日本鳥学会誌
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58 巻 , 1 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
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特集:希少鳥類から見た南西諸島の生物地理学
総説
  • 高木 昌興
    原稿種別: 総説
    58 巻 (2009) 1 号 p. 1-17
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    The characteristics of the avifauna of the Nansei Shoto are explained. The Nansei Shoto consists of the Ryukyu, Senkaku, and Daito islands. The avifauna of the islands, in particular in relation to the species endemic to the islands and those species also occurrign in the islands as well as in both Kyushu and Taiwan, was investigated by means of the literature, mainly the “Check-List of Japanese birds. Sixth Revised Edition (The Ornithological Society of Japan 2000)”. The number of breeding bird species on islands was greatest on the largest islands, and reached maxima (37 species) on both Okinawa and Iriomote islands. In order to understand the similarities between the avifaunas of the various islands, Nomura-Simpsons' coefficient of breeding birds on twelve representative islands of the Nansei Shoto, Kyushu, and Taiwan were calculated. The results of the cluster analyses of the similarities among islands were partly explained by the distances between islands. It is inferred that disparities between the similarities of avifaunas and distances among islands result from differences in the environments of each island.
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原著論文
  • 関 伸一
    原稿種別: 原著論文
    58 巻 (2009) 1 号 p. 18-27
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    男女群島におけるアカヒゲの生息状況と集団の分子系統的位置について2003–2006年に調査した.まず,森林の発達した男島および女島の2島において,森林内の任意の地点で定点観察とさえずりの録音再生により,アカヒゲのなわばり密度を調査した.その結果,男島西部でのなわばり密度は0.4–0.5/ha,女島北部では0.4/haとなり,1980年代以前の報告に比べてなわばり密度の低下が進んでいると考えられた.要因としては,人為的影響も含めた捕食者相の変化や,自然攪乱などによる森林環境の大きな変化が考えられたが,要因を特定することは出来なかった.次に,男島で捕獲された2個体の形態とミトコンドリアDNAコントロール領域の塩基配列とを分析した.トカラ列島から奄美群島に生息する集団との明確な形態変異は認められなかった.得られたハプロタイプは同一で男女群島固有のものであったが,ハプロタイプ間の最尤系統樹では亜種アカヒゲの系統群に含まれ,亜種内の他の集団との遺伝的距離は0.0054–0.0064 (K-2p distance) と小さかった.これは男女群島集団が成立または分布が分断された時期が,亜種の分化が起こった年代に比べてごく最近,亜種アカヒゲ系統群の個体数の放散が起こりトカラ列島・奄美大島・徳之島の3集団が分化したのと同年代であることを示唆する.
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  • 小高 信彦, 久高 将和, 嵩原 建二, 佐藤 大樹
    原稿種別: 原著論文
    58 巻 (2009) 1 号 p. 28-45
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    沖縄島北部やんばる地域において,森林性動物による地上利用パターンと外来種マングースHerpestes javanicusの侵入に対する脆弱性について検討するため,自動撮影カメラを用いた調査を2年間(のべカメラ日15,742.4日)実施した.合計8,444枚に動物が撮影され,鳥類が7,400枚,哺乳類が1,044枚で,鳥類の比率は87.6%であった.中でも,ヤンバルクイナGallirallus okinawae(4,308枚)が最も多く撮影され,この他,アカヒゲErithacus komadori(910枚)やノグチゲラSapheopipo noguchii(108枚)などの在来希少鳥類が多く撮影されていた.フクロウ類をのぞき,ほとんどの鳥類が日中に地上で撮影され,夜行性が報告されている種(ヤマシギ類,ミゾゴイGorsachius goisagi) においても主な撮影時間帯は日中であった.地上を利用する動物種の構成比率や撮影頻度は,季節,年次に伴い大きく変動した.ヤンバルクイナでは繁殖期にあたる夏期の撮影頻度は,冬期よりも有意に高かった.冬鳥であるツグミ類やヤマシギ類では冬期に撮影頻度が増加したが,留鳥であるキジバトStreptopelia orientalisやカラスバトColumba janthinaにおいても同様の傾向が見られた.ツグミ類の撮影頻度には,年次による有意な差がみられ,撮影動物種の構成比率の年次変動に大きく寄与していた.鳥類による地上利用頻度の季節・年次変動には,繁殖活動,渡り,採餌場所の季節変化など,複数の要因が寄与していると考えられた.ヤンバルクイナの撮影頻度は,マングースの撮影頻度の高い地域で減少していた.森林性鳥類の多くは,繁殖地,渡りの中継地,越冬地としてやんばる地域の森林の地上を主に日中利用している.地上が主な活動場所であり,昼行性の外来捕食者であるマングースの侵入は,やんばる地域の森林性鳥類群集全体に大きな影響を与える問題である.
