日本鳥学会誌
検索
OR
閲覧
検索
46 巻 , 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
  • 中村 浩志
    46 巻 (1997 - 1998) 2 号 p. 95-110,136
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    小笠原諸島に生息するオガサワラカワラヒワ Carduelis sinica kittlitzi は,カワラヒワの一亜種として知られているが,近年生息個体数の減少が懸念されている.かつて生息していた小笠原群島の婿島列島,父島列島,硫黄島列島の北硫黄島と中硫黄島では最近見られず,現在生息が確認されているのは母島列島と硫黄島列島の南硫黄島のみである.オガサワラカワラヒワの現状とこの亜種の生態を明らかにするため,1996年12月と1997年4月にそれぞれ約10日間ほど,母島本島とその属島において調査を行った.
    オガサワラカワラヒワは,12月,4月ともに母島本島では観察されず,その属島である向島,姉島,妹島,姪島で観察された(図3).また,これまで巣は未発見であったが,4月の調査で姉島で繁殖中の巣を計3巣,姉島と向島で古巣を計6巣発見した(図4,表1).これらのことから,オガサワラカワラヒワの主な繁殖地はこれらの属島であることが明らかされた.抱卵中の2巣の卵数は3卵と4卵で,本土の亜種のカワラヒワに比べ一腹卵数が少ない傾向にあることが示唆された(表2).しかし,一卵あたりの大きさ(重さ,長径,短径)は,本土のカワラヒワより有意に大きかった(表3).オガサワラカワラヒワは,これら属島の乾性低木林(高さ2m以下の常緑樹)のある場所で主に観察され,林内では観察されなかった.採食は,繁殖期には乾性低木林の主に地上で観察された.乾性低木林は属島に多く見られ,オガサワラカワラヒワの生息分布は,乾性低木林の分布とよく一致していた(図3,表4).4月の繁殖期に計18羽(雄12,雌6)を捕獲し,体重や体の大きさを測定すると共に,4羽の「そのう」から餌を採集した.採集された餌のほとんどは,乾性低木林の代表種であるムニンアオガンビ Wikstroemia pseudorefusa の種子であった.カワラヒワの体の大きさと体重は,北で繁殖する個体群ほど大きい傾向をもっている.最も南で繁殖するオガサワラカワラヒワの体重,翼長,尾長は,この傾向に一致し,最も小型であったが,嘴峰長とふしょ長は,体の割に長い傾向を持っていた(図5).特に嘴は,長さだけでなく嘴全体が本土の亜種よりも大型化していた(表6).
    以上の結果から,以下の3点について論議を行った.(1)オガサワラカワラヒワは,乾性低木林に著しく適応しており,体が小さい割に嘴が大きいのは,本来の草本の種子が得られず,木の実といった大型の種子食へ適応した結果と考えられること,この適応のため,人の移住により開けた環境が増加しても,本来の草本の種子食には戻れず,乾性低木林が失われると共に生息数が減少したと考えられることを論じた.(2)体の小型化,一腹卵数の減少は,小笠原の亜熱帯気候への適応と考えられること,卵の大型化は,餌の得にくい環境への適応と考えられることを論じた.(3)繁殖終了後の夏の時期,属島から母島本島へ移動するのは,換羽と関係した移動であり,夏の時期,属島では水や餌が得にくくなるためと考えられることを論じた.
    抄録全体を表示
  • 木下 愼
    46 巻 (1997 - 1998) 2 号 p. 111-120,137
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    北海道においてノビタキ Saxicola torquata は夏鳥であり,農耕地や自然草地において豊富に見られ採餌やさえずりにとまり場を利用する.(Nakamura et.al.1968,Greig-Smith 1983,Fujimaki 964,Fujimaki & Takami 1986).ノビタキのハビタットの植生について簡単に説明した論文はあるが,なわばり内の植生タイプ構成や異なった植生タイプの利用については記述されていない.この論文はノビタキの行動圏の植生的な特徴と,異なった植生タイプの利用について記述した.
    調査は1990年に北海道帯広市の南部,札内川河川敷(42°52′N,143°11′N)で行った.調査地を25m×25mの区画に分け,各区画を植生の構造的特徴と優占した植物種に基づいて5つの植生タイプに分類した(Fig.1).タイプ1:背の高い植物(ススキ Miscanthus sinensis, ヨシ Phragmites communis, オオイタドリ Polygonum sachalinense)のバッチが低いイネ科草本(ナガハグサ Poa pratensis, オオアワガエリ Pheleum pratense)と混ざり合った植生,タイプ2:背の高い植物(セイタカアワダチソウ Solidago altissima, メマツヨイグサ Oenothera biennis, オオヨモギ Artemisia montana)が低いイネ科草本(ナガハグサ,オオアワガエリ)のなかに一様に点在している植生,タイプ3:ヤナギ科 Salicaceae の低木林.4:低いオオアワガエリ,5:高い植物(セイタカアワダチソウ,オオヨモギ,ススキ,ヨシ)が密生,巣を発見し,巣のあった区画の植生タイプを決定した.調査地にいた6つがい(A~F)と1羽のつがいになっていない雄について1回目繁殖の抱卵期に各雄を2時間追跡し,とまった場所を地図上にプロットし,行動圏に含まれる植生タイプを明らかにした.ノビキタによって頻繁に利用される植生タイプを調べるため,各繁殖ステージにおいて4:00から20:00まで2つがい(A,B)と1つがい(C)の雄の位置を1分ごとに地図上に記録し,さえずり回数を数えた.さえずり活動とその他の活動は分けて分析された.行動圏とソングエリアは最外郭を結んだ線で囲まれた区画と線上の区画を合わせたものとした.
