日本鳥学会誌
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47 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
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  • 上田 恵介
    47 巻 (1998 - 1999) 3 号 p. 79-86
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    小笠原におけるこれまでの研究で,著者はメジロ Zosterops. japonica がアオイ科のハイビスカス Hibiscus cvs. とウナヅキヒメフヨウ Malvabiscus arboreus var. penduliflorus, そしてベンケイソウ科 Crassulaceae のセイロンベンケイ Bryophyllum pinnatum (Lam.)Kurzの花から盗蜜を行っていることを発見した.そこで日本の他地域のメジロ個体群が,同様の行動を示しているかどうかを見るために,小笠原同様にハイビスカスが植栽されている日本南部の島々および台湾で,メジロの盗蜜行動の有無を調べた.
    1)1991~1998年の8年間に伊豆•小笠原諸島と屋久島から奄美•沖縄諸島および台湾にかけて,計21の島の合計49地点で植栽されているハイビスカス(花数にして6413花)の盗蜜痕を調べた.
    2)調査地域北部の伊豆大島,三宅島,八丈島,屋久島,トカラ列島といった北緯29.以北の島々では,盗蜜痕はまったく発見できなかった.
    3)奄美大島,徳之島,与論島,沖縄島,台湾では盗蜜による花の被害率は高く,徳之島では8割近い花が,また台湾でも7割近い花がメジロによる盗蜜を受けていた.
    4)調査した花のうちメジロの盗蜜を受けていた花は全体では30.4%で,ハイビスカスへの盗蜜痕が見つかっていない島々を除くとメジロが盗蜜行動を示している島々では,ほぼ半数近くの花が被害を受けていることがわかった.
    5)大東諸島の南大東島,八重山諸島の石垣島,西表島では盗蜜の痕はほとんどなく(西表島での不確実な1花のみ),宮古諸島でも非常に少なかった(3島の平均は4.7%).
    6)春の調査で盗蜜痕が発見された沖縄島では,夏~秋の調査では盗蜜痕が見つからなかった.
    7)セイロンベンケイについては小笠原諸島以外ではまったく盗蜜痕はみられなかった.
    8)メジロの地域個体群(亜種)との関連では,シチトウメジロとシマメジロ,ダイトウメジロは盗蜜行動を示さず,リュウキュウメジロとヒメメジロ,そして小笠原諸島の個体群のみが盗蜜行動を行っていることがわかった.
    9)奄美から台湾にかけて分布するリュウキュウメジロとヒメメジロ個体群と小笠原のメジロ個体群の間に個体の交流があるとは考えられず,盗蜜行動はそれぞれの地域個体群で,固有に発現して.いる行動と考えられる.
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  • 千葉 晃, 渋谷 信雄, 本間 隆平
    47 巻 (1998 - 1999) 3 号 p. 87-96,129
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    散弾の経日摂取による野生鳥類の鉛中毒は欧米を中心に世界各地で知られており,猟野と周辺の水底•地表に蓄積された多くの鉛小粒は,ガンカモ類への脅威になっている.我が国における水禽類の鉛汚染は,北日本各地から収集された斃死ハクチョウ類の化学分析(Honda et al.,1990)によって明らかにされ,1989年と1990年に北海道宮島沼で集団発生した本症については,詳細な病理学的研究(Ochiai et al.,1992,1993)が進められ,治療も試みられてきた(Murase et al.,1992).しかし,近年実施されたモニタリング調査は水禽類の鉛汚染が全国規模で広がっていることを示している(神他,1997)このような折,1997年11月20日に新潟県福島潟で発見されたオオヒシクイの死体1羽を剖検し,化学分析を進めた結果,死因を急性鉛中毒と特定できたのでその概要を記述•報告した.
