家族社会学研究
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20 巻, 2 号
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巻頭エッセイ
特別寄稿
投稿論文
  • —全国家族調査(NFRJ-S01)を用いた計量分析による双系化説の検討—
    施 利平
    2008 年 20 巻 2 号 p. 2_20-2_33
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,親子関係の出生コーホート間比較を行うことにより,戦後行われてきた二つの双系化仮説—仮説1「直系家族制の解体により,長男との同居パターンが消失すると同時に,親子間の援助における長男と他の子との差異,息子と娘との差異がなくなる」と仮説2「直系家族制の解体により,同居における長男優先のパターンが消失するとともに,抑制されていた娘や妻方親類との援助がより活発に行われるようになる」—を検証し,戦後の親子・親族関係の基本構造と変化のトレンドを明らかにすることである。「戦後日本の家族の歩み」調査(NFRJ-S01)のデータを用いて分析を行ったところ,夫方同居率の低下がみられるものの,長男同居のパターンの存続とともに,妻方援助の存在と顕在化の傾向があることが確認された。今日においても直系家族制と双系的な親類関係が共存していることは,仮説1の反証であるとともに仮説2の修正を要請するものである。
  • —世代間関係の双系化論に対する実証的アプローチ—
    岩井 紀子, 保田 時男
    2008 年 20 巻 2 号 p. 2_34-2_47
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
    父系的な規範に従えば,妻の親よりも夫の親との関係が優先される。しかし,日本においても,戦後の社会変動と人口変動のもとで,父系的な規範は弱まり,世代間関係の双系化についての議論が近年盛んになっている。本稿では,JGSS-2006のデータを用いて,別居親子に見られる夫側と妻側の世代間援助のバランスおよびその規定要因の偏りを分析している。社会において父系的な規範が弱まっている状況の下では,夫側と妻側を同等に扱う均衡化ベクトルだけでなく,援助の担い手である妻側の関係が優先されるベクトルも働いているという仮説について検証した結果,以下のような知見が得られた。(1)親からの援助のほうが,親への援助よりもバランスが取れている。(2)実践的援助のほうが,経済的援助よりもバランスが取れている。(3)援助の方向と内容にかかわらず,状況的要因は強く作用する。
  • —離婚相談の分析を通じて(1914~2007)—
    野田 潤
    2008 年 20 巻 2 号 p. 2_48-2_59
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
    近年,個人の選択性の増大や家族の拘束性の減少を意味する「家族の個人化」の進行が指摘され,増加する離婚率はその証左と見なされてきた。しかし子どもの存在を分析枠組に入れて新聞の離婚相談欄を研究した本稿からは,異なる知見が導かれた。まず,離婚したいという夫や妻個人の希望の正当性を,子どもという夫婦以外の第三者の都合から審査する傾向は,相談者の間では1930年代以降,2000年代の現在においても全く減少していない。次に,「あなたのための離婚」と述べて個人の選択権の増大を強調する1980年代以降に特徴的な回答者の言説は,実は「あなたのため」が「子のため」を阻害しないという前提のもとでしか語られていない。つまり夫婦の離婚は子どもという拘束からは自由になったとは言い切れないのである。このように本稿は子どもを分析枠組に入れることで,個人化とは矛盾する現代家族の一側面を明らかにした。
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