日本鳥学会誌
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65 巻 , 2 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
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総説
  • 浅井 芝樹, 岩見 恭子, 斉藤 安行, 亀谷 辰朗
    65 巻 (2016) 2 号 p. 105-128
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
     2012年に発行された最新の日本鳥類目録改訂第7版で採用された学名と分類について,スズメ目の15科に含まれる154タクサを対象に,日本鳥類目録改訂第6版と世界鳥類リスト(IOCリスト)との相違点に注目して最新の分子系統学の観点から検証した.この結果,第6版と相違があったのは50タクサであり,IOCリストと相違があったのは25タクサであった.第7版は概ね分子系統学的研究を反映しているとみなせたが,マヒワ,ベニヒワ,コベニヒワ,ハシボソガラス,カササギについては分子系統学研究の結果を反映しているとは言えなかった.マヒワ,ベニヒワ,コベニヒワはそれぞれSpinus spinusAcanthis flammeaAcanthis hornemanniとされるべきである.ハシボソガラスの亜種境界には議論の余地があり,カササギとその近縁種間の分類は再検討の余地がある.ヤマガラ,ベニマシコ,オガサワラマシコについては第7版出版以降の研究によって別の学名が提唱されており,それぞれの属名はSittiparusCarpodacusCarpodacusとすることが提唱されている.ヤマガラについては2つの亜種が種として扱われるようになるかもしれない.分類学上の問題ではないが,ニュウナイスズメの学名は先取権の原則からPasser cinnamomeusとされるべきである.モリツバメの学名の正しい綴りについては,国際動物命名規約の不備によって結論が出せないままとなった.日本鳥類目録は,版を重ねる過程でいくつかのタクサをシノニムとして抹消してきたが,その根拠となる研究が十分にされているとは言えず,今後の研究によってまた大きく再編される可能性もある.
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原著論文
  • 内田 博, 大堀 聰, 黒江 美紗子
    65 巻 (2016) 2 号 p. 129-142
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー
     埼玉県の北西部の本庄市周辺でオオタカの1歳未満の雄幼鳥3羽と雄成鳥1羽を捕獲し,発信器を装着して行動追跡を行った.幼鳥のうちの2羽は定着後1年経った1歳時に,1羽は2年後の2歳時に繁殖なわばりを獲得し繁殖した.幼鳥3個体が獲得した繁殖なわばりは,独身期の行動圏内であった.繁殖未経験の個体の行動圏面積は成鳥に比べ大きく,最外郭法で4.2倍(95%カーネル法で11.5倍)の広さがあった.調査中にこれらの新規加入個体が遠くに移動することは無く,捕獲場所である大久保山周辺に定住していたことから,調査対象地に定着していたと考えられる.独身期の個体の行動圏は互いに重複が多く,繁殖なわばりを獲得してからは,重複部は減少した.幼鳥と成鳥との争いでは,成鳥が常に優位であり,繁殖期は成鳥の営巣場所近くは避ける行動が観察された.新規加入個体は,幼鳥時はなわばり誇示行動が見られなかったが,成鳥になった後は,1月から4月の繁殖開始時期になわばりを誇示する行動を行った.オオタカの幼鳥は生まれた年の冬には新しい生息場所に定着し,それ以降の成鳥になるまでの行動圏内で繁殖なわばりを獲得すると示唆された.
