日本鳥学会誌
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49 巻 , 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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  • 内田 博, 永田 尚志
    49 巻 (2000) 1 号 p. 1-8
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1989年から1995年にかけて埼玉県の中央部を流れる都幾川河川敷で,セグロセキレイの標識個体群を追跡し,冬期の採食なわばりの位置を調査した.
    1.個体群中で成鳥の占める割合は53~62%であり,新規加入個体はほとんど亜成鳥であった,
    2.いったん調査地内に定着した個体は雌雄とも高い定住性を示し,連続した年間のなわばりの平均移動距離は78.1±17.9m(n=96)であった.雄でなわばりへの執着性が強い傾向がみられたが,繁殖分散距離に雌雄差および年齢差は認められなかった.
    3.調査地内での最長生存個体は,雄6歳,雌7歳であり,野外での最長寿命は7年以上であった.
    4.セグロセキレイの年生残率の推定値は,ラック法で0,58±0.02,ホールデン法で0.63±0.02であった.雄の年生残率がやや高い傾向があったが,統計上の有意差はなかった.
    5.個体群中の成鳥の割合(53~62%)と生残率の95%信頼推定幅0.54~0.62は一致していて,都幾川のセグロセキレイの個体群は安定齢構成に近いと考えられた.
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  • 松長 克利, 松田 あおい, 福田 弘巳
    49 巻 (2000) 1 号 p. 9-16,63
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    アオサギの繁殖地は国内に広く確認されており,近年その分布域の拡大が報告されている(日本野鳥の会1994).しかし,より詳細なデータにもとづく地域レベルでのコロニー動態については,国内では成末(1992)を除いて報告が無い.今回調査を行った北海道は,島であり繁殖期間中の地理的独立性が高いと考えられる.このため,コロニーの変遷過程を北海道のみの閉じた系の中で分析できるという利点がある.また,北海道はこれまで報告のあるヨーロッパ(Voisin1991)や国内の他地域にくらべ人間による開発の歴史が比較的浅い.したがって,人為的な環境の改変がほとんどなかった初期の段階からコロニーの変遷過程を追うことが可能である.これまで北海道では1990年から1992年にかけ,現存コロニーについての調査は行われたことがある(Matsunaga 1992)が,コロニーの変遷については十分な論議がなされてこなかった.今回,さらに包括的な情報収集と現地調査により,1960年から1999年までの40年間に北海道に成立したコロニーについて,分布の変遷過程の概要を把握することができた.
    北海道では,これまで66のコロニーが確認され,このうち13ヶ所は既に消滅した.コロニー数は1980年頃を境に急増する傾向にあり,その前後の年間のコロニー増加率は,前半が0.40ヶ所であったのに対し,後半は2.05ヶ所であった.一方,コロニーの規模は,前半がコロニーあたり170.5巣であったのに対し,後半は48.4巣と小さくなっていた.また,コロニーは1960年当初は餌場環境の良い沿岸地域に分布していたが,近年,より餌場環境の貧弱な内陸へと分散する傾向が見られた.また内陸系コロニーの平均営巣数は48.8巣であり,沿岸系コロニーの107.0巣にくらべると規模が小さかった.
    北海道におけるコロニー数の増加と分布範囲の拡大傾向は,気候や人為的な影響で利用可能な餌場が増えたことによる自発的な分散と,営巣環境の悪化による強制的な移動分散が原因であると推測される.北海道のコロニー分布の変遷は,1960年代までに成立していた沿岸地域のコアコロニーが周辺環境の変化にともなって,サテライトコロニーを内陸へ向け放出したプロセスとみなすことができる.サテライトコロニーは,餌場の質や量が劣ることや,人為的な餌資源や人工の営巣場所に依存しているなどの点で,環境の変化に対し脆弱であると考えられる.一方,自然環境下に広大な餌場をもつコアコロニーは,それ自体安定性が高く,サテライトコロニーの供給源としての性格ももつと考えられる.したがって,アオサギ地域個体群の効率よい保全を進めてゆく上で,コアコロニーの保全対策は最優先すべき課題であろう
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  • 清水 義雄, 中村 雅彦
    49 巻 (2000) 1 号 p. 17-30,64
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    鳥類の混群形成の意義には,相利共生,片利共生,寄生の3種類がある.カモ類の採餌混群では,随伴種は中核種の採餌行動により利用可能となった餌を採餌することで採餌効率を上げ,中核種は随伴種による明確な悪影響を受けないことから,混群形成の機能的な意義は片利共生とされてきた.渉禽類やスズメ目鳥類の混群では,混群サイズの増加にともない餌をめぐる競争や攻撃頻度が増大するため,随伴種のみならず中核種も採餌効率が下がること,人為給餌による餌量の増加は混群形成を抑制することがわかっている.しかしカモ類では,実験的に餌量を操作し,餌量の違いが混群形成の様式,混群サイズ,種間順位,各構成種の採餌行動に与える影響を明らかにした研究はない.そこで本研究は,非繁殖期に混群を形成するコハクチョウ,ホシハジロ,オナガガモに人為給餌を施し,人為給餌前後の混群形成の様式,採食行動,社会行動を比較することにより,餌量が混群形成の機能的意義に与える影響を明らかにすることを目的とした.