    巣があった区画はタイプ1が最も多く69.2%(13巣中9巣)を占めた.7つの行動圏ではどれもタイプ1あるいは2が主要な植生であった(Figs.2,3).雄3羽の行動圏サイズは繁殖ステージとともに変化したが,行動圏内の植生タイプ構成比に変化はなかった(Fig.4).ソングエリア内の植生タイプの構成比は行動圏内の植生タイプの構成比と類似し,繁殖ステージにともない変化しなかった(Fig.4).
    雄のさえずり以外の活動のタイプ1における活動密度は,雄A,B,Cについてすべての時期で期待値(=行動圏内の1区画あたりの平均観察回数)と有意に異なった(Fig.5).雄Bは巣立ち期にタイプ1よりタイプ2と5を頻繁に利用した(Fig.5).雄Cは抱卵期にタイプ2と3を,巣立ち期にタイプ2をそれぞれ期待値より高く利用した(Fig.5).
    さえずり活動では,雄A,B,Cは,雄Cの巣立ち期を除いてすべての時期で期待値よりも頻繁にタイプ1を利用した(Fig.6).雄Aは抱卵期にタイプ1よりもタイプ3においてより活発にさえずった(Fig.6).雄Cは抱卵期にタイプ1,2,3を,巣立ち期にタイプ2を期待値より多く利用した(Fig.6).
    雌A,Bはすべての時期においてタイプ1を期待値よりも頻繁に利用した(Fig.7).雌Bは抱卵期と巣立ち期にタイプ3,4,5よりもタイプ2を頻繁に利用した(Fig.7).
    本研究におけるハビタットの特徴は散在したとまり場という点において,他の地域のハビタットの特徴と類似した.活動における行動圏内の各植生タイプの利用を見ると,唯一タイブ4がどの個体によってもほとんど利用されなかった.タイプ4と他のタイプとの違いはとまり場の有無である.ノビタキは採餌やさえずりにとまり場を利用するので,タイプ4の利用が低いのはとまり場の不足によるものであろう.すべての個体がタイプ1と2をどの時期もよく利用した理由は彼らの採餌方法と関係があるかもしれない.彼らの採餌方法(とまり場から地面への飛び降り)はとまり場間の近い植生空間を必要とする.それ故,タイプ1と2は行動圏としてより好まれたのかもしれない.本研究の結果は,ハビタットとして好まれた散在したとまり場のある植生以外にも,林や高茎植物が密生した植物でもノビタキが活動することを示した.
    抄録全体を表示
  • 山内 可奈子, 山崎 里実, 藤巻 裕蔵
    46 巻 (1997 - 1998) 2 号 p. 121-131
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    北海道帯広市の住宅地の公園や農耕地内の残存林など11か所で,1993年の4~9月にアカゲラとコアカゲラの生息状況と生息地,営巣木,巣穴の特徴を調査した.アカゲラの1調査(30分)当たりの観察個体数と営巣数は緑地面積が大きくなるほど多くなったが,コアカゲラではそのような関係は見られなかった.巣立日はアカゲラで6月23日~7月25日,平均7月2日,コアカゲラでは7月3日~7月20日,平均7月11日でアカゲラより遅かった.営巣木の樹高,巣地上高,胸高直径,巣穴位置の幹直径の平均値はアカゲラでそれぞれ13.6m,3.7m,35.7cm,28.2cm,コアカゲラで8.0m,3.0m,11.0cm,26.6cmであった.アカゲラの営巣木は生立木,枯死木がほぼ同数であったが,コアカゲラは枯死木だけに営巣していた.農耕•住宅地域でこれら2種の営巣環境を保全するために,小面積の孤立林,枯死木を残す意義がある.
    抄録全体を表示
  • 浅川 満彦, 谷山 弘行, 中出 哲也, 亀谷 俊也
    46 巻 (1997 - 1998) 2 号 p. 133-135
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1997年2月,北海道千歳市で鉛中毒で死亡したオオハクチョウ Cygnus cygnus の腹気嚢から Cyclocoelidae 科吸虫が発見された.形態学的検討により,Hyptiasmus sp. と同定された,本邦の野生 Cygnus 属から Hyptiasmus 属を含む Cyclocoelidae 科吸虫が発見されたことは今回が初めてであった.また, Cygrzus 属から Hypfiasmas 属が発見された報告はニュージーランド産コクチョウ Cygnus atratus のものに次ぐ,第2番目となった.吸虫の被嚢幼虫メタセルカリアを体内に宿した淡水産あるいは陸産巻貝を,鳥類が餌植物と一緒に経口的に取り込むことにより感染が成立することから,今回の感染が本邦で起きた可能性も示唆された.少数寄生では宿主に与える影響は小さいと考えられるが,メタセルカリアの検出を含めた疫学的調査が望まれた.
    抄録全体を表示
  • 46 巻 (1997 - 1998) 2 号 p. 156
    公開日: 2008/09/11
    ジャーナル フリー
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top