家族社会学研究

「家庭の教育力」言説について思うこと

直井道子

2007 年 19 巻 2 号 p. 5-6
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_5

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父親, 母親が子どもへのコミットメントを維持する要因

加藤邦子

2007 年 19 巻 2 号 p. 7-19
発行日: 2007/10/30
公開日: 2010/02/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_7

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本研究の目的は, Rusbult理論を, 就労しながら育児に携わる父母が子どもへのコミットメントを維持する要因の分析に適用し仮説検索的に検討することである。理論に基づき, 親の子どもへのコミットメントは, 仕事と育児への資源の投入, ディストレス, 仕事と育児との選択比較水準の組み合わせによって規定されるとする修正モデルを作成した。第二回全国家族調査 (NFRJ03) から, 末子年齢12歳以下の子どもをもつ就業している父親526人, 母親323人を抽出して, モデルにあてはめ, 重回帰分析を実施した。
父母に共通した結果は, コミットメントは, ディストレスが低いほど, 育児への資源の投入が増えるほど良好で, 選択比較水準は, 育児を仕事意欲を高めるものとして評価しているほど, コミットメントは良好であることがわかった。子どもへのコミットメントを維持する要因についてRusbult理論を育児に適用する可能性が示唆された。

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フルタイム就業夫婦の育児分担を規定する要因

仕事との時間的葛藤を生じる育児を中心に

久保桂子

2007 年 19 巻 2 号 p. 20-31
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_20

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雇用労働と時間的葛藤を生じる育児, たとえば, 子どもの病気時の看護や保護者会への出席などは雇用労働の遂行を困難にする。本研究では, 仕事との時間的葛藤を生じる育児に焦点を当て, 夫婦の育児分担を規定する要因を検討する。分析には, 2005年に実施した既婚就業女性の夫婦調査から, 夫婦ともにフルタイムの雇用労働者で, かっ6歳未満の子どもをもつ677組の夫婦票を用いた。主な結果は以下のとおりである。妻の通勤・労働時間が長いほうが夫の育児分担度が高くなる一方, 夫の通勤・労働時間が長いほうが夫の育児分担度が低い。夫の職場が有給休暇の取りやすい職場の場合, 夫の育児分担度が高くなる。そして, 子どもの病気時の対応について, 夫婦が母親役割規範から自由であるほど夫の育児分担度が高い。さらに, 夫が家族の予定に配慮するほど夫の育児分担度が高いことが明らかになった。

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農村部における「家族の個人化」についての一考察

島根県中山間地域の事例研究

片岡佳美

2007 年 19 巻 2 号 p. 32-44
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_32

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本稿の目的は, 農村部における「家族の個人化」について, 島根県中山間地域のI・Uターン家族や家族経営協定締結家族を含む農林漁業従事者へのインタビュー調査の事例をもとに考察することである。事例では, 家族生活において個々の家族成員の自由な判断が他の家族成員によって尊重されており, 家族の個人化が起こっていることがうかがえた。一方で事例の家族は, 個人の自由と同時に集団としての家族も重視していた。家族集団が, 個人が農村で生活していくための適応手段としてとらえられ, そのために家族集団を維持する責任意識が各家族成員に生じることが示唆された。各家族成員はこの責任意識から, 家族集団を維持するための戦略として, 家族内で個人の自由を配慮しあうと考えられる。こうした考えから, 個人の自由と家族集団の維持・存続のバランスの問題を解決するうえでも, 農村家族の研究が今後ますます注目されると思われる。

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若者の老親扶養志向にみるジェンダー

「娘」の意識に注目して

中西泰子

2007 年 19 巻 2 号 p. 45-57
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_45

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近年, 日本では, 嫁による介護に代わって, 娘による介護に期待が寄せられている。娘による老親扶養は, 情緒的な結びつきに支えられた, 選好的な世代間関係と評される。しかし, その規定要因については, 十分な検証はなされていない。本稿では, 娘の老親扶養志向を規定する要因を, 社会的要因も含めて検証する。また, その独自性を明確化するために, 息子の扶養介護志向の規定要因も併せて分析し, 両者の比較考察を行う。対象は, 府中市在住の20代男女である。従属変数は, 老親に対する経済的扶養志向および介護扶養志向である。独立変数には, 父母との情緒的親密さに加えて, 社会的要因として, きょうだい構成や本人および親の学歴, 親の経済状態ライフコース志向を用いる。分析の結果, 娘の老親扶養は, 単に情緒的親密さによって支えられているのではなく, 性別分業という社会構造的要因によっても規定されていることが示された。

