家族社会学研究
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22 巻 , 1 号
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巻頭エッセイ
特集
高齢期の新しいつながりの模索—グローバル化・個人と家族
  • —グローバル化・個人化と家族—
    岩上 真珠, 田渕 六郎
    2010 年 22 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    グローバル化,個人化が進むなかで,家族に何が起こっているのか。この新たな課題に対して,いま家族研究に求められていることを,ライフコースの最後の段階,すなわち高齢期から照射してみようというのが,今回のシンポジウムの意図である。
    高齢化/超高齢化が高齢期家族関係をどのように変化させるのか,また世代間関係の変化が近代家族の変容とどのように結びつくのかについて,グローバル化・個人化という文脈に照準してなされた議論,および家族・親族関係を越えた高齢者の「つながり」をマクロな文脈との関連で論ずる議論は,まだそれほど多くは行われておらず,本テーマ設定の意義は小さくないと考える。今回はとくに,ミクロ-マクロを媒介するメゾシステムとしての「地域」に注目し,さらに研究と実践との対話を心がけた。家族研究への挑戦的な試みとして,社会学,NPO,法社会学の立場からのコラボレーションを企画した次第である。
  • —「家族」から「家庭」再構築へ—
    安達 正嗣
    2010 年 22 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    再帰的近代化や個人化としてのグローバル化が進行するなかで,未婚のひとり暮らしといった家族周期外の高齢者が急増している。そこで,高齢者と家族に関する研究にも新たなパースペクティヴが必要とされている。本稿は,「個としての高齢者による家族再構築」の視点の再検討を通じて,高齢期家族研究をすすめていくうえでの新たなパースペクティヴや課題の提言を試みたものである。これからの研究の方向性としては,相互作用論的アプローチを援用しながら,「家族」から「家庭」再構築へのパースペクティヴの転換を指摘している。さらに,男性のコミュニケーション能力,ならびに日本における家族主義的福祉国家の転換と関連させた今後の研究課題をあげることによって,こうしたパースペクティヴの転換が「国家・家族・地域・個人(高齢者)」のあり方を考えなおすための重要な論点になっていることを強調している。
  • —地域福祉実践を通じて—
    山王丸 由紀子
    2010 年 22 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,高齢化の進む大阪市中心部で地域密着型の事業を展開する介護系NPO法人フェリスモンテの活動を紹介するとともに,その実践の経験に基づいて,介護サービス利用をめぐる要介護高齢者とその家族の関係を考察することである。一般的には,高齢者とその家族との間に良好な関係が結ばれている場合に良好なサービス利用が促進されやすいものの,NPOスタッフと高齢者とのかかわりのなかで家族関係が良好な方向に再構築される場合もある。地域に密着した介護事業の展開においては,家族関係を代替する方向ではなく,高齢者の介護をめぐって家族と地域の新しい関係を築いていくことが求められている。実践と研究の交流を通じてそうした関係づくりのための知見が深められることが期待される。
  • —日本型家族の解体と葬送—
    森 謙二
    2010 年 22 巻 1 号 p. 30-42
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    葬送領域(葬ること)において,大きなパラダイム変化が起こっている。日本の近代家族は,祖先崇拝の機能をもち続け,民法もそれを容認してきた。20世紀の末になると,少子化によって祭祀承継者(アトツギ)の確保が困難になり,祖先祭祀の機能をもち続けた日本の近代家族は解体を始める。人々は地域や家族とのつながりが希薄になって,あらゆるものが市場化・商品化するなかで,自分自身の意志によって(自己決定)によって,葬送のあり方を決めたいと思うようになった。この現象を「葬送の個人化」と呼んでおく。葬式は家族だけで行い,人の死が社会に伝えられなくなった。お墓は家族が引き継ぐものではなく,樹木葬や散骨が急速に増えてきた。他方では,貧困層ではお金がないために葬式をあげることができない人々が増えるようになった。新自由主義の展開のもとで,葬送領域でも「格差」が顕著になってきた。
  • 石原 邦雄
    2010 年 22 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    シンポジウムの際のコメンテーターの立場から,当日の報告により得られた示唆と家族研究において考えるべきポイントとして,以下の2点を指摘した。