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  • 雲野 明
    65 巻 (2016) 2 号 p. 143-152
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー
     2008年4月~2011年3月の降雪期に北海道空知地域で,クマゲラ Dryocopus martius とオオアカゲラ Dendrocopos leucotos の採餌場所を直接観察することにより,両種の採餌場所,つつかれ出た木くずや樹皮の大きさ,くちばし痕の幅を比較した.さらにこれらのデータを使って両種の採餌痕を識別する方法について検討した.また,博物館標本を用いてくちばしサイズの計測を行った.クマゲラのみ針葉樹で採餌し,採餌木の胸高直径はクマゲラの方が太かった.枯死木利用率は両種でほぼ同じあり,クマゲラだけ生幹で採餌し,オオアカゲラは枯枝で採餌することが多かった.つつかれ出た最も大きい木くずや剥がされた樹皮の大きさは,クマゲラの方が大きかった.くちばし痕の幅に影響を与える要因を調べるため一般化線形モデルで解析した結果,鳥種のみがくちばし痕の幅に影響を与え,鳥種×性,木くずの堅さ,樹種はくちばし痕の幅に影響を与えなかった.くちばし痕の幅はクマゲラで 4~7 mm,オオアカゲラで 2~5 mmと,6 mm以上のものはすべてクマゲラのものであった.1箇所でくちばし痕の幅を3つ測定できた場合の中央値は,クマゲラで 4~6 mm,オオアカゲラで 2~4 mmであり,5 mm以上はクマゲラだけであった.クマゲラのくちばし幅の実測データを使いブートストラップ法により確率を推定すると,最大値を用いるより,くちばし幅が3個測定できた場合で,その中央値が 5 mm以上である場合の確率の平均は0.904(95%パーセンタイル信頼区間:0.788~0.988)と高く,クマゲラの採餌痕を判別する基準としての信頼性は高かった.クマゲラとオオアカゲラの採餌痕を分類するために構築した樹形モデルでは,まずもっとも大きい木くずの大きさ13以上でクマゲラを分け,残ったデータを採餌位置で,生幹をクマゲラ,生枝,枯幹,枯枝をオオアカゲラと分類した.この場合のクマゲラの正答率は75.4%であった.標本を用いて,両種のくちばしを計測した結果,計測したどの部位に関しても明らかにクマゲラのくちばしは大きかった.
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短報
  • 原口 優子, 吉野 智生, 高瀬 公三
    65 巻 (2016) 2 号 p. 153-160
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー
     世界的に貴重なナベヅル及びマナヅルなどツル類の越冬地として知られる出水平野における,2003年から2013年にかけてのツル類の死亡個体数と,2009年から2013年の間に実施した93個体の解剖調査の所見をまとめた.ナベヅルは成鳥よりも幼鳥の死亡個体数が多かったが,マナヅルでは成鳥と幼鳥の死亡個体数は同じであった.両種とも12月の死亡が多かった.解剖所見を自然要因(感染症等),人為要因(電線衝突等)および不明の3つに大別したところ,ナベヅルでは自然要因が60.0%であったが,マナヅルでは人為要因が63.6%と多くを占めた.
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  • 嶋田 哲郎, 神山 和夫, 森 晃, 藤本 泰文
    65 巻 (2016) 2 号 p. 161-166
    公開日: 2016/11/22
    ジャーナル フリー
     マガンは全国的に個体数が増加し,そのうち9割以上の群れが伊豆沼・内沼など宮城県北部で越冬する.ガン類は広い水面をねぐらとして利用するため,水面の確保が重要だが,伊豆沼・内沼ではハスが年々拡大し,水面の85%を占めている.この研究では,マガンのねぐらとなる水面の確保へ向けた保全対策をすすめるため,沼の北部,南部の2カ所においてUAVによってハス群落内部,周縁部,ハスのない水面で撮影を行い,マガンのねぐらとしての伊豆沼・内沼の環境収容力を推定した.UAV降下の際,マガンの警戒行動は認められなかった.ハス群落内部の茎密度は263.3本/aで,周縁部の茎密度(106.0本/a)より有意に高かった.茎密度の高い群落ではマガンは観察されなかった.ハス群落周縁部では,記録された1,540羽のマガンのうち,97%にあたる1,494羽がハスのない水面を利用した.マガンの個体間距離は北部のねぐらで1.3 m,南部のねぐらで1.2 mであった.この個体間距離とねぐら個体数にもとづいて,ねぐらとしてマガンにとって必要な水面の面積は13.3~18.9 haと推定され,その面積は,ハスのない,ねぐらとして利用可能な水面の22.9~32.5%を占めることが明らかとなった.
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観察記録
その他
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