本稿は、2011年度及び2021年度の公立小学校における少人数学級(35人学級)導入に関する予算編成過程を対象にし、財務省と文部科学省が使用したエビデンスを確認する。ここでは、エビデンスの多様性と多義性を前提としたうえで、どのようなエビデンスが用いられたのかに加え、それが両省でどのように扱われ、政策決定に影響を与えたのかについて確認する。
この事例においては、政策の採否に争いがあるところでは見解が相違し、エビデンスによる政策決定が困難となっていたこと、アジェンダ設定の際にエビデンスが政治に結びついていたことが確認された。
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