コウノトリ科に属するヨーロッパコウノトリ(
Ciconia c. ciconia),ニホンコウノトリ(
Ciconia c. boyciana),ナベコウ(
Ciconia nigra),およびアメリカトキコウ(
Myecteria americana)を用いて,2,3の血清学的形質について検討した.
対象とした形質は血清タンパク質,血清エステラーゼ,血清アミラーゼ,ヘモグロビンで,これらを澱粉ゲル電気泳動法およびポリアクリルアマイドゲゲル電気泳動法により追求した.その結果は次のように要約される.
1) コウノトリ属の3種とアメリカトキコウは,明らかに異なる泳動像を示し,血清学的に識別可能である.
コウノトリ属における血清学的関係は,ニホンコウノトリに対してヨーロッパコウノトリの方がナベコウより近縁の関係にあることが推定された.この結果は,形態学的な分類と一致し,血清学的諸形質が種間の類縁関係をよく示しているように考えられた.
2) ニホンコウノトリでは,α,βグロブリン域,および血清エステラーゼにおいて,また,ヨーロッパトウノトリでは,血清アミラーゼにおいて個体変異がみとめられた.
今後,コウノトリ科の他の属や同一属に属する近縁種問の相互関係を血清学的に追求することにより,コウノトリ科各種の類縁関係が一層明確にできるものと思われる.
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