日本評価学会は、既存の「評価士養成講座」の専門分野版として、2011年8月に第1期の「学校専門評価士養成講座」を創設した。この背景には、2007年6月の「学校教育法」改正による学校評価の法制化や、それまでの政府による学校評価施策の段階的推進がある。現段階では、ほぼ全ての公立学校で着手されたといえるようになったが、学校運営を改善し保護者等に必要な情報をもたらすという制度のねらい通りに普及していると言うにはなお多くの課題が指摘されている。なかでも、学校評価を運営の改善につながるような形で当該学校の状況に応じて自在に企画し、学校評価の実施に寄与することができる評価人材の養成は、全国的に重要な課題である。
学校専門評価士養成講座では、「学校評価の計画・実施を担当できる専門的能力を身につけた人材」を養成するために、評価者としての心構えや学校評価の制度・手法についての講義を行い、実践感覚を養う実技や演習を実施し、第1期の学校専門評価士12名を世に送り出した。講座の実施経緯を振り返るなかで、わが国の学校評価が必要とする評価人材の養成という全国的な課題に照らして、講座がどのような貢献をなし得たか;どのような不十分さを抱えていたかを検討したい。そのことで、今後の講座内容の改善方向を探るだけでなく、講座以外の場での学校評価人材の養成にかかる留意点を見出そうとした。
抄録全体を表示