1)巣立ち前あるいは巣立ち直後期の41羽のマミジロアジサシの雛•幼鳥から得た吐出物を調べ た.調査は,1986年と1987年に八重山諸島の仲ノ神島で行った.
2)41羽からの吐出物には合計204個体の食餌動物が含まれ,その内容は魚類190,イカ類13,昆 虫類1個体であった.
3)主要な食物であった魚類の標準体長は,6cm以下のものが97%であった.
4)食餌動物の重要度は,Relative Importance Indexによって求めた.上位の科を順にあげると,トビウオ科,ニシン科,アカイカ科,マツダイ科,アジ科,であった.全体としては,特定の食餌動物 に偏ることなく,様々な分類学上のグループの魚類•イカ類を捕食していた.
5) 食餌動物のうち,流れ藻に随伴することが知られている魚類が,幼鳥41羽のうち17羽 (41.5%)から,合計75個体検出された.すなわち,検出された204個体の食餌動物のうち37%が流 れ藻随伴種であった.
6) 各種食餌動物の出現状況とその生態的知見から本種の食性と流れ藻等の漂流物との関係を検討 した.
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