日本鳥学会誌
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62 巻 , 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
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原著論文
  • 刘 利, 杉田 昭栄
    62 巻 (2013) 1 号 p. 1-8
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     本実験では走査型電子顕微鏡(SEM)と光学顕微鏡により,ハシブトガラスCorvus macrorhynchosの味孔と味蕾の分布および形態学的特徴について研究を行った.口腔表面に2種類の開口部が認められた.大型の開口部は渦状または紡錘状で,孔の直径は50 μm以上であった.一方,小型の開口部は円形で,その孔の直径は10 μm以下であった.光学顕微鏡観察で認められた唾液腺導管の開口部と味孔の直径は,ほぼSEMにより観察された大小2種類の開口の大きさにそれぞれとほぼ一致するものであった.さらに,大小の開口部の位置関係から,大型の開口部は唾液腺の導管開口部に相当し,小型のそれは味孔と判断された.また,口腔表面では平均537(SE=38.4, N=4)個の味孔が観察され,上顎部に18.5%,下顎部に81.5%の割合で存在し,舌表面では味孔も味蕾も観察されなかった.また,味蕾は明調,暗調および支持細胞の3種類の味細胞によって構成されていることが分かった.
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  • 嶋田 哲郎, 呉地 正行, 鈴木 康, 宮林 泰彦, 樋口 広芳
    62 巻 (2013) 1 号 p. 9-15
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     東日本大震災が南三陸沿岸で越冬するコクガンに与えた影響を調べるため,岩手県陸前高田市の広田湾から宮城県石巻市の北上川河口にかけて,2011-2012年の冬期に調査を行った.2011年11月下旬~12月上旬,2012年1月上旬,2月下旬の3回,コクガンの分布を調べ,3回の調査でそれぞれ291羽,380羽,403羽のコクガンが記録され,観察されたコクガンの個体数は震災前のデータと大きな違いはなかった.群れが確認された環境をみると,11月下旬~12月上旬と1月上旬では漁港で59%,海上で35-41%と同様な傾向を示した.震災前には漁港でコクガンが観察されることは稀であったが,地盤沈下した岸壁や船揚場に付着した海藻類がコクガンの食物資源となったこと,震災後の漁港への人の出入りの減少に伴いコクガンが妨害を受けずに安定的に利用できるようになったことに加え,震災前の採食場所であったワカメやカキなどの養殖筏が津波によって消失したためと考えられた.一方で,2月下旬になるとそれまでより漁港を利用したコクガンの割合は減少し,海上や砂浜を利用したコクガンの割合が増加した.ワカメやカキの養殖筏の復興,それらに付着した海藻類の生長につれてコクガンの食物資源量が増加したと考えられる.震災によってコクガンの生息環境は大きく変化したが,採食場所をシフトすることでその変化に対応していると考えられる.
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  • 加藤 貴大, 松井 晋, 笠原 里恵, 森本 元, 三上 修, 上田 恵介
    62 巻 (2013) 1 号 p. 16-23
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     日本において,スズメPasser montanusは家屋の隙間などの人工物に営巣することが知られているが,都市開発による家屋などの構造の変化により,スズメの営巣場所,巣の分布様式,そして繁殖成績まで,都市部と農村部で異なる可能性がある.本研究では,スズメの営巣場所,営巣場所の再利用回数,繁殖時期,巣の分布様式を地域間比較した.スズメは都市部では主に電柱の隙間に,農村部では主に家屋の隙間に営巣しており,両地域の営巣場所には有意な違いが見られた.都市部では農村部よりも1回多く繁殖ピークが見られた.両地域では再利用された営巣場所が見られ,再利用回数は農村部に比べて都市部の方が多かった.巣の分布様式は,都市部はランダム分布,農村部では集中分布を示した.人工物の量や質,分布といった営巣可能な場所の違いが,都市部と農村部における違いを産み,さらにはスズメの個体間の相互作用や繁殖成績にも影響を与える可能性がある.
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  • 笠原 里恵, 森本 元, 山口 恭弘, 三上 修, 上田 恵介
    62 巻 (2013) 1 号 p. 24-30
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     スズメPasser montanus が選好する水稲田の特徴を,水稲田と住宅地の距離とイネ Oryza sativaの成熟段階から検討した.茨城県南部の竜ケ崎市から千葉県北部の香取市に広がる水田地帯で,2011年の8月中旬と下旬にライントランセクト法を用いて鳥類センサスを行い,同時に各水稲田の住宅地からの距離とイネの成熟段階を調査した.スズメの観察の有無を目的変数とした一般化線形混合モデルによるモデル選択の結果,8月中旬,下旬ともに水稲田と住宅地との距離は,スズメの観察の有無に対して有意に負の影響を持っていた.また,スズメの採食場所選択における水稲田の成熟段階の影響は,8月下旬の調査においてのみ見られ,完熟期の水稲田はスズメの利用に有意に正の効果を持っていた.これらのことから,スズメは住宅に近い水稲田もしくは,完熟期の水稲田を採食場所として選好することが示された.
