日本評価研究
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8 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 市民社会の再構築をめざして
    田中 弥生
    2008 年 8 巻 3 号 p. 3-21
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    本論は、日本のNPOセクターの課題を市民性創造機能の強化に据え、そのための有力な動因となる政策と評価のあり方について検討することを目的としている。2008年はNPO法が制定され10年にあたるがNPOが支援者としての市民との関係を構築しきれていない現状を指摘した。この関係促進のためにNPOと各ステイクホルダーが行いうる評価を概観した上で、それらの評価の総意として、市民による公益性評価 (PST) を考察した。そして、日本のNPOセクターの課題克服のために、市民による公益性評価を機軸にした税制度や民間支援との有機的な連携など、政策再編の方向を提案した。
  • モンゴルにおけるNGO実施事業を事例として
    池上 清子
    2008 年 8 巻 3 号 p. 23-32
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    ミレニアム開発目標 (MDGs) の5番目の目標である妊産婦の健康改善を達成するために、包括的なリプロダクティブ・ヘルスは欠くことのできない概念である。本稿の目的は、新しくMDG5に追加されたターゲットと指標を紹介したうえで、NGOが実施するリプロダクティブ・ヘルス推進のプロジェクトにおける評価を紹介し、さらにその評価を新たな指標との関連で見直し、男性の参加とMDG5推進に関連する課題を探ることである。モンゴルにおける第三者評価の事例を取り上げ、実際に評価時に使用された指標を紹介する。
  • KnKの中部ジャワ地震被災者支援事業評価を事例として
    森田 智
    2008 年 8 巻 3 号 p. 33-50
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    近年、国内において市民組織の影響力が増している中、国際協力NGOにとっては自らの活動の意義や効果等について関係者に説明し理解を得ることが問われているが、これまで国内ではNGOのアカウンタビリティに関して十分な議論が行われてきたとはいえない。また、そのような議論を行う際、NGOとは何者であるかといった問いを避けて通ることはできない。本稿では、評価の機能と役割がアカウンタビリティ担保において重要になるとの認識の下、KnKの事業評価事例を通じ、日本の国際協力NGOに問われるアカウンタビリティについて包括的見地から考察を行った。事例分析結果より、利害関係者が異なればアカウンタビリティの内容も異なり得るため、単一の事業における複数の評価の実施や、評価実施のプロセスへの利害関係者の積極的関与が有効になる点が示唆された。また、今後の展望及び課題として、NGOのビジョン・戦略のアカウンタビリティの担保が重要となる点、及びNGOと政府 (行政)、企業、市民を含む各アクターとの協働関係の構築の必要性が挙げられた。
  • 高橋 敏彦
    2008 年 8 巻 3 号 p. 51-66
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    平成18年、岩手県の協働事業を対象に市民参加型政策評価事業を実施した。このレポートはその結果を受けて、これからの協働プロセスのあり方を提案すると共に、政策評価を市民参加型で実施することの意義と課題を考えるものである。実施した評価活動の目的は、我々中間支援NPOグループと関係行政職員とが同じテーブルで協働プロセスを評価することによって、それぞれの立場から現在の協働環境を見直し、改善しようというものであった。評価の結果、協働プロセスにはまだまだ多くの課題があったものの、経験した双方の担当者の多くが、受益者にとってのきめ細かいサービスや自助努力の機運醸成、ニーズの正確な把握に効果を実感していたことがわかった。また、今般のように政策評価を市民参加型とすることによっても同様の効果が得られることが確かめられた。抽出された課題については、双方が自ら気づいたことによって素早い改善につながり、今後の政策推進に大きな効果があるものと思われる。今後は県だけではなく、多くの自治体で実施されることを期待している。
  • 長山 浩章
    2008 年 8 巻 3 号 p. 67-87
    発行日: 2008/09/30
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    本稿は、世界90カ国に関する1985年から2004年までの独自のパネルデータを用いて、電力セクター改革における各政策手段が上記地域の諸国における送配電ロス率、1人あたり設備容量、稼働率にどのような影響を与えたのか、計量経済学の手法を用いて分析を行った。研究の結果、以下2点が明らかになった。
    i) 外国IPPの導入、民営化、発送電分離 (アンバンドリング) は、より効率的な発電資産形成に資している。それは多くの地域で設備能力、設備利用率を向上させるが、先進国では古い設備の廃棄に伴う新しい発電設備の増強と稼働率向上の組み合わせとなるため、1人あたり設備能力は下がる。発展途上国においては、需要増が急速なため、1人あたり設備能力の向上という形をとる。
    ii) 小売り部門への競争導入は、先進国や旧ソ連・東欧において送配電ロスを低下させることに効果がある。
    電力セクター改革の成功に至る道筋は寡占独占企業である公益電力事業体がいくつかの民間企業に分離され、これらが互いに競争を行う中で、淘汰されていき、その過程でより効率のよい案件への投資、送配電ロスの低下、稼働率の向上を含む効率的な電力セクターの運営がすすむことにある。先進国においてはその動きが顕著にみられるが、発展途上国、経済体制移行国では現時点は過渡期であり、この期間において、発生した問題にどのように柔軟に、機動的に対処していくかということであろう。
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