日本鳥学会誌
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51 巻 , 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
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  • 成末 雅恵, 須川 恒
    51 巻 (2002) 1 号 p. 1-3
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    湿地生態系の高次消費者であり,人間との関わりの深い集団繁殖性鳥類であるカワウの分布や個体数の変動は,カワウと人とのかかわりの変化や,湿地生態系の変化をもたらしている.カワウは戦前には国内に広く分布していたが,戦後減少し1970年頃には絶滅に瀕した.しかし,その後個体数は徐々に増加をはじめ,1990年代以降は急激に分布を拡大し個体数を増加させ,各地で営巣する森林への被害や内水面漁業への被害問題を引き起こしている.このような問題の現況を把握し,問題の解決に向かうために,カワウに関わる研究者が中心となって,1998年から2001年の日本鳥学会大会における4回の自由集会で,野生動物と共存していくための道を探った.
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  • 福田 道雄, 成末 雅恵, 加藤 七枝
    51 巻 (2002) 1 号 p. 4-11
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    日本におけるカワウの生息状況は,非常に劇的な変化を示した.1920年以前は北海道を除く全国各地で普通に見ることができた鳥であった.ところが,明治以降から戦前までの間は,無秩序な狩猟などによって急減したとみられる.戦後は水辺汚染や開発などによって減少したと考えられ, 1971年には全国3か所のコロニーに3,000羽以下が残るのみとなった.しかしながら,その後カワウは残存したコロニーで増加し始め,それらの近隣広がった.1980年代からは愛知,岐阜,三重の各県で始まった有害鳥獣駆除の捕獲圧による移動や分散で,各地に分布を拡大していったと考えら れる.増加の主な理由は,水辺の水質浄化が進み生息環境が改善したこと,人間によるカワウへの圧迫が減少して営巣地で追い払われることが少なくなったこと,そして姿を消した場所で食料資源である魚類が回復したことなどが考えられる.2000年末現在では,50,000~60,000羽が全国各地に生息するものと推定される.
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  • 亀田 佳代子, 松原 健司, 水谷 広, 山田 佳裕
    51 巻 (2002) 1 号 p. 12-28
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    全国で増加傾向にあり,内水面漁業への食害が懸念されているカワウについて,これまで行われてきた調査や研究をもとに,日本のカワウの採食魚種,食物のサイズ構成と採食量,採食場所選択の特徴についてまとめた.カワウは多様な魚種を食物としており,採食可能な魚類の体長幅は約3~30cm,野外で一日に必要な食物量は約500gと推定された.カワウはまた,季節や生息場所の状況に応じて,淡水域,汽水域,海域の採食場所を柔軟に使い分けていた.安定同位体比分析の結果から,カワウには地域個体群としての採食場所選択のほかに,個体ごとの採食場所選択の特徴があることが示唆された.これらの結果から,カワウの食性解析の研究は,魚食性鳥類の採餌戦略という鳥類生態学の課題としても,食害問題など野生鳥獣の保護管理における課題としても,今後さらに発展させていく必要があると考えられた.
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  • 石田 朗
    51 巻 (2002) 1 号 p. 29-36
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    コロニーや集団ねぐらとしてカワウに利用された森林における森林生態系の変化について,これまで明かとなっている知見を紹介し,研究の意義および今後の課題を論じた.森林の植物や土壌は,糞の付着,羽ばたきや踏みつけによる枝葉の折り取り,巣材採集により影響を受けていると考えられた.植物や土壌が受けた影響により,森林内の植物-土壌間,植物-植物間の相互作用,さらには土壌動物や菌類などの生物の群集構造が変化していると推察された.それら生物間,生物-非生物間相互作用のバランスの変化は,森林の遷移様式を大きく変えていると推察された.今後,植物衰弱•枯死のメカニズムの解明,森林植生の長期変化のモニタリングと予測モデルの構築,森林 に生息する生物個体群動態と群集構造の変化の解明,コロニーや集団ねぐらで問題とされる個々の現象の検証に課題が残されていることを指摘した.以上のような基礎的研究が,カワウによる森林被害問題の解決に向けた方策の模索に重要な役割を果たすことを指摘した.
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  • 井関 直政, 長谷川 淳, 羽山 伸一, 益永 茂樹
    51 巻 (2002) 1 号 p. 37-55
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    化学物質による野生鳥類の研究史についてわが国の取り組みを紹介した.ダイオキシン類の汚染が大きな注目を浴びた近年,それらの問題に向けた対策や技術は大きな社会現象にもなった.わが国における化学物質による野生動物への影響に関する研究は,未だ少ないのが現状である.著者らは,魚食性鳥類であるカワウに着目し,ダイオキシン類の体内残留レベルを明らかにすると共に,既報の日本産鳥類のデータと比較した.その結果,カワウは最も高濃度に蓄積する鳥種であった.またPCDD/Fs の残留パターンは, 2,3,7,8-置換体PCDD/Fsが優占し,WHO-TEF (birds) を用いた毒性値への寄与には,1,2,3,7,8-PeCDDや2,3,4,7,8-PeCDF,CB126が大きな寄与を示した.肝臓におけるこれらのコンジェナーは,筋肉や卵よりも特異に蓄積していた.