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短報
  • 森口 紗千子
    62 巻 (2013) 1 号 p. 31-37
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     北海道十勝地方の農地を繁殖期に利用する鳥類を,隣接するエンバク圃場とバレイショ圃場および防風林の約10.5 haの農地で調査した.合計26種のべ1,252個体が出現したが,営巣行動がみられた種は3種だった.最も優占し,なわばりを推定できた唯一の種はヒバリAlauda arvensisであり,その密度は平均0.36つがい/haであった.鳥類相の多様度はエンバク圃場とバレイショ圃場で低くなり,防風林で高かった.エンバク圃場とバレイショ圃場間の鳥類相の類似度は高く,両者と防風林との類似度は低かった.圃場に営巣するヒバリは,作物が成長する6月中旬まで繁殖が遅れ,繁殖の機会が減少している可能性が示された.
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  • 宮澤 絵里, 鈴木 惟司
    62 巻 (2013) 1 号 p. 38-44
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     多摩丘陵西部に位置する首都大学東京南大沢キャンパスにて,2009-2010年に移入鳥類ガビチョウGarrulax canorusの営巣場所と繁殖活動を調査した.ガビチョウは二次林からなる比較的自然状態に近い環境だけでなく,生垣や植栽林等のより人工的な環境にも営巣していた.巣の地上高は平均139.3±SD 44.57 cm(90-208 cm,N=10)であった.繁殖活動は4月から7月を中心に行っていた.2009年に本調査地内で出生し巣立ち前に標識された3個体のうち,オス1羽が翌2010年夏に本調査地内で繁殖に成功し,2010年9月,12月および2011年11月にも同じ場所で確認された.このことから,ガビチョウのオス個体において近距離の出生分散および1歳齢での繁殖成功が起こりうることが明らかとなった.
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  • 屋地 康平, 松木 吏弓, 北村 亘, 畔柳 俊幸, 足立 和郞
    62 巻 (2013) 1 号 p. 45-51
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     電力設備の塩害対策として広く用いられているシリコーンオイルコンパウンドの塗布部分には,鳥類が原因と見られる著しい剥離の進行が散見され,保守現場で問題となっている.適切な鳥害対策を施すためには,鳥類種の特定が必要であることから,本研究では,シリコーンオイルコンパウンドと思われる人工物質を内容したペリットを採取し,DNA分析による種の特定,およびIR分析による内容物同定を行った.その結果,ペリットの吐出主がハシブトガラスであること,およびペリット試料に含まれる人工物が,設備のシリコーンオイルコンパウンドと同一の成分であることを突き止め,シリコーンオイルコンパウンド塗布部分への被害が,ハシブトガラスによってもたらされたことを示す一例を突き止めた.また,カラスの行うシリコーン化合物の採食行動が,従来考えられていた人工物からの脂質摂取とは異なる目的でなされた行動である可能性を指摘した.
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  • 岡 奈理子, 土屋 光太郎, 河野 博, 菊池 知彦, 丸山 隆
    62 巻 (2013) 1 号 p. 52-56
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     伊豆諸島鳥島(北緯30°29′02″東経140°18′11″)で,2000年5月中旬,巣立ち期に近いクロアシアホウドリPhoebastria nigripes(Audubon 1849)のヒナが吐出した胃内容物を採取し同定した.4羽すべてが中深層性の遊泳動物を吐出した.このうちイカ類はアカイカ科トビイカ属トビイカSthenoteuthis oualaniensis,ダイオウイカ科ダイオウイカ属,サメハダホオズキイカ科オオホオズキイカ属,ユウレイイカ科ユウレイイカ属,魚類はクロボウズギス科,エビ類はヒオドシエビ科アタマエビ属アタマエビNotostomus japonicusの成体であった.クロボウズギス科はクロアシアホウドリの胃内容物から初めて出現した.クロアシアホウドリの親鳥自らがこれらの中深層性の遊泳動物を自力で捕獲したとみるより,人間活動により投棄されたり,餌動物自らが潜水遊泳に長けた高次捕食者の採食活動や他の理由で死んで浮上したものを,採食した可能性が高いと考えられた.クロアシアホウドリが本来は採食機会がない中深層性の遊泳動物を採食していたことは,彼らが海洋のスカベンジャー,もしくは人間活動や他の高次捕食者の採食活動などに依存した採食ニッチを持つことを示す.
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  • 土屋 健児, 風間 健太郎, 井上 裕紀子, 藤井 英紀, 新妻 靖章
    62 巻 (2013) 1 号 p. 57-63
    公開日: 2013/05/28
    ジャーナル フリー
     海鳥の繁殖期の食性は,繁殖成績の年変動や地域差を生み出す要因の一つである.カワウPhalacrocorax carboの繁殖成績は繁殖地や年ごとに大きく異なることが知られているが,本種の繁殖期の食性の地域差や年差はあまり知られていない.本研究では中部地域の5つのカワウのコロニーにおいて,2009-2011年の育雛期の食性を吐き戻しの収集により調査した.カワウの食性は年や場所によって大きく異なった.沿岸域のコロニーでは多くの年でボラMugil cephalus cephalusやコノシロKonosirus punctatusの出現割合が70%以上を占めた.内陸域のコロニーでは,沿岸域とは異なり,いずれの年においても多様な餌種が出現した.沿岸・内陸いずれのコロニーにおいても,魚類の出現割合が低い年には代わりにアメリカザリガニProcambarus clarkiiやテナガエビMacrobrachium nipponenseが出現した.
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観察記録
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