    調査は1996年10月15日から12月28日まで長野県南安曇郡豊科町の犀川貯水池で行なった.貯水池の一部に実験区を設定し,約30kgのイネの種子やもみがらを1日3回与え,餌量を操作した.群れは,単独,同種群,コハクチョウとホシハジロの2種混群,コハクチョウとオナガガモの2種混群,ホシハジロとオナガガモの2種混群,3種混群の6つのタイプに分け,人為給餌前後で各群れタイプの個体数を記録した.人為給餌前後の追従関係,混群タイプの構成割合,採餌割合,攻撃頻度を比較するため,コハクチョウ25個体,ホシハジロ22個体,オナガガモ21個体を一個体当たり8~13分間連続してビデオカメラで録画し,行動を分析した.各種の採餌テクニックや採餌頻度は,群れタイプで異なることが予想されたので,各群れタイプに属するコハクチョウ109個体,ホシハジロ91個体,オナガガモ79個体を一個体につき約5分間ビデオ録画し,人為給餌前後で採餌テクニックと採餌頻度を分析した.
    採餌混群は,人為給餌前後とも,コハクチョウが首入れ採餌をする前に水中を脚で頻繁にかき回すときに形成された.脚のかき回しにより水底に沈むイネやぬかがわき上がり,ホシハジロはコハクチョウの直下に潜水採餌,オナガガモはわき上がった餌を両種の周囲で採餌した.各種の追従行動から,3種混群の中核種はコハクチョウ,追従種がホシハジロとオナガガモであり,オナガガモはコハクチョウに追従するホシハジロに追従することがわかった.追従頻度は人為給餌後に増加し,その結果3種混群の混群形成率が増加し,群れサイズは約2倍に上昇した.この時,構成種の76%がホシハジロだった.採餌割合は,人為給餌後の3種混群時に3種とも増加した.
    人為給餌前のコハクチョウの首入れ採餌頻度は3種混群時が最も高く,ホシハジロも3種混群時及びコハクチョウとの混群時に潜水時間を短縮することで潜水採餌の頻度を高めた.オナガガモは3種混群時のみ,ついばみ採餌,首入れ採餌,こしとり採餌の3種類の採餌テクニックを併用し,こしとり採餌では移動距離を短くすることにより採餌頻度を高めた.人為給餌前は3種とも3種混群において採餌頻度を高めているため,採餌混群の機能的意義は相利共生といえる.人為給餌後の3種混群では,コハクチョウだけが採餌頻度を下げ,ホシハジロに対する攻撃頻度を増加させた.これに対しホシハジロとオナガガモは人為給餌前と同様に採餌頻度を高めていた.したがって人為給餌後の採餌混群の機能的意義は,宿主がコハクチョウ,寄主がホシハジロ,オナガガモの寄生関係といえる.
    3種混群のコハクチョウにとって,ホシハジロの適度な個体数は,自らの採餌頻度を高めるのに有効だが,人為給餌による過度の群れサイズの増加はコハクチョウの採餌行動の混乱,攻撃頻度の増加をもたらし,採餌頻度は減少する.このことから,随伴種であるホシハジロの個体数が採餌混群の適応的意義を決定する主因と考えた.人為給餌の餌は3分以内に水中に沈み,沈んだ餌はコハクチョウが脚でかき回すことではじめてホシハジロ,オナガガモが利用可能となる.それゆえ,カモ類の混群では,与えた餌の絶対量ではなく,中核種により開発され随伴種が利用可能になった餌量が混群形成に影響を与えると考えた.
