飼いウズラと言われ家禽化されたとみられているものも,その形態は野生ウズラと変らない.このことから優れた生産能力をもつ飼いウズラは育種された能力か,野生のものでも飼育条件下によっては優れた生産を発揮する能力をもつ種ではないかともみられる.この問題を解明する目的で野生ウズラと飼いウズラの比較研究を計画した.その第1段階として野生ウズラの学術研究用許可による捕獲を行った.捕獲鳥の性比ならびに体部形質の変異に知見を得た.
1)野生ウズラを括りワナとカスミ網でオトリを置いて捕獲を行った.カスミ網では,雌雄が等しく捕獲されたが,ワナでは,雄が多く捕獲され,雄64.2%対雌35.8%であった.この原因は,オトリに近づいて来る場合は,雌雄比が1対1に近い値で飛び降りる.その理由で,カスミ網では1対1で捕獲されるが,ワナの場合は,地上における行動に雌雄差があって,雄の歩行量が著しく多く,その結果,ワナに遭遇する確率を高めることに起因するものと考察された.
2)捕獲時における体重と外測*蹠長を捕獲5年間の全個体で測定した.捕獲年次によって体重は有意な差異を示したが,附蹟長では差異がみられなかった.体重の年次差異の原因は,渡り時における栄養物の摂取の多寡によって生じたものと推測された.
3)1970年の捕獲においては,翼長,尾長,階峰長および内測附蹟長を体重と外測附蹟長に付け加えて測定し,過去に報告されている論文に記載されているものと測定値の比較を行った結果,数十年前のものと現存のものとの間に大きな差異はみられなかった.
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