本稿では、都市高齢者のソーシャルサポート授受のパターンと、ソーシャルサポートとモラールとの関連性について検討した。都内在住の65歳以上の高齢者に対して質問紙調査を実施し、最終的に780名のデータを分析対象とした。分析を行う際、対象者の世帯における配偶者と同居子の有無という家族類型に着目して、4つのグループに分類した。結果は以下のとおりである。 (1) 4群いずれにおいても、情緒的サポートは家族や友人や近隣といったサポート資源と自発的にサポート授受を行っていた。 (2) 手段的サポートと介護的サポートは主に家族との間で授受されていた。したがって、これらのサポートは家族人数の減少につれて授受も減少していった。 (3) 「サポートを受領する必要がない」という自立性は、サポートの授受そのものよりもモラールに対して正の影響があった。 (4) 夫婦のみ世帯では、男性の場合、配偶者への提供サポートがモラールに正の影響をもっていた。一方、女性の場合、配偶者への提供サポートは、モラールに対して負の影響を持っていた。 (5) 配偶者も同居子もある男性では、子どもとの互酬的なサポート授受が高いモラールと関連していた。 (6) 4つの群の中で、配偶者と子どもの両方と同居している群で最もモラール得点が高く、同居していない群に移行するにつれモラール得点が低下していた。
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