日本鳥学会誌
Online ISSN : 1881-9710
Print ISSN : 0913-400X
ISSN-L : 0913-400X
40 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 森岡 弘之
    1992 年 40 巻 3 号 p. 85-91
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    フィリッピン産 Prionochilus 属の2種のハナドリ類の舌を調査し,再記載した.この舌(Fig.1)は,比格的肉質で厚く,上面はむしろ平らで,先端がささくれている.ハナドリ科の中では原始的な Melanocharis 属の舌(Fig.2)に構造•形状ともきわめてよく似ている.
    いっぽう, Dicaeum 属のハナドリ類の多くの種では,舌の前半部は薄い角質で,2部に分かれ,ひも状ないし半管状の突起を形成している(Figs.3-7).もっとも特殊化の進んだ Dicaeum nigrilore の舌(Fig.10)は,先端が6部に分かれ,その外縁にはブラシ状の毛がある.しかし, Dicaeum 属の中でも嘴の厚い種は, Melanocharis 型の単純な舌を持つ(Figs.13-15).
    一般に,より特殊化した型の舌は嘴の細長い Dicaeum 属のハナドリ類に見出されるが,例えば Dicaeum celebicum のように,嘴が細長くても Melanocharis 型の舌を持つものがある(Fig.11).
    Prionochilus 属の舌は,明らかに花蜜や花粉の採食に適応していない.したがって,彼らの食性は, Melanocharis 属の場合と同様に,小果実•漿果•種子などを主とし,昆虫類やクモ類も食べていると考えられる.
    舌の形態からみると, Dicaeum 属の多くの種は花蜜食に適応している.しかし,ハナドリ科にはタイヨウチョウ科のように完全に管状の舌を持つものはなく,花蜜や花粉は彼らの食物の比較的小部分を占めるにすぎないであろう.もし花蜜や花粉が主食であるならば,管状の舌が進化したに違いない.
    ハナドリ科では,舌は果実食の Melanocharis 型から,花蜜食も可能な先端の分かれたもの(Dicaeum 属の大部分の種)へと進化したが, Prionochilus 属や Dicaeum 属の一部の種では,何らかの理由で花蜜食の必要がなかったために,原始的な形態の舌がそのまま残ったと推察される.
  • 金 昌會, 山岸 哲, 元 炳旿
    1992 年 40 巻 3 号 p. 93-107
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    非繁殖期におけるダルマエナガの社会構造を,韓国京畿道南楊州郡東国大学演習林において,1988年4月から1989年9月まで調べた.群れは年中見られたが,番は3月から8月に限られていた.群れサイズは,秋を通じて増加し,冬には安定した.10月から1月には,本流域に存在する3つの冬期群(本流群)と,支流域に存在するいくつかの冬期群(支流群)が認められた.本流群の行動圏は,川沿いに配列しており,互いにある程度重複した.群れの出会いは,本流群間より本流群と支流群間に頻繁に起った.繁殖期には,冬期群の群サイズは徐々に減少した.番は,同一冬期群の個体間で形成され,冬期群の行動圏内に営巣した.調査地域内で生まれた幼鳥の多くは巣立後数か月以内に調査地域外へ分散し,調査地域外から別の幼鳥が定着した.繁殖場所に留まっていた繁殖鳥は,おもに調査地域外の幼鳥と群れを形成した.
  • Atsushi MITANI, Yuzo FUJIMAKI
    1992 年 40 巻 3 号 p. 109-111
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    野外ケージで飼育され齢の明らかなエゾライチョウ9羽,標識により齢の明らかなハシボソガラス5羽を用い,下顎骨の外基礎層板に形成される層構造に基づいて齢査定を行なった.各標本の下顎骨を蟻酸(5%)で脱灰した後,厚さ10μの切片を作成,デラフィールドのヘマトキシリンで染色し,光学顕微鏡(100×)で検鏡し濃染色層の数を数えた.各個体について数枚を調べ,そのうち最も多い濃染色層の数と齢とを比較した.2種とも1歳未満の個体では下顎骨に外基礎層板は見られたが,濃染色層は見られなかった.1歳以上の個体ではすべて濃染色層が見られ,その数は越冬回数とよく対応した.骨に形成される層構造と齢との対応については否定的な見解もあるが,今回2種について調べた結果では層構造と齢はよく対応した.
  • 藤岡 正博
    1992 年 40 巻 3 号 p. 112-113
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    Sano (1990) stated that "one male and two young of the House Sparrow Passer domesticus were found on Rishiri Island." Evidence he presented, however, is too weak to exclude the possibility that the two birds were juveniles or females of another native species, the Cinamon Sparrow, Passer rutilans.
  • 佐野 昌男
    1992 年 40 巻 3 号 p. 113-114
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
feedback
Top