    第1に,統計的にも増加しつつある独身男性高齢者に典型的に見られるコミュニケーション能力の不足と,そこから生じる社会的孤立などの問題に注意を向ける必要があること,そのためにも,従来日本の家族研究では根付いていなかった,コミュニケーション論や相互作用論による研究が求められる。第2には,葬送の「個人化」に関連して,それが市場化・商品化と連動することによるネガティブな側面に着目することの重要性を再確認するとともに,より基礎的には,家族について何らかの制度論的,文化論的なアプローチによる研究が改めて求められているのではないか。
  • 後藤 澄江
    2010 年 22 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    21世紀に入ってからの10年間を振り返ってみると,高齢期家族をめぐる問題は複雑な様相をみせ,主体的・選択的に社会関係を結ぶ「個としての高齢者」という枠組のみでは把握できない実態が生じている。シンポジウムでの3報告を踏まえ,近年の大きな関心事である社会的孤立に着目しながら,高齢期家族研究の課題を三つ指摘した。第1は,家庭の内にも外にも居場所やつながりのない高齢者の社会的孤立の背景分析を深めるとともに,その解消に向けての方策を提示することである。第2は,社会的に孤立した高齢者にとって,地域コミュニティを基盤とした介護系NPO法人による活動が,新たな居場所やつながりとなりうるかどうかの可能性と限界の検討である。さいごに,「あの世の先祖とこの世の自分とは目に見えない絆で結ばれている」という日本人の宗教観および死生観の衰退が,家族・親族とのつながり感情の劣化にどのような影響をもたらしてきたかの分析である。
投稿論文
  • 不破 麻紀子, 筒井 淳也
    2010 年 22 巻 1 号 p. 52-63
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    夫婦間の家事分担は,収入や時間的制約の差を考慮に入れても,実際の家事の多くを妻が担っているという不公平な状態になっている。それにもかかわらず妻側の不公平感は高くなく,こういった状態は経済的・時間的要因では説明ができない。これに対してジェンダー理論では妻の伝統的性別役割分業意識が強い場合は不公平感が弱いという説明を行ってきた。本論文ではこれに加え,特定の家事分担状態が不公平であるかどうかの判断基準には,社会的環境の影響も強く働いていると予測する。つまり自分が属している社会の分担水準が公平の判断基準となり,それが自分の家事分担の不公平感に影響していることが考えられる。家事分担と不公平感に関する国際比較データから,妻の家事分担比率が高い国,性別役割分業意識が強い国では,実際に妻の家事負担が大きく,また,妻が長時間働いていたり,高学歴であっても,不公平感をもちにくいということが明らかになった。
  • 松井 真一
    2010 年 22 巻 1 号 p. 64-76
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    本稿は,京都市の女性を対象にしたデータを用いて,女性の非市場型社会活動において性別役割意識がどのように働くのかを明らかにする。
    分析では性別役割意識の多次元的構成に注目して検討した。分析結果は次のとおりである。まず,性別役割意識は性による役割の振り分けを肯定する「性別分化的役割意識」と他者へのケアを志向する「支援的役割意識」により構成される。二つの性別役割意識は異なった働きをし,性別分化的役割意識はボランティア活動や学習会・研修会活動といった非市場型社会活動を抑制する効果をもつ。一方で,支援的役割意識は,役員活動やボランティア活動といった非市場型の社会活動を促進させる。本稿は,支援的役割意識が非市場型社会活動を活発化させることについて,歴史的に形成されてきた女性のハビトゥスが家庭外の活動において「ケア」領域へ関心を向けさせるからであるという解釈を提示する。
  • 立山 徳子
    2010 年 22 巻 1 号 p. 77-88
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/10
    ジャーナル フリー
    本稿では都市度(都心・郊外・村落)が「家族・コミュニティ問題」にどのような関連をもつのかを,子育てにおける世帯内ネットワークのサポート動員から検討した。
    主な知見は次の三つである。1)都市度は夫の子育てサポートと関連せず,都市度と強く関連する夫の就労スタイルが夫の子育てサポートの多少を説明する効果をもつ。2)親同居世帯に限った分析から,世帯内サポート(夫サポートと同居親サポートの総和)は都市度ではなく夫の就労スタイルと関連をもち,また世帯内サポートの差は同居親サポートではなく夫サポートの差によるものであった。3)都市度と育児孤立との間に関連は確認されず,夫サポートならびに世帯内サポート量と育児孤立の間に有意な負の相関関係が確認された。だがこれを都市度別に確認すると,郊外のみにこの負の相関関係が確認された。
    以上から,都市度は間接的ながら,都市空間における世帯内ネットワークの差異を説明するといえる。
NFRJ(全国家族調査)レポート
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