    供試材料は,該当死体1羽(体重2.6kg)と対照3羽(事故死体,5.0-5.6kg;千葉•本間,1998)の合計4個体である.計測の後,各臓器を剖検•摘出し,10%緩衝フォルマリン液とカルノフスキー氏液で固定した.そして,常法によって処理し,各種顕微鏡標本を作成し,光学顕微鏡と電子顕微鏡下で検索した.血液と臓器の鉛濃度は,硝酸と過塩素酸で処理した後,原子吸光分光光度計で定量した.また,鉛の安定同位体の相対値は誘導結合プラズマ/質量分析計による定量結果から求めた.
    本個体には外傷がなく,体重は対照の約1/2で胸筋の萎縮が著しかった.しかし,鉛中毒症でしばしば見られる緑色下痢便による腹部の汚れは認められなかった.肝臓は萎縮傾向を示し,胆液鬱滞による暗緑色の変色部が各所に見られた.胆嚢は肥大しており,内部に充満する胆液は正常時より明らかに高粘稠であった.十二指腸を中心に小腸も緑色に変色しており,胆液の管腔内滞留が察知された.前胃と砂嚢は餌植物で充満しており,注意深く調べた結果,その中から散弾粒6個(直径約2.5-2.8mm)を回収することができた.心臓は浮腫の兆候を示し,肺は淡色を呈していた.組織学的観察の結果,肝臓と脾臓には顕著なヘモジデリンの沈着(ヘモジデローシス)が見られ,軽度の沈着は腎臓でも認められた.ヘモジデリンの沈着は,肝臓ではクッパー細胞,脾臓においては赤脾髄における大食細胞で顕著であり,赤血球の大量崩壊に因るものと推察された.また,電子顕微鏡観察により,肝細胞の異常も明瞭であった.該当個体の血液と各臓器の鉛濃度はいずれも対照値より高く,血液中の値(11μg/ml)は鉛中毒の診断値(4μg/ml)や推定致死濃度(3-6μg/ml)をはるかに越えていた.また,肝臓の鉛濃度は41μg/gで対照より400倍高く,腎臓(27μg/g)で119倍,肩甲骨(170μg/g)で38倍,胸筋(0.80μg/g)で24倍,そして小腸(16μg/g)で16倍高い事がわかった.この事例は,我が国における水禽類の鉛汚染の広がりを示しているように思われる.
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  • 江口 和洋, 天野 一葉
    47 巻 (1998 - 1999) 3 号 p. 97-114
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    日本への鳥類の移入定着の成功を決定する要因と帰化個体群の在来鳥類群集に与える影響について,ニュージーランド,ハワイ諸島,マスカレーニュ諸島での鳥類移入の資料を基に考察した.日本への鳥類の移入では狩猟目的のキジ目,ペット目的のオウム目,スズメ目(カエデチョウ科,ハタオリドリ科)が大半を占ある.狩猟目的の組織的な放鳥のあったコウライキジ,コジュケイを除いて,ほとんどが事故ないし意図的な逸出である.帰化個体群を定着させたと考えられる種はコウライキジ,コジュケイ,ドバト,ワカケホンセイインコ,カオグロガビチョウ,ガビチョウ,ソウシチョウ,ベニスズメ,ハッカチョウ,カササギである.定着成功種は食性の幅が広く,開けた環境を好む.例外的に,ガビチョウとソウシチョウは近年落葉広葉樹林内で個体数を急激に増加させている.現在のところ,移入種が原因で在来種の個体数減少を引き起こしたと確認された例はない.移入種との交雑,餌資源や営巣場所をめぐる競争,伝染病など在来種への悪影響のおそれがある.外来種の輸入状況,移入先での生活史,個体群動態などの情報が絶対的に不足している.