    カワウにおけるダイオキシン類の半減期を算出し,環境濃度から卵への濃度を予測した結果,孵化率への影響は1970 年代をピークに減少傾向であることが推察された.現在のダイオキシン類の曝露による未孵化率は27%と見積もられ,個体群の減少には影響しないことが結論づけられた.しかしながら,別のエンドポイントや免疫などの調査の必要性が考えられ,これらを遂行するための非捕殺的モニタリング手法など,カワウ個体群をリスク管理するための新たな取り組みが期待された.
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  • 羽山 伸一
    51 巻 (2002) 1 号 p. 56-61
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    The Great Cormorants (Phalacrocorax carbo) have recently gave impacts on forestry and fishery in Japan. To decrease the population of this species, culling was operated in many locations, which appeared not to be so effective. These human-cormorant conflicts have not been mitigate easily because so many factors are contributed. The special animal management planning system will be applied in the future under the Wildlife Protection and Hunting Law.
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  • 今西 貞夫
    51 巻 (2002) 1 号 p. 62-73
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    非繁殖期のオナガの群れの行動圏と群れサイズを長野県の南部(伊那標高約800m)と東部(野辺山標高約1350m)の2地域で,それぞれ4非繁殖期(1977-1981年)と3非繁殖期(1981-1983年)の間連続して調査した.野辺山は伊那と比べて,冬期に棲息環境が厳しくなった.行動圏の面積は伊那の10群では約135ha,野辺山の5群では約288haであり,野辺山の方が約2倍広かった.両地域での各1群の各季節の行動範囲は,伊那ではほぼ重なっていたが,野辺山では冬期に拡大し,春期に縮小した.行動圏の面積の2地域での違いは,野辺山の方が冬期の気象条件が厳しくなり,餌の利用量が少なくなることが影響していると考えられた.両地域とも隣接群の行動圏は一部または多くの部分で重複していた.3年間の平均群れサイズは,伊那の10群では約29羽で,野辺山の5群では約16羽であった.伊那では群れサイズは年とともに減少していたが,野辺山では変わらなかった.両地域の各1群の群れサイズは,ともに秋に目立つ増減が見られ,その後は時々1~3羽の増加があったがゆっくり減少した.隣接群も含めた群れサイズの減少率は,伊那では33.5%,野辺山では31.4%であり,地域間で違いがなかった.棲息密度は伊那では9.6羽/km2,野辺山では4.2羽/km2であった.また,野辺山のような冬期環境条件が厳しくなるところでも,群れの定住性が示された.他の地域との比較から,これらの地域の生息環境の違いは非繁殖期の群れサイズ,群れサイズの変化には大きな影響を与えなかったが,行動圏の面積や生息密度に大きな影響を与えることが示唆された.
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  • 藤巻 裕蔵
    51 巻 (2002) 1 号 p. 74-86
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    The Hazel Grouse (Bonasa bonasia) is a small forest grouse occurring in temperate and boreal forests from Scandinavia to the Far East. The species is assumed to have reached Hokkaido, northern Japan, via Sakhalin Island, during the last ice age about 40, 000 years ago. The subspecies occurring in Hokkaido is now recognisably distinct as B. b. vicinitas. Pairs are formed from late March to early May. During this period males whistle actively. Six to ten eggs are laid in early or mid-May and hatch in early June after incubation of 23 to 25 days. Young attain adult size by late August and have adult plumage by mid-September. The main diet consists of the leaves and seeds of herbaceous plants and trees and arthropods during late spring and summer, the buds of broad-leaved trees and vine fruits during autumn and winter, and buds and catkins in early spring. The Hazel Grouse has two large caeca supporting effective digestion of the plant fibers comprising their main diet. Hazel Grouse prefer broad-leaved and mixed forests with relatively dense undergrowth, and they avoid larch plantations in Hokkaido. Recently, the Hazel Grouse population has decreased in Hokkaido, the main cause of which is considered to be predation by the red fox (Vulpes vulpes), which increased in numbers from the early 1970s until the 1990s. Brood sizes were smaller during low population periods than during normal population periods. In order to maintain, or increase, Hazel Grouse population levels, habitat management and predator control is considered necessary.
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  • 永田 尚志, 鳥飼 久裕, 斉藤 武馬
    51 巻 (2002) 1 号 p. 87-91
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    The authors captured and ringed a willow warbler at Mt. Takachiyama (28°09′51″N, 129°19′08″E) in Setouchi Town, Kagoshima Prefecture, southern Japan, on September 27, 2001. The bird was identified as this species from following morphological and genetic characteristics. Morphologically, the bird had no wing-bars and long tail (tail/wing ratio: 0.75), 6th primary (P6) was not emarginated, the outermost primary (P1) was longer than primary-coverts by 5.6 mm, and wing-point was 3rd primary (P3). Blood sample was taken with a micro-capillary tube from ulnar vein before releasing and was preserved in Queen's buffer (Seutin et al. 1991) at the ambient temperature. A part of cytochrome b sequence was determined using an automated DNA sequencer (Model 310, Applied Biosystems) following Leisler et al. (1997). The captured bird (GenBank Accession #: AB075024) differed from a European willow warbler (Accession#: Z73492) by 9 substitutions (1.5% sequence divergence), which is typical of a subspecies distance. The bird was probably race yakutensis judging from the distribution, but it could not be confirmed.
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