家族社会学研究
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23 巻 , 1 号
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巻頭エッセイ
特別寄稿
特集
日本の家族の変化とこれから
  • 岩井 紀子
    2011 年 23 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    21世紀初頭は,若者や女性を中心として,雇用の流動化と不安定化が進み,晩婚化が一層進行し,格差の拡大が指摘された時期である.少子高齢化社会の進展に伴い,介護保険制度が導入され,老親扶養意識に大きな影響を与えた時期でもある.家族を取り巻くこのような環境の変化は,日本の家族の構造や機能ならびに個人の意識にどのような影響を与えたのであろうか.日本家族社会学会創立20周年の節目にあたる大会のシンポジウムでは,この時期に実施された3つの全国調査のデータに基づいて,日本の家族の変化と現状をとらえ,日本の家族のこれからについて論じる.3つの調査とは,日本家族社会学会が1998年,2003年,2008年に実施した「全国家族調査」,大阪商業大学JGSS研究センターが2000年から2010年にかけて8回実施した「Japanese General Social Survey」そして,国立社会保障・人口問題研究所が1994年から5年毎に実施している「世帯動態調査」である.
  • 鈴木 透
    2011 年 23 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    国立社会保障・人口問題研究所では旧厚生省人口問題研究所(1939~96年)の頃から世帯動態調査を実施しており,世帯推計のためのパラメタを入手することを主要な目的としている.本稿は主に第5回世帯動態調査(2004年)にもとづき,離家の動向や性差に注目する.分析の結果,晩婚化とともに離家のタイミングが遅れていることが確認できる.また男子の方が結婚前離家が多いため中央離家年齢は男子の方が若いが,このようなパターンは欧米先進国にはみられない.さらに最新の世帯推計に見られる核家族化の減速と逆転にも注目する.単独世帯の増加を別にして,二人以上世帯に占める核家族世帯の割合は2015年まで増加するが,その後は減少に転じることが予想される.こうした変化は,年齢構造と配偶関係の変化によって生じることを示す.
  • 岩井 紀子
    2011 年 23 巻 1 号 p. 30-42
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    本稿は,Japanese General Social Surveyのデータを基に日本の家族の変化をとらえ,現状を把握し,今後の方向について考える資料を提供する.2000年から2010年までに継続的に尋ねた85項目を14分野に分けて変化のトレンドを記述する:婚姻状態,同居世帯員,世帯構成,就労・所得,夫婦の働き方,階層意識,結婚観,性別役割意識・夫婦別姓,子ども観,セクシュアリティ,育児・介護の社会化,家族生活,墓についての意識,満足度・幸福感.個人も家族も,雇用情勢の変化に振り回されながらも,強い不満を抱くことなく,現実に向き合っている.若年層の無職・非正規雇用が拡大し,未婚率を押し上げ,未婚成人子の親との同居が増加した.女性の就業率は全体として高まり,M字の谷が浅くなった.高齢者の生活保障と介護の社会化に続いて,育児・教育の社会化が望まれている.若年層と女性の就労の変化が,家族の今後に与える影響は大きく,税制と雇用政策と福祉の全体像の改革に左右される.
  • 稲葉 昭英
    2011 年 23 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    日本家族社会学会全国家族調査委員会による過去3回の全国家族調査(NFRJ98, 03, 08)データを用いて家族の趨勢的変化について検討を行う.分析対象を夫婦関係に限定し,末子0-6歳時の女性(母親)の就業状況,夫の家事・育児の分担状況,ライフステージを通じての結婚満足度を比較したが,3つの時点間で大きな変動は観察されなかった.これら,夫婦と子(核家族)を内包する家族に関しては,安定的な構造が示されたのである.では,変動はどのような場所に生起しているのだろうか.それは初婚継続家族の外側,つまり非初婚継続家族の増加を意味する.近年の家族の変動とは,社会空間における非初婚継続家族の比率の増加とみなすことができる.非初婚継続家族の経験は,いくつかの指標において初婚継続家族に比して不利なものであることが示された.こうした格差の存在は,これらの家族への所属が自主的な選択によるものとは考えがたいことを示唆するものである.
投稿論文
  • —夫の社会経済的地位による交互作用—
    島 直子
    2011 年 23 巻 1 号 p. 53-64
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    これまでの計量研究によって,妻が有職である夫は妻が無職である夫に比較して性別役割分業に否定的であることが明らかにされてきた.しかし夫婦のパワー関係やジェンダー意識の深層について分析した質的研究では,妻の就労が夫の性別役割分業意識に及ぼす影響は夫の社会経済的地位により異なることが見出されている.それらによると,社会経済的地位が低い夫にとって妻の就労は稼ぎ手としての地位とパワーを奪う「脅威」であり,ゆえに彼らは,妻の就労によってむしろ性別役割分業規範に固執するようになることが推測される.そこで本論文では第2回/第3回全国家族調査データを用いて,妻の就労が夫の性別役割分業意識に及ぼす影響において,夫の社会経済的地位による違いがみられるか検討した.分析の結果,妻の家計貢献度が50%以上のグループでは,社会経済的地位が低い夫は,社会経済的地位が高い夫ほど性別役割分業を否定しないことが示された.
  • —父親向け育児・教育雑誌に見る育児戦略と言説—
    天童 睦子, 高橋 均
    2011 年 23 巻 1 号 p. 65-76
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    本稿では,2000年代半ば以降に登場した父親向け育児・教育情報誌に注目し,その言説分析を行う.父親の育児参加研究には注目が集まっているが,育児メディアにおける父親の子育て関与や主体化を言説分析の観点から行った研究は未だ少ない.本稿では,言説と主体化の理論的考察,および教育言説の視点による言説分析の枠組みの検討を行い,戦後から現代までの育児メディアの変容を概観したうえで,近年の代表的なビジネス系父親向け育児・教育情報誌にみられる育児・教育言説分析を行う.とくに『プレジデントFamily』等の雑誌言説に立ち現れる家族の育児戦略の考察を通して,子育てする父親の「主体化」,子どもに濃密な教育的まなざしを注ぐ教育家族の強化,家族の再ジェンダー化を示唆する.
  • 夏堀 摂
    2011 年 23 巻 1 号 p. 77-88
    発行日: 2011/04/30
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    本稿では,1950年代に知的障害児の親たちを対象として親の会が行った啓蒙活動に注目し,知的障害児の母親の役割モデルが提示される過程で,特定の母親の手記が果たした役割について検討した.大衆雑誌媒体に掲載されたある手記を通して,読者である親たちは苦悩を共有できる同輩を見出し,育児にかかわる知識・情報・技術を共有するとともに,会へと結集していった.だが,その過程は同時に,個々の母親たちが手記に描かれた親役割を参照しながら,新しい「適切な」行動様式を積極的に学んでいく過程でもあった.手記には,役割モデルを個々の母親に内面化させ,役割の遂行を促進し,同時に他者との比較において自己の実践を評価させる効果があり,そうした実践を通じて母親の役割モデルの規範性が強化されていく過程が明らかになった.この時期に一定の影響力をもった母親の役割モデルは新中間層家庭の主婦からつくり出されたものであり,こうしたモデルが各家庭の諸条件の差異を捨象したまま影響力をもった点で問題性をもつものでもあった.
NFRJ(全国家族調査)レポート
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