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  • 東條 一史, 中村 秀哉
    47 巻 (1998 - 1999) 3 号 p. 115-117
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    Introduced Red-billed Leiothrix have recently invaded into Japanese forests. We collected fecal samples from Red-billed Leiothrix in autumn 1993 on Mt. Tsukuba, central Japan. 217 seeds were found in the samples, representing 10 species of canopy trees, shrubs, vines and understory herbs. The majority of the seeds were from berries, but we also collected a nut from Carpinus tschonoskii. Since nuts have no fruit pulp and leiothrix seems not to be able to digest seeds, the Carpinus nut was probably swallowed accidentally. However, such accidental feeding on nuts by frugivorous birds may still result in effective seed dispersal. The occurrence of a diversity of seeds in Red-billed Leiothrix fecal samples suggests that this species may affect plant communities in areas which it has invaded through seed dispersal.
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  • 波多野 幾也
    47 巻 (1998 - 1999) 3 号 p. 119-120
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    In Nov.1994, the Japn Falconers Association constructed two manmade nests for Goshawk in the hilly districts of the western part of Tokyo. One was used by a pair of Goshawk during the 1995 breeding season. The nest (Fig.1), about 1m in diameter, was set at the height of about 18m in a fir tree. The pair succeeded in laying egg and having them hatch, but the young were lost before leaving the nest.
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  • 福居 信幸, 上田 恵介
    47 巻 (1998 - 1999) 3 号 p. 121-124
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    Fruit of the Chinese tallow-tree Sapium sebiferum have white sarcocarp and dehiscence in autumn. The sarcocarp dries on the branch soon after the dehiscence. We observed eight bird species eating the fruit of S. sebiferum. Two species of crows Corvus corone and C. macrorhynchos, the Grey Starling Sturnus cineraceus and the Brown-eared Bulbul Hypsipetes amaurotis swallowed the fruit and excreted the seeds. The Tree Sparrow Passer montanus, the Great Tit Parus major and the Oriental Greenfinch Carduelis sinica took only a small part of the sarcocarp and left the seeds on the branch.The Turtle Dove Streptopelia orientalis took a lot of fruits and digested the seeds.The Tree Sparrow, the Great Tit, the Oriental Greenfinch, and the Turtle Dove are not seed dispersers, but a kind of seed parasite or predator.
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  • 飯田 知彦
    47 巻 (1998 - 1999) 3 号 p. 125-127
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    クマタカは日本の森林生態系の頂点に位置する動物である.従来,クマタカが出現した時のニホンザルの反応などから,クマタカによるニホンザルの捕食が考えられ,また,確認例もあった.今回,クマタカによるニホンザルの捕食と思われる事例を確認できたので報告する.死亡直後のニホンザルの死体の横から,クマタカの成鳥が飛び立ち,その後数日間にわたりクマタカがその場所に現れ,ニホンザルは白骨になった.死亡直後の状況から,ニホンザルは子連れの雌と考えられたが,骨格を採取し京都大学霊長類研究所に鑑定してもらったところ,7歳程度の雌の成獣と判明し,現場の状況と一致した.また,採取した骨格には,クマタカの爪で付けられたと思われる,通常はみられない複数の細い傷があった.これらを含め,以下の5つの点から,そのニホンザルを捕食したのは,クマタカの可能性がきわめて高いと判断される,(1)現場は,車が入ることのできる道はなく,交通事故死のニホンザルの可能性はなく,また,有害鳥獣の駆除も行なわれていないので,その可能性もない.(2)死体の状況から,栄養状態は良好であったので,衰弱死等の可能性はない.(3)また,現場に多数のニホンザルの毛が残されていたこと,また,子ザルの状況から,ニホンザルはその場で突然死亡したと考えられる.(4)死亡直後のニホンザルに出血がほとんど見られなかった点は,猛禽類に襲われた時の特徴と一致する.(5)鑑定結果の,頭骨に残された傷は,猛禽類の爪で付けられたものと思われ,また,ニホンザルに致命傷を与えたと考えられる.採取した骨格から,捕食されたニホンザルは比較的大型の雌の成獣で,体重は約9.4kgと推定された,以上のことから,クマタカは,ニホンザルを捕食しており,捕食可能な動物の大きさは,約10kg程度まで可能なことになる.
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