限りある貴重な開発資源を総花的ではなく選択と集中、そして援助形態の組み合わせの妙を出すことがODA戦略の鍵となる。そのために必要なのがODAの戦略的評価である。
戦略を実行するための細かな事業計画が戦術であるが、従来のODA評価は戦術レベルの評価、つまり事業レベルの評価に偏りすぎている。それでは結果的に総花的な援助、つまり戦術ばかりで戦略なき援助となり、開発資源の効果的な活用とはならないであろう。
本稿では、戦略的ODA評価の事例研究として対バングラデシュODAのセクター/タイプ別マクロ経済的インパクト評価を試みる。開発援助の評価をマクロ経済指標へのインパクトに集約させるアイデアは、一定の戦略的インプリケーションを与えてくれるものである。
今後の課題は、まず大局的観点から被援助国の開発にとって効果的なODA分野を絞り、それから各重点分野における具体的なプロジェクトを複眼的観点から選択するという包括的かつ体系的な評価手法の開発とそれに基づく事例研究の積み重ねである。
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