集の関係を調べた.
    (2)調査地では1982-83年の冬に一部の伐採が行われ,胸高直径5cm以上の樹木の密度,基底面積,うっ閉度は1,665/ha,27.65m2/ha,85%からそれぞれ1,060/ha,18.75m2/ha,64%に減少した.
    (3)調査期間中に44種の鳥類が観察されたが,そのうち35種がなわばりを持ち,それ以外の種は一時的に飛来したものであった.
    (4)つがい数の多い種はキビタキ,ヤブサメ,センダイムシクイ,ハシブトガラ,シジュウカラ,ゴジュウカラ,ニュウナイスズメであった.
    (5)1982年と1983年とを比較すると,ホオジロ,アオジ,シメのように開けた環境を好む種のつがい数が増加したが,他の種のつがい数はほとんど変化しなかった.また,平均多様度指数も1982年に4.27,1983年に4.44であった.
    (6)北海道の落葉広葉樹林や針広混交林の鳥類群集との比較を行い,今回調査した鳥類群集の特徴を明らかにした.
  • 内田 博
    1986 年 35 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    (1)1968-84年に,埼玉県中央部の比企•武蔵丘陵を中心とする森林で4種のタカ類(サシバ,ハチクマ,オオタカ,ツミ)の観察を行ない,そのうちサシバ,ハチクマ,ツミの3種の巣の周辺でスズメとオナガが繁殖しているのを確認した.しかし,オオタカには,そのようなことは見られなかった.
    (2)サシバの巣の周辺では,丘陵内ではふつう見ることのないスズメが数番いひんぱんに観察され,サシバの巣から数mの範囲内に巣をつくり繁殖してい虎.調査した11巣中,スズメが見られたのは9例で,合計9巣が確認された.スズメの見られた時期はサシバの繁殖時期と一致し,5月中旬から7月初旬にわたった.
    (3)ハチクマの巣の周辺でもスズメが見られ,繁殖した.調査した6巣中,スズメが見られたのは4例で,2巣が確認された.
    (4)ツミの巣の周辺では,一群のオナガが観察され,周辺数10mの範囲内に複数の巣がつくられた.調査した10巣中,8例でオナガが長期間観察され,オナガが巣の周辺に見られないとされた残りの2例でもオナガがツミの巣の林に短時間現われた.オナガの見られた8例の場所では,合計7巣のオナガの巣が確認された.
    (5)オオタカの場合は,調査した19巣の付近で繁殖する鳥は見られなかった.
  • 今井 光雄, 小沢 重雄, 榛葉 忠雄
    1986 年 35 巻 1 号 p. 33-34
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    The authors observed and photographed a 1st winter Bonaparte's Gull Larus philadelphia at Nakaminato City, Ibaragi Pref. on 14 December 1985. It was seen with flocks of Black-headed Gulls Larus ridibundus. This is the first record of the species in Japan.
  • Mark BRAZIL
    1986 年 35 巻 1 号 p. 34-35
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    北海道では,アオサギを除いて,サギ類の記録は最近まで非常に少なかった.しかし.IIJIMA(1984)は十勝大樹町で数種のサギ類を観察し,とくにアマサギの増加について述べた.筆者も,1986年の5-6月に,根室および釧路支庁管内で5種のサギ類を観察した.これらはいずれも1羽ないし数羽で観察され,観察時期も5-6月に集中しているので,春の渡りのものが北海道にまで北上したと考えられる.
  • 飯嶋 良朗
    1986 年 35 巻 1 号 p. 36-37
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    A single summer plumage White-winged Black Tern Sterna leucoptera was observed at the mouth of the Rekifune River, Taiki, Tokachi Distr., Hokkaido, on 22-23 May 1986. It dove frequently and caught small fish which looked like fry salmon, hovered occasionally, and alighted slowly on the water surface and flew up at once after putting the leg into the water. It appeared that the hovering time of the bird was short compared to a Common Tern Sterna hirundo. Moreover, the bird sometimes showed diving behavior like an Osprey Pandion haliaetus. These habits seemed to be different from those previously reported from Japan (cf. TAKANO 1981).
  • 吉田 和人
    1986 年 35 巻 1 号 p. 37
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    A single individual of Malay. Night Heron Gorsakius melanolophus was photographed at the estuary. of the Nakagawa River, Anan City, Tokushima Pref., on 30 May 1984. This is the first record of the species in Japan outside of the Yaeyama Islands, southern Ryukyus, where it breeds.
  • 室伏 友三
    1986 年 35 巻 1 号 p. 38-39
    発行日: 1986/10/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    Observations of Latham's Snipes Gallinago hardwickii were made at the Sengokubara Moor, Hakone, central Honshu, from 1975 through 1985. They were seen from early April to mid-September, occurring regularly from late April to mid-June. The numbers of birds counted varied from 0 to 6 individuals, usually 1 or 2. During my observations aerial display was seen only once, on 24 April 1979. The birds I observed seemed to be migrating or non-breeding, although they occur throughout the breeding season and had bred regularly in the highlands of central Honshu until about 30 years ago.
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