日本評価研究
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5 巻, 1 号
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  • 個人差による影響を受けない測定モデルの開発
    大久保 智哉, 中川 正宣, 牟田 博光, 前川 眞一
    2005 年 5 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2005/03/28
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    現在、内部評価報告書を、外部有識者などの第三者によってさらに評価するような2次評価がおこなわれるようになってきている。これら2次評価では、各報告書について評価項目ごとに評定者が評定付け (rating) をして、定量化した上で分析・検討されることが多い。しかし、このように定量化された指標は客観的でなければならないにもかかわらず、実際は評定者によって「甘い・厳しい」の個人差があるという指摘がなされている。そこで、本研究では評定データにおいて定量化された指標の客観性を向上させるために、評定の個人差を除去した指標を算出するため因子分析モデルを導入し、より客観性の高い測定モデルを提案した。また、特殊な欠損パタンにおいても因子分析モデルを適用できることを示し、実際場面での評定データの分析の幅が広がることを示した。また、それらの精度等についても検討を加え、有用な測定モデル・デザインについて提案した。
  • 理論着眼型評価思考の確立に向けて
    西出 順郎
    2005 年 5 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2005/03/28
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は、実用重視の行政評価、すなわち内部マネジメントの強化に資する行政評価を実現するため、現在の行政評価に内在する評価思考の深化を促し、行政評価の再構築に寄与することにある。評価思考の深化とは、従来の実績着眼型に加え、理論着眼型評価思考の確立を意味する。行政評価における実績着眼型の評価思考には、「評価手法の軽視」、「評価結果の軽視」、「ニーズ・アセスメントの軽視」、「事業と成果間における論理的連鎖の軽視」という4つの軽視、すなわち行政評価の機能不全をもたらす阻害要因を創り出す傾向がある。そのため、評価の本来の目的と評価の実施との間に不均衡が生じ、行政評価の目的に応じた有効活用は困難になる。一方、理論着眼型の評価思考は、事業の理論を論理的に検証するため、「説得力ある評価手法の導入」、「コミュニケーションカの向上」、「改革・改善志向の評価の強化」、「評価行為と意思決定行為の同一化」といった4つの効用をもたらす。そして、現在の行政評価に内在する阻害要因を克服するとともに、評価の目的と実施の最適化を促進する。行政評価は、理論着眼型評価思考の確立によって、実用重視に向けた更なる一歩を歩み出す。
  • 実践的方法論に関する考察と試案
    三輪 徳子
    2005 年 5 巻 1 号 p. 27-44
    発行日: 2005/03/28
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    近年、主要援助機関では多くの国別プログラム評価が行われてきた。しかしながら、インパクトや帰属 (attribution) の検証、さらに国別プログラムの評価可能性の問題もあり、方法論は確立されていない。JICAも過去に8件の評価を実施する中で、同様の問題に直面してきた。一方、結果重視や援助協調の進展は、援助効果やその評価の概念に変化をもたらしており、効果の検証においても貢献 (contribution) の視点が新たに重視されつつある。本稿は、以上のような問題及び新たな議論をふまえ、国別プログラム評価の改善に向けた実践的な評価方法を考察するものである。具体的には、効果の検証と評価可能性の2つの主要課題への対応に向けて、対象途上国の開発戦略における協力の位置付けを整理したマトリックスを用い、プログラムの妥当性や戦略の適切性を検証するとともに、プログラムの実績を合算し、貢献の概念に基づいて協力効果を評価する方法を提示している。そして評価を活用して国別プログラムを改善し、評価可能性を高めていく漸進的アプローチを提案している。
  • マネジメント・サイクルのスタートから実践へ
    大庭 孝之, 澤田 和宏, 森若 峰存, 塚田 幸広
    2005 年 5 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 2005/03/28
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    行政機関が行う政策の評価に関する法律の施行以来、中央省庁においても、政策評価が取り入れられてきている。国土交通省道路局では、政策評価制度の導入にあわせて、ユーザーにとっての成果を重視する成果志向の考え方を、組織全体の基本と位置づけ、アウトカム指標を用いた業績評価の手法を核とする新たな道路行政運営のしくみ (一連の行政運営の取組みを「成果志向の道路行政マネジメント」と称する) を導入している。
    本稿では、成果志向の道路行政マネジメントの立ち上げに関わった者として、以下のような様々な取組みや分かってきた課題を紹介する。
    ・アウトカム指標の設定と業績計画書・達成度報告書の公表を通じたマネジメントのスタート
    ・評価結果を施策や予算要求に活かすマネジメントサイクルの一巡
    ・日常業務への取組みに向けたガイダンスの策定など
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