家族社会学研究
Online ISSN : 1883-9290
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24 巻, 2 号
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巻頭エッセイ
追悼論文
投稿論文
  • —JGSSライフコース調査による潜在的稼得力の影響の検証—
    佐々木 尚之
    原稿種別: 投稿論文
    2012 年 24 巻 2 号 p. 152-164
    発行日: 2012/10/31
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    近年の社会経済環境のなか,少子高齢化の主な要因として晩婚化や未婚化の進行が指摘されている.しかしながら,これまでの初婚に関する研究では,一貫した結果が得られていない.その原因の一つとして,初婚の要因となる変数の時間的変化をとらえることができないという,データ上の制約があった.そこで本稿では,「日本版General Social Surveyライフコース調査(JGSS-2009LCS)」の詳細なライフヒストリー・データを用いて,学歴,就業状態,居住形態の結婚に対する影響力が時間とともに変化するのかどうかに焦点をあてたイベントヒストリー分析を行った.その結果,それぞれの要因の結婚に対する効果が加齢とともに増減することが明らかになった.雇用環境の急速な悪化にもかかわらず,結婚における男性の稼得力が重視され続けている一方で,女性の稼得役割も期待され始めている可能性がある.将来の経済的展望が不確実な現状では,家族形成は大きなリスクとみなされている.
  • —構造方程式モデリングによる性差の検討—
    西村 昌記
    原稿種別: 投稿論文
    2012 年 24 巻 2 号 p. 165-176
    発行日: 2012/10/31
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    ストレスプロセスモデルを用い,高齢者を介護する配偶者のストレスとその性差について検討した.対象は配偶者を介護する60歳以上の主介護者314名(女性206名,男性108名)であった.分析モデルは介護者の年齢と活動能力,1次ストレッサー(被介護者のADL障害,認知症に関連する行動),2次ストレッサー(介護負担感),心理社会的資源(情緒的サポート,介護統制感),精神的健康から構成されている.構造方程式モデリングによる同時分析の結果,1次ストレッサー,2次ストレッサー,精神的健康の相互の関連には男女に共通性が高く,これらと心理社会的資源との関連にはやや性差があることが示唆された.すなわち,男女とも情緒的サポートと介護統制感が介護負担感を低下させ,精神的健康に寄与するという媒介効果が示された一方,女性にのみ介護統制感が精神的健康に寄与するという直接効果が認められた.
  • —毎日新聞と14県紙「訃報」欄からの考察—
    金沢 佳子
    原稿種別: 投稿論文
    2012 年 24 巻 2 号 p. 177-188
    発行日: 2012/10/31
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    高齢男性の葬儀における喪主は配偶者か長男か,新聞の訃報欄にみる喪主身分は家族の在りようを分析するメルクマールとなる.本稿では,2007年の地方新聞を中心に,75歳以上で逝去された男性の喪主身分に照射した考察を報告する.「毎日新聞」訃報欄調査では妻喪主が優位にあったが,物故者の多くは都会に住む著名人であった.そこで,市井の人々も同様なのかと,14の県紙を抽出して調べたところ,妻喪主が1位となったのは,日本列島全体では九州西南部のみであり,大勢は長男喪主であって,約65%を占めた.
    家族社会学において,日本の家族は,1950年代後半から夫婦家族理念の浸透によって,直系家族制から夫婦家族制へ移行したととらえられてきた.だが,本調査をみるかぎり,直系家族制が半世紀以上にわたって「意識されない制度」として志向されており,葬礼は「家」パラダイムの下で執り行われている.
  • —NFRJ08データを用いた計量分析—
    大日 義晴
    原稿種別: 投稿論文
    2012 年 24 巻 2 号 p. 189-199
    発行日: 2012/10/31
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,配偶者のサポートの代替可能性の検討を通して,個人と配偶者との関係が持つ独自性を明らかにすることである.
    具体的には,個人のディストレスへの影響を通して,配偶者のサポートと非配偶者のサポートの有無の効果を検証した.分析には「第3回全国家族調査データ(NFRJ08)」を用い,有配偶者を分析対象とした.分析結果から,配偶者のサポートの効果は非配偶者のサポートの効果よりも大きいこと,また,配偶者のサポートが利用できる場合,非配偶者のサポートの有無はディストレスにほとんど影響しないことが示された.さらに,配偶者のサポートがない場合の非配偶者のサポートの効果については性差が見いだされた.女性においては,非配偶者のサポートが一部については代替していた.このことから,男女いずれにとっても配偶者の持つ意味は大きいが,男性にその傾向は顕著であり,女性は,男性ほどは配偶者への依存度が大きくないことが示唆された.
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