家族社会学研究
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26 巻, 1 号
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巻頭エッセイ
特集 地域社会と家族戦略
  • 中里 英樹
    原稿種別: 特集 地域社会と家族戦略
    2014 年 26 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
    本稿は,日本家族社会学会大会(2013年9月8日静岡大学)におけるシンポジウム「地域社会と家族戦略」の趣旨と概要を説明したうえで,その3つの報告と1つのコメントに基づく特集原稿4本の要点を整理し,そこからシンポジウムの初めの問題意識に対して,どのような回答が引き出せるかを提示するものである.
    まず,津富氏による,働きたいものの働けない若者の地域の一般住民による就労支援の活動の報告,西森氏による,大震災後に福島から神戸に避難してきた母子たちを支援するNPOの活動の報告,山地氏による,被災地における救助・避難・復興・まちづくりの検証を踏まえて,家族戦略の重層性や,地域による支援の複雑なあり方を示す.そのうえで,神原氏による,「家族戦略」概念の有効性への疑問や,生活システム論的アプローチの可能性の提示に対して,「家族戦略」概念の限界と有効性を整理する.
  • 津富 宏
    原稿種別: 特集 地域社会と家族戦略
    2014 年 26 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
    筆者が理事長を務めるNPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡(以下,SSSNS)は,静岡県内において,静岡方式と呼ばれる,働きたいけれども働けない若者の就労支援手法を展開してきた.静岡方式は,ストレングスモデルに立つ精神障害者の就労支援手法であるIPSを採用して,リカバリーを志向するとともに,①就労支援のための場を持たない,②支援者は一般市民である,③お節介な地域を創るという特徴をもつ.働きたいけれども働けない若者とその家族は,脆弱なプライド(他者からの否定的評価を避けることにより,自らに誇りを感じることができる存在としてのアイデンティティ)を守ることを最優先にした「家族戦略」を取り,その結果として,孤立化しがちである.よって,若者の就労支援においては,この若者と家族の孤立化をいかに乗り越えるかが課題となるが,静岡方式はこの課題につながりを形成することで対処してきた.最後に,家族間連帯によって,お互いの家族の問題解決者となることで,家族の孤立化を乗り越えるという,家族戦略を提案する.
  • 西森 由美子, 中里 英樹
    原稿種別: 特集 地域社会と家族戦略
    2014 年 26 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
    本稿では,東日本大震災の被災者親子を支援するために組織された,「神戸ぽけっとnet.」の活動の記録を通して,神戸に避難し,幼い子どもとの生活を始めた母親たちが個人として,あるいは家族として,どのような困難に直面し,どのような戦略をとっているか,さらに,地域の非営利組織がこうした避難者をどのように支えることができるのかを考察した.
    その結果,彼らが,厳しい現実の構造的条件のなかで,子どもとの生活のために「地域」の支援を得ながらその条件を変えていく主体的な働きかけをしていることが,見えてきた.同時に,彼らの戦略を捉えるとき,家族の範囲の重層性や,「地域」を含めた重層性に目を向ける必要があることも示された.
    さらに,被災地から遠く離れた地域において,災害以前から存在した非営利組織同士のネットワークが,同郷の母子たちをつなぎ,さらに彼らと新たな地域とをつなぐうえで重要な役割を果たしたことも明らかになった.
  • —その制度設計と課題—
    山地 久美子
    原稿種別: 特集 地域社会と家族戦略
    2014 年 26 巻 1 号 p. 27-44
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
    自然災害が頻発する日本においても,東日本大震災(2011年)の地震・津波,その後の原子力発電所事故の複合災害は社会に衝撃を与え,被災地において個人/家族/地域への影響は計りしれない.災害分野は個人/コミュニティを軸に構築されていて,“家族”は健全に機能し自己完結することが当然視され,その直接的な対象ではない.復興の側面においては災害発生日の住民票を基準とした「罹災証明世帯」と「世帯主」が支援の対象となり,世帯構成員への支援は既存する社会保障の枠組みの範疇に限られていて,世帯単位と個人単位という日本の制度設計の課題が浮き彫りになる.それは介護や育児のような特別な支援を必要としない,「問題のない家族」への支援がないことにかかわっていると考える.コミュニティ再構築/まちづくりが実践される中,家族カフェの創設など自由な「家族づくり」への取組みを検討する時期がきたのではないか.
  • 神原 文子
    原稿種別: 特集 地域社会と家族戦略
    2014 年 26 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
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