日本鳥学会誌
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52 巻 , 2 号
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  • 藤田 剛
    52 巻 (2003) 2 号 p. 71-78
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    近年,行動学の成果を積極的に保全に応用しようとする試みが盛んになり始めている.その理由として行動研究者が保全に興味をもつようになったことが挙げられる.しかし,より重要な要因として,保全生物学が盛んになるにしたがい,保全活動の中でもともと補助的だと思われていた行動学が必要な場面が増えたこと,1970年代から急成長した行動生態学が成熟し,行動生態学者がその成果の応用にも注目し始めたこと,個体の行動と個体群動態という2つのレベルの関係に注目した研究が活発化し始めたことが考えられる.人工繁殖や個体群導入のような保全プロジェクトでは,個体数が非常に少ない動物を対象にすることが多く,本来とはちがう条件下でのつがい形成,交尾,育雛などをうまく行わせるために,行動学上の知見が必要になる.保全問題では,生息地変化による個体群への影響予測が必要になる.この影響予測に使われる個体群モデルでも,個体の行動が個体群動態におよぼす影響が重視されるようになった.個体の採食能力の差や,採食場所選択などの行動プロセスを組み込んだモデルは,餓死率などの個体群パラメータをよく予測できることが示されている.また,同様に採食場所選択の行動プロセスを組み込んだモデルは,地域内での動物の分布を予測できるため,農業被害の解決を目指した研究にも応用されている.さらに,行動プロセスの理解は,有効集団サイズの推定にも必要になる場合がある.たとえば,婚姻システムや性選択,誕生性比の調節,そしてヘルパー行動などは有効集団サイズに影響する.ヘルパー行動には,天候異常などの環境変動による影響を緩和する効果もあることが示されている.ここで紹介したような保全への応用を目的とした行動研究の成果は,個体の行動と個体群動態の相互作用という基礎科学的なテーマの重要な実証例になっている.この点において,行動学を保全に応用する試みは,応用科学と基礎科学の理想的な相互作用を実現する可能性をも孕んでいる.
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  • 南 正人
    52 巻 (2003) 2 号 p. 79-87
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    個体レベルの行動学的な研究が,どのように野生動物の保全に役立つかを,日本国内において行動レベルでの研究が行われている哺乳類の二つの例を挙げて検討した.これらの研究手法は鳥類研究でも共通であると同時に,保全研究の意義についても鳥類研究者と共通の議論が可能だと考える.長野県軽井沢では,個体群の絶滅が危惧されるツキノワグマ Ursus thibetanus がゴミに餌付いている.1998年7月から2002年9月まで,16個体のツキノワグマを捕獲し,発信器を装着し,個体識別して追跡調査を行った.その結果から,危険な3個体は駆除し,危険でない13個体は「移動放獣」や「学習放獣」などを行った.このような手法により,個体群に大きなダメージを与えることを回避した.被害を発生させる程度に個体差があることを解明し,個体に応じた対策を講じるという手法を日本で応用した例はまだ少ないが,鳥類も含め多くの種に応用可能だと考えられる.宮城県の金華山では,ニホンジカ Cervus nippon の150個体の群れを全て個体識別し,14年間追跡して,行動生態学的な研究を行った.個体の生涯を通しての形態の変化,栄養学的な変化,繁殖成功度などを調べた.個体群動態と個体の生残や繁殖成功度が深く関係していることが示唆された.まだ情報は限られているが,この例は,長期にわたる集中調査から,個体間関係や個体の繁殖戦略などが個体群動態に影響すると同時に,個体数密度や食物量,さらに偶然に起こる環境の変動などの要因が個体の生残や繁殖成功度に影響していることを示している.これは,長期にわたる行動レベルの研究が行われて初めて重要性が認識できる問題である.鳥類でも海外ではセイシェルヨシキリ Acrocephalus sechellensis のように,動物の社会が個体群動態に影響する可能性も示され始めており,日本の鳥類においても,同様な研究の必要性があると考えられる.
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  • 牛山 克己, 天野 達也, 藤田 剛, 樋口 広芳
    52 巻 (2003) 2 号 p. 88-96
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    近年,ガン類と農業との軋轢が高まっているが,これらのガン類の中には保全の対象とされている種も多い.行動生態学的研究は,農業被害管理と保全を共通の視点で捉えることができる.そこで本稿は,ガン類の生息地利用に関する行動生態学的研究がいかに農業被害問題へ応用されているかをまとめた.農業被害の発生メカニズムを明らかにする行動生態学的研究によって,状況に応じた管理方策を提言することができ,効率よく農業被害問題に取り組むことができる.それら管理方策には,防除器具の徹底と代替採食地の提供,そして農業活動や人為的撹乱の管理による生息地管理が含まれる.より大きな空間スケールでは,ガン類の生息地選択を理解することで,保全と農業被害を考える上で重要な,極度に集中化したガン類の分散化対策を生物学的根拠に基づいて行うことができると考えられる.これらの行動生態学的知見を統合することにより,ガン類の分布や個体群動態の予測モデルを構築することができる.個体の行動の進化的背景を組み込んだモデルは,環境の変化に対する個体群レベルの反応を予測することができ,農業被害の予防的管理やガン類の保全における有効な手法となり得る.