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原著論文
  • 田中 遊山, 伊藤 元裕, 綿貫 豊
    原稿種別: 原著論文
    58 巻 (2009) 1 号 p. 46-54
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    ウミネコLarus crassirostris は日没後に給餌のために嘴に魚をくわえて帰巣してきたウトウCerorhinca menocerataから餌略奪する.その餌略奪成功はハビタット(草丈)と日没後急に減少する明るさとによって変わる.したがって,餌略奪しようとまちうけているウミネコのハビタット利用はウミネコ1羽あたりの餌略奪成功によって変化すると予想される.ウミネコ1羽あたり略奪成功率に影響する要因とそれがウミネコの分布にあたえる効果を探るため,北海道天売島において,おのおのの明るさ(明るい (>1 lx),薄暗い (0.1-1 lx),暗い (<0.1 lx) おのおののハビタット(高草丈区,低草区および裸地区)において,魚をくわえて着地したウトウ数,地上で待っているウミネコ数,餌略奪行動とウミネコ同士の威嚇行動を記録した.ウトウが攻撃される率は裸地区や低草区で,特に明るい時間帯に高く,攻撃されたときに餌を失う率は明るい時間帯でウミネコの略奪参加数が多いときに高かった.裸地区では攻撃率が高かったがウトウ着地数が少なくウミネコ数が多かったので,結果的にウミネコ1羽あたり略奪成功率は裸地区で低く,低草区と高草区では明るいときに高かった.予想と異なり,ある明るさあるハビタットにおける略奪成功率とそこで待ち伏せしていたウミネコ数には関係がなかった.略奪成功率が高い場所と明るさにおいてウミネコ同士の威嚇頻度が高かった.個体識別したウミネコの観察によると,オスはメスよりも場所定着性が高く,オス9個体のうち3個体だけが略奪成功率の高いハビタットで繰り返し餌略奪を行った.以上のことから,餌略奪成功率の急速な変化と攻撃性の個体変異が,餌略奪するウミネコの分布に影響する要因と考えられた.
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  • 前田 琢, 吉田 保志子
    原稿種別: 原著論文
    58 巻 (2009) 1 号 p. 55-64
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    茨城県霞ヶ浦沿岸の水田地帯において,冬期(12~2月)に約0.4 haの水田2か所を湛水管理し,日中および夜間の鳥類の利用およびその潜在的な餌となる小動物の現存量を調査した.また,自然に水の溜まった水田,年間を通して湛水されている蓮田,対照区としての非湛水田においても比較調査を行ない,冬期湛水による鳥類や餌動物への効果について明らかにした.乾燥した田には水鳥の生息は全く見られなかったが,湛水田にはタゲリVanellus vanellusやタシギ類Gallinago spp.を中心とした水鳥が飛来し,採餌場所として利用された.これは主に,湛水によって水田表層や土壌中に増加したイトミミズ類,ユスリカを除く昆虫類,ヒル類などによるものと考えられた.また,未耕起の湛水田にタシギ類がより多かったことから,隠れ場所(刈り株や二番穂)の存在も重要であると考えられた.蓮田はシギ・チドリ類に加え,魚食性のサギ類やカワセミAlcedo atthisなどにも利用され,ポンプによる給水のため魚類や両生類幼生の生息しない湛水田との違いが現れた.湛水管理は陸鳥にも有意な個体数の違いをもたらし,ヒバリAlauda arvensisとホオジロEmberiza cioidesは非湛水田に多かったが,タヒバリAnthus spinolettaは湛水田に集まり,ツグミTurdus naumanni,ハクセキレイMotacilla alba,セグロセキレイM. grandisは蓮田で密度が高い傾向にあった.これらの結果から,冬期の乾田地帯に湛水田を設置することは,水鳥・陸鳥ともに多様な種が選好する新たな採餌場所を供給し,鳥類の越冬環境としての水田の機能を高める効果があると考えられた.
