日本鳥学会誌
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59 巻 , 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
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巻頭言
特集:バイオロギングによる鳥類研究
総説
  • 高橋 晃周, 依田 憲
    原稿種別: 総説
    59 巻 (2010) 1 号 p. 3-19
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    鳥類は最も機動性の高い動物群であり,自然条件下で個体の生理,行動,生態に関する情報を得るのは困難な場合が多い.この問題を解決するため,動物自身に装着した小型記録計を用いて,自由に動き回る動物の研究を行うバイオロギング技術の開発が進められてきた.バイオロギングは1970年代に単純な潜水深度の記録計から始まり,海鳥類の驚異的な潜水能力を明らかにしてきた.現在,動物装着型記録計は,多様化,小型化が進み,潜水性海鳥類のみならず,鳥類全般での生物学的な研究に利用可能な技術となっている.本論文では,バイオロギングを用いた鳥類研究の最近の進展を,移動,採餌,運動性能,生理状態,認知,社会行動,外的環境の7つの研究分野にわたってレビューした.またバイオロギングが直面する現状における課題,将来の方向性として,記録計の小型化と装着・回収方法の改良,時空間的に相関した大量データを適切に解析する手法の開発,個体ベースで情報が得られる他の研究手法との併用,分野横断的な研究の推進,を取り上げて論じた.バイオロギングによって開ける新しい研究領域は,バイオメカニクス,生理学,行動学,生態学といった既存の学問分野を個体レベルで統合する可能性をもち,自然環境における鳥類の理解を深めることに役立つだろう.
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  • 綿貫 豊, 高橋 晃周, Philip N. Trathan, Sarah Wanless, 坂本 健太郎, 佐藤 克文
    原稿種別: 総説
    59 巻 (2010) 1 号 p. 20-30
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    野外における海鳥の潜水の多くは,酸素呼吸潜水限界時間(酸素保有量を潜水中の酸素消費速度で割った値)より長い.その理由のひとつとして,水中を潜降するときに,海鳥は深度とともに低下する浮力に釣り合うようにうまくストロークを調節し,酸素消費速度を下げている可能性がある.深度による足こぎと羽ばたき周波数の変化を,ミナミジョージアミナジロヒメウ Notocarbo georgianus,ウミガラス Uria aalge,マカロニペンギン Eudyptes chrysolophus でバイオロギング技術を使って比較した.1回の足こぎで1回前進するミナミジョージアムナジロヒメウでは,60mまで沈降する間に推進および足こぎ周波数が低下した.ウミガラスにおいても,推進周波数は沈降中に低下したが,羽ばたき周波数はほぼ一定だった.これは,ウミガラスが浅い場合は翼のうち下げ打ち上げそれぞれで前進したが,それより深い場合は打ち下げでのみ前進したためである.いっぽう,マカロニペンギンの場合は,いずれの深度でも打ち上げ打ち下げそれぞれで推進し,羽ばたき周波数はほぼ一定だった.潜降時のマカロニペンギンの体軸角度は,ミナミジョージアムナジロヒメウやウミガラスに比べ浅かったため,浮力につりあわせるための推力は相対的に小さくて済むので深度にあわせて推進周波数を変化させる必要がないのかもしれない.潜降中の遊泳速度はミナミジョージアムナジロヒメウ,ウミガラス,マカロニペンギンとも1.4–2.2m/sとほぼ一定であった.3種とも浮力変化に合わせて,遊泳速度を一定に保つようにストロークを調節しているようであった.このように,バイオロギング技術は,野外で自由に生活する鳥類が形態や物理力の制約のもとでどのように運動調節しているかを明らかにする.この技術は空中と水中を飛行する鳥類の行動生態学において新しいアプローチを可能にする.
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  • 新妻 靖章
    原稿種別: 総説
    59 巻 (2010) 1 号 p. 31-37
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    Schmidt-Nielsenによると生理学とは,「生き物の機能(どのようにして食べ,呼吸をし,動くか)を知ること」,さらに「どのようにして生き物が困難な環境に適応しているか」を研究することとしている.生理生態学とは,Schmidt-Nielsenのいうところの後者の研究や生理学的な手法を用いて生態学的な問題を解決しようとする学問といえる.肺呼吸する動物は水に溶けている酸素を直接利用することはできず,水は空気に比べ,約25倍速く熱を奪うため,肺呼吸で酸素を体内へ取り入れ,自らの発熱により高いレベルで一定の体温を保つ内温動物にとって水環境も困難な環境として含まれる.潜水する海鳥であるペンギン類やウミスズメ類は南極や北極の海洋生態系の高次捕食者であり,その潜水性能は高い体温を維持することによって達成されると考えられている.高い体温を維持することにより,筋収縮に関する酵素の活性を上げることができ,すばやい酵素反応は大きな力を生むことができる.しかし,海鳥のような小さな動物が寒冷な海に潜ったときに体温を維持するあるいは有酸素呼吸を可能とする生理学的メカニズムは不明な点が多い.近年,潜水性の内温動物の生理的な特性,例えば心拍や体温などをバイオロギングの技術により記録することが可能となった.ハシブトウミガラス Uria lomvia の潜水時における酸素の制約と体温上昇のトレード・オフの関係を,体温変化と体内の温度勾配から明らかにし,血流調節による潜水適応を提案し,酸素消費速度についても議論した.また,近年のペンギン類の研究成果を紹介し,バイオロギングの技術を用いた生理生態学の展望をした.
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総説
  • 風間 健太郎, 伊藤 元裕, 新妻 靖章, 桜井 泰憲, 高田 秀重, William J. Sydeman, John P. Croxal ...
    原稿種別: 総説
    59 巻 (2010) 1 号 p. 38-54
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    海洋資源を持続的に利用するためには,生態系を考慮したマネジメントが必須である.そのためには,生態系を構成する各要素について膨大な情報を収集し統合しなければならない.しかし,それはかなり困難であるので,効果的な生態系変化のインジケーターを使うことが重要である.海鳥は気候変化にともなう海洋生態系変動,および海洋環境汚染の便利なインジケーターであると信じられている.本論文では,1) 気候変化による海洋生態系変動に対する海鳥の反応,2) 海岸に漂着した海鳥の海洋油汚染インジケーターとしての有効性と海洋汚染の海鳥に対する潜在的インパクト,3) アホウドリ類の現状と保全,特に延縄による混獲についてレビューする.さらに,4) 世界における海鳥モニタリング活動と我が国における海鳥モニタリングの現状について紹介する.最後に,海鳥保全ネットワークの形成に関する提案をする.
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短報
  • 藤巻 裕蔵
    原稿種別: 短報
    59 巻 (2010) 1 号 p. 55-60
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    1976~2009年に北海道中部・南東部の調査地823区画,調査路928か所のうちウズラが観察されたのは胆振地方東部,石狩・空知地方,十勝地方の23区画,24か所であった.このほか文献などに同時期の記録が16区画あった.生息環境では草原と農耕地だけで観察され,出現頻度はそれぞれ10.4%, 3.8%で,ウズラが観察された農耕地には必ず採草地やムギ畑があり,その割合は18,75%(平均47.1,標準偏差19.0)であった.標高では,大部分が標高400m以下で観察された.34年の調査期間中,ウズラは1987年までと1998年以降には観察されたが,1988~1997年の10年間は1991年を除いて観察されず,出現率は1990年代には低くなったが,2000年代になって高くなり,生息数回復の傾向がみられた.
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観察記録
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