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  • 相馬 雅代, 長谷川 寿一
    52 巻 (2003) 2 号 p. 97-106
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    鳥類や哺乳類に関するいくつかの研究では,餌資源に集まる群れは,餌を発見した個体が同種他個体を引きつける集合音声を発することにより,形成されることが報告されている.ハシブトガラス Corvus macrorhynchos は群れで採餌を行うことがあり,そこでは「kakaka」という特徴的な音声が発声される.そこで,人工的に設置した餌場へのハシブトガラスの集合過程での「kakaka」声の頻度, その前後の群れサイズの変化の観察と「kakaka」声の再生実験を行うことにより,「kakaka」声が集合音声として機能しているのかどうかを調べた.観察の結果,「kakaka」声が発声されると群れサイズが上昇しており,この回数と採餌群れの大きさとの間には正の相関関係がみられた.また,「kakaka」声の再生は,何も再生しなかった統制実験を比べて多くの個体を引きつけた.これより,「kakaka」声は,餌資源への集合音声として機能していると考えられる.様々な理由から,動物は群れを形成することによって採餌上の利益を得ており,それが採餌効率の上昇につながる場合も多いことが,いくつかの研究において指摘されている.ハシブトガラスは,採餌群れを形成することによって,採餌効率を上昇させているのかどうか検討するため,そのついばみ速度と採餌群れの大きさを計測した.この結果,これらの2 変数の間には正の相関関係がみられた.これにより,ハシブトガラスは多数の個体が集まることで採餌効率を上昇させている可能性が示された.
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  • 浦田 亜希子, 上田 恵介
    52 巻 (2003) 2 号 p. 107-111
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    ヤマガラとシジュウカラに,サイズの異なるヒマワリの種子(小粒,中粒,大粒)を給餌して,両種間で餌サイズの選好性に差がみられるのかを,福岡市南部の油山の林縁で調査した.ヤマガラは採食効率の高い中粒,大粒の種子を選んでいた.またヤマガラはシジュウカラよりも大きなサイズの種子を選んでいた.ヤマガラは持ち去るにしろ,その場で食べるにしろ比較的大きな種子を選び,シジュウカラはその場で食べるときも,持ち去るときも,比較的小さな種子を選ぶ傾向があった.シジュウカラに比べ,ヤマガラの嘴が大きいことと餌場における両種の力関係が,この両種の餌サイズ選好性の差に影響しているのかもしれない.
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  • 黒尾 正樹, 片倉 令子
    52 巻 (2003) 2 号 p. 112-115
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    Four partly albino fledglings were observed in two Carrion Crow Corvus corone orientalis families in Hirosaki City, Aomori Prefecture, Japan, from 30 June to 9 August 2002. They all had white parts on the subterminal regions of the upper and under primary coverts, upper and under greater coverts, primaries, secondaries, and tertiaries. Two fledglings in one family had white in the subterminal regions of the rectrices as well as in the remiges. The latter two birds stayed with their parents for about 20 days longer than their single normally plumaged sibling.
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  • 中村 茂, 吉野 智生, 佐藤 準, 千葉 晃, 浅川 満彦
    52 巻 (2003) 2 号 p. 116-118
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    As part of ongoing research into the conservation of wild avian species in Niigata Prefecture, helminthological examination was conducted between March and November 2002 in Niigata Prefectural Bird Protection Center, Japan. A total of 50 individuals of 28 avian species was investigated, with parasitic helminthes collected from 26 individuals. The parasitic helminths belonged to 13 nematode, two acanthocephalan, and three trematode genera, and unidenfied cestodes were also collected. Three genera, Epomidostomum (host: Anser albifrons), Viktorocara (host: Fulmarus glacialis) and Diomedenema (host: Ardea cinerea) were new locality records in Japan.
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  • 山口 恭弘, 菊池 博, 亀谷 辰朗, 山口 香子, 上野 信一郎
    52 巻 (2003) 2 号 p. 119-121
    公開日: 2007/09/28
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  • 中村 豊, 高野橋 豊, 麻生 瞭, 高野橋 登志子, 首藤 直美, 佐藤 小百合, 下川 五三子
    52 巻 (2003) 2 号 p. 122-123
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
  • 桐原 佳介
    52 巻 (2003) 2 号 p. 124-125
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
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