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  • 任 信在, 李 宇新
    49 巻 (2000) 1 号 p. 31-38,65
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    森林伐採による落葉広葉樹林の変化がもたらす鳥類群集の変化について研究を行った.調査は江原道の平昌国有林内の落葉広葉樹林で(N37°27′,E128°29′),1996年4月から6月の間に行った.鳥類群集の特徴と鳥類のニッチを調べるため,森林伐採の程度が異なる3地域(各8ha)を選び,鳥類のなわばりを地図上に記録した.各地域で,植生の特徴,生息場所の垂直構造(葉層高プロフィール),胸高直径(DBH)を測定した.調査地内の優占樹種は Quercus mongolica, Ulmus davidiana, Acer mono, Fraxinus rhynchophylla の4種であった.垂直構造は3地域で互いに異なっていた.樹木密度,樹種多様度,DBH分布は伐採程度が進むにつれて低下した.鳥類種多様度,繁殖密度,種数,ギルド構造は3地域で異なっていた.伐採の無い自然林では樹洞営巣,樹冠採餌ギルドが多く,ヤブ営巣,ヤブ採餌ギルドは伐採が一部行われている森林で最も多かった.本研究により,森林構造が鳥類群集を決定する重要な要因であることが示唆された.それゆえ,鳥類群集やその生息場所の保全のため,森林管理において森林構造と鳥類群集との相互作用を考慮する必要がある.
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  • 中村 純夫
    49 巻 (2000) 1 号 p. 39-50
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    生態的に重複する部分の多いハシボソガラスとハシブトガラスについて,1991年の繁殖期に大阪府高槻市で営巣環境を調査した.調査地は市街化区域,隣接する農耕地•里山からなる2km×2kmの13区画であった.ハシボソガラスは常緑樹に52%,落葉樹に25%,人工物に23%と営巣し,小さな緑地を繁殖に利用することが多かった.ハシブトガラスは常緑樹に92%,落葉樹に3%,人工物に5%と営巣し,大きな緑地に利用が偏っていた.林縁から巣までの距離はハシボソガラスの平均が20.3m,ハシブトガラスの平均が113.7mであった.樹種,巣高,緑地規模のいずれにおいても,ハシブトガラスはハシボソガラスに比べ高い隠蔽度の営巣環境を利用していた.巣の周辺150m以内での農耕地の占める割合は,ハシボソガラスではハシブトガラスより約10%多かった.緑地の占める割合はハシボソガラスでは小さい側に極端に偏っていたが,ハシブトガラスでは偏りが無かった.大多数のハシブトガラスが大きな緑地の常緑樹という組み合わせの営巣環境を利用した.一方,ハシボソガラスは小さな緑地の常緑樹という組み合わせだけでなく,大きな緑地や緑地のないところ,落葉樹や送電鉄塔まで含めた多様な組み合わせの営巣環境を利用した.営巣場所における両種のすみわけが生じたのは,採餌行動における種間差と低い隠蔽度への耐性における種間差が原因であると考えられる.
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  • 能田 由紀子
    49 巻 (2000) 1 号 p. 51-54
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    京都市内の鴨川で捕獲したコサギの成鳥の形態計測を行い,体サイズの性的二型を調べた.性は捕獲個体の血液から抽出した DNA を用いて CHD-gene の性的二型を検出し判定した.計測比較した個体は雄21雌24個体,計測部位は,ふ蹠長,全長,翼長,翼開長,尾長,嘴峰長,頭長(くちばしの先端から頭骨の最も遠いところまで),嘴高,嘴幅,体重である.計測した全ての形態において雄が雌より有意に大きかった.特に体重の平均は雄が雌より25%も大きかった.また,ふ蹠長を基準にした各形態の相対的サイズは,雄の翼開長と,体重が有意に大きかった.本調査は同一地域で捕獲された生体を計測し性的二型を明らかにした初めてのものである.
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  • 永田 尚志, 石本 あゆみ
    49 巻 (2000) 1 号 p. 55-58
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    The authors captured a Savannah Sparrow at Myoginohana (35°57′28″N, 14°27′42″E) in Sakuragawa Villege, Ibaraki Prefecture, central Japan, on April 3, 1998. The bird was identified as first-year bird, because it had greater / median covert with broad beige edge and pointed rectrices, and because pre-breeding moult had occurred on parts of tertials, rectrices, head, breast and upper/ under coverts.
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  • 河野 かつら, 天野 一葉, 江口 和洋
    49 巻 (2000) 1 号 p. 59-61
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    ソウシチョウ Leiothrix lutea において12の形質を計測し、DNA性判定技術を用いて、(1)雌雄の形態的性差を明らかにし、(2)これらの形態的性差への性淘汰の関与について考察した。ソウシチョウのオスではメスよりも体サイズが大きく、翼の赤•黄色の斑、上尾筒先端の白帯も有意に大きかった。これらの形態的形質をもとに正準判別関数Z=0.091×(最大翼艮)+0.236×(翼の赤い斑の長さ)+0.967×(上尾筒先端の白帯幅)-10.606によって高い率で形態的形質から雌雄を判別することができた。また、形態的性差に寄与していた翼の色斑は翼長と独立で変動係数が非常に大きいことから、性淘汰に関与していることが示唆され、色斑の変動係数はオスよりもメスで大きかったことから、方向性淘汰にさらされている可能性があると思われる。
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