日本鳥学会誌
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38 巻 , 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
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  • 綿貫 豊
    38 巻 (1989 - 1990) 1 号 p. 1-13
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    オオセグロカモメ Larus schistisagus の繁殖期の食性の個体群内変異を北海道羽幌町の天売島(44°25′N,141°19′E)で1984年と1985年に調査した.オオセグロカモメは種としては'何でも屋'であり,浮魚,底魚(投棄された魚),海産無脊椎動物,海鳥の雛を食っていたが,雄の個体間にはとりわけ大きな食性の変異がみられた.
    この食性の個体群内変異の一部は性差に依存しているようであった.平均的には,雄は雌よりも頻T底魚と海鳥の雛を給餌し,雌は雄よりも頻繁に浮魚と海産無脊椎動物を給餌した.雄は雌よりも大きかった.しかしながら,体の大きさの変異の大部分は性間でみられたのにたいし,食性変異においては性間よりも個体間で大きな変異がみられた.これは食物をめぐる個体群内競争がサイズの性的2型をもたらした主要な究極要因ではなかったことを示唆する.
    海鳥の雛を専門的に捕食するオスは,通常カモメ類(オオセグロカモメとウミネコ,L.crassirostris)の雛を捕食し,他の個体はウトウ Cerorhinca monocerata の雛を捕食していた.オオセグロカモメにとって,カモメ類の雛はウトウの雛よりも,殺すのがより困難な獲物であった.同種の雛を捕食している個体はウミネコの雛を頻繁に捕食した.カモメ類の雛を捕食する時とウトウの雛を捕食する時とでは異なる捕食技術が必要とされるので,これは雄間での捕食技術の個体差を示唆する.
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  • 大迫 義人
    38 巻 (1989 - 1990) 1 号 p. 15-29
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1)1980年から1984年にかけて,鹿児島県の出水•阿久根地方で越冬するナベヅル Grus monacha の群れ構成,分散様式およびなわばり行動について調査した.
    2)早朝荒崎ねぐらを飛び立ったツルのうち,大半はねぐらに隣接する人工給餌場に戻り,そこに日中留まっていたが,約10%の羽数のツルは給餌場外(周辺部)で昼間を過ごし,夕方にねぐらに戻った.そして,夜はすべての個体が共同ねぐらに集結した.
    3)周辺部での5日間のセンサスで,単独個体1羽(1.2%)と2-102羽の大きさの82群(98.8%)を識別した.9羽以下の群れの内,構成羽数は多い順に3羽(36.1%),2羽(16.9%),4羽(14.5%),6羽(3.6%),5羽(2.4%),8羽(1.2%),9羽(1.2%)であった.成鳥2羽から成る群れはつがい,それに1-2羽の幼鳥を伴う3-4羽の群れは家族群と考えられた.5羽以上の大きな群は,単独の亜成鳥,成鳥およびつがい,家族群で構成された混合群であった.
    4)周辺部での群れの終日追跡で,なわばり,定着,放浪の3つの分散様式が観察された.なわばり群と定着群は,つがいと家族群に限られ,放浪群には,単独個体と大群も含まれた.なわばり群の中には,隣のなわばり群には劣位であるが,他の群れは追い出す半なわばり群が存在した.いっぽう,給餌場では,排他性はあるが定着性の低い,または定着できない排他群が観察された.
    5)なわばり行動として警戒,威嚇接近,攻撃および対立が記載された.雌雄でなわばりを防衛したが,攻撃は主にオスが担当した.あるつがいのなわばりの大きさは,54,790m2であった.人間の妨害でなわばりを放棄した例もあったが,数年に亘って維持された例もあり,その永続性が示唆された.
    6)親より独立した亜成鳥と配偶相手を亡くした単独成鳥は,混合群の中でつがいを形成し,一部のつがいは混合群を離れてなわばりを持つと考えられる.
    7)ねぐら近くでは給餌を行い,周辺部では餌が不十分であると考えられるため,なわばりを持つ群れは少数(出水個体群の8.4%以下)であったが,なわばりを持つなら,防衛の効率の点でつがいまたは,家族単位が最も安定していると考えられる.
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  • 古賀 公也, 白石 哲, 内田 照章
    38 巻 (1989 - 1990) 1 号 p. 31-42
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1984年に,長崎県長崎半島の脇岬漁港周辺の丘陵地で,孵化日を知り得た4巣9羽のトビの雛の成長と発育を調べた.その結果は次の通りである.
    1)稠密な幼綿羽は9-12日齢,体羽は18-22日齢に出現した.雛は17-19日齢から両趾で立ち始め,27-31日齢から羽ばたきを開始し,45-47日齢で自から摂餌できるようになつた.
    2)ある種のワシタカ類は1羽の雛を巣立たせ(B1種),またある種のものは2羽以上の雛を育てる(B2種).調査した4巣のうち,3巣では2羽の雛が孵化し,残りの1巣では3羽の雛が孵化した.したがって,トビはB2種に属する.これらの巣のうち,1巣では年少雛は年長雛と等しい速度で成長し,他の2巣では年少雛は年長雛の成長よりも遅れ,残りの1巣では年少雛が餓死した.上記の4巣は餌の得易さに関する条件が同じであることから判断して,親鳥の採餌能力には個体差があり,それが年少雛の成長と生存に影響を及ぼすと考えられた.
    3) それぞれの雛の体重増加曲線をロジスチック式に当てはめた結果,成長速度係数の平均値0.133 を得た.この値は,27種のB2種における成長速度係数:および漸近体重の指数:相関式から予測された値(0.169)との間に有意差を示さなかった.
    4) ワシタカ類では,体羽の出現と立ち上がりの開始は,小型種よりも大型種でより早い成長段階に生じる傾向があった.トビは中型ワシタカ類に属するにもかかわらず,その発育様式は小型•中型 種よりもむしろ大型種に近かった.
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  • 小山 幸子, 本多 素子, 樋口 広芳
    38 巻 (1989 - 1990) 1 号 p. 43-51
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    さまざまな動物に見られる貯食行動は,食糧を隠す行動と隠しておいた食糧を取り出す行動とに分けて考えることができる.この研究では,貯食習性を持つヤマガラを対象にして,心理学でよく使われる学習実験の手法を用い,.食糧を取り出す行動について検討した.すなわち,あらかじめ定めたヒマワリの隠し場所に自印をつけておき,その場所に対して,ヤマガラが掌習完成基準以上に反応するようになってから,6種類のテストを行った.テスト1とIIでは,目印を別の場所に移動させた.テストIIIとIVでは,もともとの目印のほかに更に目印をふやした.テストVでは実験装置の全箇所に目印をつけた.そして,テストVIでは目印をまったくつけなかった.その結果,テスト1とIIでは,144試行中78.5%は移動された目印の方に反応した.テストIIIとIVでは,36試行中97.2%は目印のある場所に反応した.そしてテストVとVIでは,反応は分散されて,もともとの学習位置に対する偏好は見られなかった.これらの結果は,ヤマガラでは隠された食物の位置の記憶に目印が重要な役割を果たしていることを示唆している.
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