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短報
  • 井上 裕紀子, 出口 智広, 越智 大介, 綿貫 豊, 岡 奈理子
    原稿種別: 短報
    58 巻 (2009) 1 号 p. 65-72
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    ミズナギドリ目における,雛の日齢や栄養状態に応じた親の調節は,種によって様々である.2004年に東京都御蔵島において,オオミズナギドリの雛を3時間間隔で24時間計測し,給餌量を推定して,前日の夕刻とその日の夕刻の体重差から給餌量を推定する回帰式を作成した (SUM=1.102 (±0.118SE)* NET+0.113 (±0.031SE)* BM-0.498 (±17.980SE): R2=0.735).推定した給餌量から,オオミズナギドリは,雛の日齢に対しても短期的な栄養状態に対しても,給餌頻度や給餌量を調節していなかった.
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  • 溝田 智俊, 嶋田 哲郎, 佐々木 智恵
    原稿種別: 短報
    58 巻 (2009) 1 号 p. 73-76
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    2008年2月中旬以降,宮城県北部のガン類越冬地において,マガンの集団によるブロッコリーおよびハクサイ収穫残渣の採食を記載した.当該圃場におけるブロッコリーの乾物現存量は3,371 kg/haと顕著に多く,たんぱく質含量はブロッコリー (20.1%),ハクサイ (12.8%) ともに落ち籾より高かった.落ち籾および落ち大豆餌資源が枯渇しているために,これらの葉菜類にマガンが誘引されたものと解釈された.
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  • 栄村 奈緒子, 出口 智広
    原稿種別: 短報
    58 巻 (2009) 1 号 p. 77-85
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    聟島は小笠原諸島の北部に位置する無人島である.この島の植生は第二次大戦後に野生化したヤギ(以下ノヤギ)によって植生の大部分が破壊された.同時に鳥類相も戦後にかけて変化が見られ,戦前生息していた小笠原の固有亜種ハシナガウグイスCettia diphone diphoneと,固有種メグロの亜種ムコジマメグロApalopteron familiare familiareが確認されなくなった.ノヤギが近年すべて駆除されたことから,島の植生は回復しつつある.今回,聟島の陸鳥の鳥類相の現状を明らかにするため,2007年3月から6月の期間,島内の2ヵ所でルートセンサスを行い,さらにルート区間の植生を記録した.結果,外来種メジロが多くの森林で,在来種イソヒヨドリがわずかに開放地で観察された.調査期間中観察され,繁殖が確認されたのはこの2種のみであった.その他の小笠原在来陸鳥のノスリButeo buteo,ヒヨドリHypsipetes amaurotis,トラツグミZoothera dauma,ウグイスCettia diphoneは一時的に少数が観察された.今後これらの鳥類の飛来,定着が聟島の植生が回復するにつれて増加するかもしれない.外来種メジロは小笠原在来鳥類との間で餌資源の競合が生じる一方で,種子散布者,花粉媒介者として島の植生回復に貢献すると考えられる.