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妻からみた夫婦関係・夫からみた夫婦関係

「夫からの情緒的サポート」と「妻の苛立ち」による夫婦類型の計量的分析

鈴木富美子

2007 年 19 巻 2 号 p. 58-70
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_58

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本稿は男女共同社会への過渡的状況を生きる夫婦関係の諸相を計量的に描き出す試みである。夫婦関係を多元的にとらえるため, 「夫婦類型」の特徴を夫婦ペアデータから分析した。夫婦類型は「夫からの情緒的サポートの有無」と「妻の苛立ちの有無」に対する妻回答をもとに, 「サポート有・平穏型」「サポート有・苛立ち型」「サポート無・苛立ち型」「サポート無・平穏型」の4タイプを作成, 夫と妻および両者を組み合わせた「夫婦属性」, 行動面・意識面の共同性, 夫婦関係満足度から分析を行った。分析の結果, 「サポート有・平穏型」を除き, 行動面の共同性や夫婦間の意識の連関が低く, 妻の夫婦関係満足度は夫より低かった。このように, 結婚生活のひずみを背負っているのは主に妻であり, 現状のまま男女共同社会が到来するとこうした状況を助長しかねないことが明らかとなった。夫婦間の「代替戦争」を避けるには, 夫婦双方ともに労働環境の改善が急務となる。

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中国人女性の「周辺化」と結婚移住

送り出し側のプッシュ要因分析を通し

賽漢卓娜

2007 年 19 巻 2 号 p. 71-83
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_71

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「国際結婚」研究においては, 受け入れ社会の視点から来日後を中心に, 「アジアの花嫁」を扱う傾向がある。本稿は, 農村部に住む「中国人花嫁」を対象とした事例研究を通して, 送り出し社会に注目して結婚移民のプロセスを分析し, 「国際結婚」のプッシュ要因を検証した。その結果, 中国人妻が, 出身地である特定地域と日本との間にある経済的格差による経済的要因, ジェンダー的要因, 文化的要因などのプッシュ要因によって, 送り出し社会において多重に周辺化されていたことを見いだした。とくに, ジェンダー的要因として, 中国的家父長制的ジェンダー要因および新国際分業におけるネオ家父長制的ジェンダー要因を可視化した。考察を通して, 従来の抽象的な「農村の花嫁」像を問い直し, 農村部の「国際結婚」家族が形成される過程をダイナミックにとらえた。

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父親研究をめぐる国際シンポジウム

LaRossa氏を囲んで

石井クンツ昌子

2007 年 19 巻 2 号 p. 84-86
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_84

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The Culture and Conduct of Fatherhood in America, 1800 to 1960

Ralph LaRossa

2007 年 19 巻 2 号 p. 87-98
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_87

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A firm understanding of fatherhood in the present requires a deep appreciation of fatherhood in the past. To demonstrate what this proposition means, and to illustrate how complex fatherhood can be, I provide an overview of the social reconstruction of fatherhood in America between 1800 and 1960. It was during these 160 years that we see significant transformations in U.S. society and in the social institution of fatherhood-transformations that continue to reverberate today. The history of fatherhood in America also serves as a case study of sorts that brings to the fore the intricate ways that economic and ideological forces shape people's thoughts and behaviors, and helps to convey the difficulties associated with trying to grasp what happened in days gone by.

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全国家族調査の困難 : 第3回全国家族調査の実現にむけて

稲葉昭英

2007 年 19 巻 2 号 p. 99-105
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_99

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NFRJ08における複数調査票の作り方

保田時男

2007 年 19 巻 2 号 p. 106-112
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_106

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全国家族調査の質問項目の使用頻度

松田茂樹

2007 年 19 巻 2 号 p. 113-120
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_113

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書評

上野千鶴子

2007 年 19 巻 2 号 p. 121-122
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_121

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書評

瀬地山角

2007 年 19 巻 2 号 p. 123-124
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_123

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書評

大友由紀子

2007 年 19 巻 2 号 p. 125-126
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_125

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文献紹介

松木洋人

2007 年 19 巻 2 号 p. 127
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_127

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文献紹介

品田知美

2007 年 19 巻 2 号 p. 128
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_128

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文献紹介

岩澤美帆

2007 年 19 巻 2 号 p. 129
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_129

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文献紹介

土倉玲子

2007 年 19 巻 2 号 p. 130
発行日: 2007/10/30
公開日: 2009/08/04

DOIhttps://doi.org/10.4234/jjoffamilysociology.19.2_130

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