ヤマドリの骨格筋(外腹斜筋,内腹斜筋,僧帽筋,広背筋,浅胸筋,深胸筋,上腕三頭筋,長橈側 手根伸筋,縫工筋,半腱様筋,半膜様筋,大腿直筋,腓腹筋外側頭,腓腹筋内側頭,ヒラメ筋)における筋線維型構成,筋線維の太さ,ミオシン ATPase 活性の pH 安定性について検討した.得られた結果は次の通りである.
(1)ヤマドリの骨格筋線維は,SDH,phosphoryase,ミオシン ATPase 活性により FG 型,FOG 型,SO 型の3種類のメインタイプに,さらに βHBD,aldolase,αGPD などの活性により,合計9種のサブタイプに分類することができた.
(2)各筋における各筋線維型の構成比率をみると,大部分の筋では FG 型が高率であるが,僧帽筋,半膜様筋,ヒラメ筋では FOG 型や SO 型筋線維が相対的に高率に分布していた.
(3)筋線維の太さは筋線維型によって異なり,腓腹筋とヒラメ筋を除いて FG 型筋線維が最も太く,ついで FOG 型であり,SO 型が最も細い傾向にあった.
(4)ミオシン ATPase 活性の pH 安定性と筋線維型の相関を調べた結果,活性の安定域の変異はFOG型やSO型では非常に小さいが,FG 型でやや大きくなる傾向があった.また,FG型のミオシン ATPase の安定域は,酸領域で狭く,アルカリ領域で広かったが,SO 型では反対に酸領域で広く,アルカリ領域で狭かった.さらに FOG 型では両者の中間的な特微を示す傾向がみられた.
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