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  • 嶋田 哲郎, 溝田 智俊
    原稿種別: 短報
    58 巻 (2009) 1 号 p. 86-90
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    ガン類による麦類への摂食被害を定量的に評価するために,起生期(2008年2月)と収穫期(6月)における麦類の地上部現存量と子実収量を測定した.起生期における非摂食区の乾物現存量は487~1,472 kg/ha,摂食区では145~373 kg/haで,被害率は50~86%であった.収穫期における子実収量調査の結果を圃場ごとにみると,穂数,1穂あたりの着粒数および乾物現存量には有意差が認められた.非摂食区,摂食区ごとに穂数,1穂あたりの着粒数,乾物現存量を比較すると,1穂あたりの着粒数では有意差はなかったものの,穂数と乾物現存量では摂食区は非摂食区より有意に低かった.これは春先にマガンの摂食を受けた麦は収穫期においても減収につながっていることを示唆している.
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  • 水田 拓, 鳥飼 久裕, 石田 健
    原稿種別: 短報
    58 巻 (2009) 1 号 p. 91-97
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    奄美大島の龍郷町市里原地区においてアマミヤマシギの夜間センサスを一年間行い,道路に出現する個体の数に影響を与える要因を調査した.本種の出現個体数は,繁殖期(2~8月)に多く,非繁殖期(9~1月)には少なかった.それぞれの時期において,月の明るさ,雲量,風速,気温,調査時間帯のうち,どの要因が出現個体数に影響を与えているかについて一般化線形モデルとモデル選択を用いて解析した.その結果,繁殖期,非繁殖期とも,月の明るい(月齢が15に近い)夜に本種が多く道路上に出現しているということがわかった.これは,本種が道路上で視覚を用いた活動をしているためではないかと推察される.本研究により,夜の道路に出現するアマミヤマシギの個体数から好適生息環境や個体数の推移などを調べる場合は,月齢や天候を考慮する必要があることが示唆された.
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  • 川路 則友
    原稿種別: 短報
    58 巻 (2009) 1 号 p. 98-102
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    北海道札幌市において,赤色卵を托卵されたメジロの巣を発見し,追跡したところ,ツツドリのヒナがふ化し,仮親であるメジロからの給餌を受けたのちに巣立った.その巣から近いところにあったセンダイムシクイの巣でも赤色卵が見つかったが,それはのちに捕食された.しかし,赤色卵を産むウグイスの巣が約500 m離れた位置で確認されたが,巣内には托卵はなかった.これまで北海道中北部ではツツドリによるウグイスへの赤色托卵例が報告されている.ツツドリによる赤色卵の托卵は,北海道南西部以南でウグイスを主要な宿主とするホトトギスが生息していない北海道中央部で,卵色の形質置換を行うことにより確実にウグイスへの托卵を成功させるために進化してきたものと考えられている.メジロはツツドリの主要な宿主ではないが,ウグイスの生息密度が低いために,本州以南での主要な托卵相手であるセンダイムシクイや,メジロといった他種まで宿主として利用していると考えられる.
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  • 風間 健太郎, 福田 敬之, 森 貴久
    原稿種別: 短報
    58 巻 (2009) 1 号 p. 103-107
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    高密度なコロニーを形成して繁殖するカモメ類では,捕食者からの逃避,他巣の親による攻撃,近接巣の給餌物に引き寄せられることなどによって生まれの巣から他の巣へと雛が移動し,移動先の巣の親に受け入れられ,給餌を受けたり保護を受けたりしてそのまま育てられることがある.本研究では,北海道利尻島で繁殖するウミネコについて,他巣の雛を追加して雛数を増加させた条件下で,他巣雛の受け入れ頻度に雛の日齢がどう関係するのかを実験的に調べた.1~3日齢の雛を付加した場合,7羽のうち6羽の雛が受け入れられたのに対し,8~10日齢の雛を付加した場合は,10羽のうち8羽の雛が拒絶された.これらのことは,ウミネコの親鳥が他巣雛を受け入れるかどうかは雛数の変動ではなく雛の日齢に依存することを示唆している.
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観察記録
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