家族社会学研究
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32 巻 , 1 号
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巻頭エッセイ
投稿論文
  • 三谷 はるよ
    2020 年 32 巻 1 号 p. 7-19
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2021/05/11
    ジャーナル フリー

    本稿は,育児期の孤独感を軽減するサポート・ネットワークを検討する.育児期のサポート・ネットワークとwell-beingの関係を捉える先行研究の多くは,クロスセクションデータに依拠し,女性のみを研究対象とし,公的サポートよりも私的サポートに注目するものだった.そこで本稿ではパネルデータを用いて,私的・公的サポートの両方を含むどのようなサポート・ネットワークが育児期の男女の孤独感を軽減するのかを検討した.その結果,精神的・手段的に頼りになる夫や精神的に支えてくれる友人から成るサポート・ネットワークが,母親の孤独感を軽減する傾向が示された.また,精神的に支えてくれる妻やつどいの広場・育児サークルから成るサポート・ネットワークが,父親の孤独感を軽減する傾向も示された.本稿は,父親が父親同士の関係や父子関係を深められる場が父親のwell-beingを良好にすることを示唆する.

  • 斉藤 知洋
    2020 年 32 巻 1 号 p. 20-32
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2021/05/11
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,「就業構造基本調査」匿名データ(2007年)を用いて,シングルマザーの正規雇用就労と世帯の経済水準の関連について検討することである.傾向スコア・マッチング法を用いた統計分析より,得られた主要な知見は次の3点である.第1に,正規雇用への就労はシングルマザーの時間あたり賃金を32.0%上昇させ,相対的貧困率と就労貧困率をそれぞれ36.5%, 39.5%低減させる効果を持つ.第2に,正規雇用就労の効果には階層差が存在し,賃金と就労貧困率については低学歴層ほどその就労効果が小さい.第3に,正規雇用就労を達成したとしても,非大卒のシングルマザーはその半数以上が自身の就労所得のみでは貧困状態を脱していない.以上の結果は,シングルマザーを対象とした就労支援施策に加えて,女性が結婚や出産を通じて直面する労働市場上の不利を解消することが母子世帯の経済的地位を高めるうえで重要であることを示唆する.

  • 大日 義晴
    2020 年 32 巻 1 号 p. 33-46
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2021/05/11
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,養育里親における家族認知の実態とその規定要因を明らかにすることを通じて,わが国の養育里親の関係構造とその課題を析出することである.分析には「養育里親の登録・研修・支援に関する調査」データにおける,現在受託中(n=1,276),および,すでに委託が終了したケース(n=725)を使用した.分析から,里親の多くが,受託中の里子を「自分の家族の一員」であるとみなしているが,その比率は,措置解除後に大きく低下することが示された.そして,標準的家族に近似するほど家族認知が強まること,また,里親子関係が安定しており,ケアラーの再交代を経ない場合,家族であるという認知が継続することが確認された.里親子に独自な関係性のモデルが不在であり,実親に代わり,子どもを家族とみなすことと養育をおこなうことが同時に要請されることによって,里親は葛藤を経験することが示唆された.

特集 高齢社会における生/死と家族
  • 山根 真理, 佐々木 尚之
    2020 年 32 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2021/05/11
    ジャーナル フリー

    「国際化の加速」を課題とする第9期理事会最終年企画として,人生の後半に焦点をあてた国際シンポジウムを開催した.20世紀後半に世界の多くの地域で大衆長寿社会が実現し,親子関係,医療,介護,相続,継承,葬送,墓などの事柄において,先行世代とは異なる新たな経験が生じているとの認識のもと,国際比較視点をもって「高齢社会における生/死と家族」について考えることをねらいとした.朴報告は現代韓国の家族ケアに焦点をあて,そこにおける葛藤と,ケアをめぐる人間関係の可能性について論じた.浅川報告は欧米との比較視点で,死における自己決定の重要性を論じた.安藤報告は日本における葬送・墓制の変容と現状を,家族変動とのかかわりで論じた.高齢期の生/死をめぐる事象について,「個人化」と家族の意思や家族の相互関係とのかかわりをどう理解するか,が課題である.

  • Keong-Suk Park
    2020 年 32 巻 1 号 p. 51-68
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2021/05/11
    ジャーナル フリー

    This study aims to examine the characteristics and tensions of family support that have been central to the care system to date. To this end, this study examines the process in which family care has been greatly weakened and social and market care have been complicit in the deepening of contradictions embedded in the family relations of contemporary South Korean society. Family relation of contemporary Korean is characterized by the eclecticism of patrilineal (or paternal) family and couple family ideas, which have born the gigantic ideology of family centeredness and deepened conflicts between gender and generation. Based on the in-depth interview method, the study interprets conflicts and reflection of family care experienced by older people, families, and professional care workers who have experiences of care in various fields.

    The meaning of care, which is being reflectively reconstructed in conflictual experiences is reinterpreted. Care was experienced as various conflictual situations while being a process to reconstruct and reflect on the meaning of care through the conflict process. The conflicting characteristics of care situations were interpreted centering on the asymmetry of responsibilities and rights in the economic/material aspects, gender inequality, absence of communication in the emotional dimension, and the meaning of care situations centered on the functional dimension. The new understanding of care value is the interpretation of the meanings of care as understood by participants through this conflictual care experience. The meanings of self-responsibility, which is gradually becoming more important, the importance of self-determination and reciprocal relationships, and care as an opportunity for self-growth and friendship, and healing are interpreted.

  • 浅川 澄一
    2020 年 32 巻 1 号 p. 69-82
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2021/05/11
    ジャーナル フリー

    日本人は4人のうち3人が病院で亡くなる.欧米では病院死比率は50%前後.自宅や引っ越し先のケア付き集合住宅で死を迎える高齢者が多い.死亡場所と死亡原因は,その国の医療や介護の仕組みだけでなく,死生観や家族観,さらに文化のあり方をよく表している.病院死は延命治療の果ての典型的な孤独死だ.暮らしの延長ではない.欧米では,死の間際の住宅であるホスピスでも,「第二の自宅」のような小さな集合住宅である.暮らしと共に手厚い緩和ケアが施される.日本では緩和ケア病棟ですら3割の人たちは「苦痛」「痛み」を抱えながら死に赴く.QOL(生活の質)を優先させれば,苦痛を伴う延命治療でなく,緩和ケアによる老衰死の世界が開ける.QOD(死の質)を高めるのが緩和ケア.本人本位がQOLとQODを育む.家族は本人の意思を邪魔してはならないが,日本社会は家族至上主義が根強い.だが,老衰死の急増でQOLとQODを取り込むようになりつつある.

  • 安藤 喜代美
    2020 年 32 巻 1 号 p. 83-98
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2021/05/11
    ジャーナル フリー

    日本人の多くは祖先崇拝の宗教観を持ち,お墓はその象徴であり,「イエ」のシンボルとして参拝する.しかし,お墓に基づくそうした意識は,1980年代以降に現れた家族の「個人化」,「多様化」という現象の中で変化している.その一つが「墓の脱継承」であり,永代供養,樹木葬,散骨など残される家族に管理・維持の負担をかけない形式である.槇村(2005)はこれらの特徴を「共同化」「有期限化」「無形化」の3点とし,マスコミなどではこうした特徴を持つ墓制・葬送が,新しいカタチとして選ばれる傾向にあることを報道している.しかし,公的機関が実施したお墓に関するアンケート調査の結果をみると半数以上は,従来型である角柱和形や横長洋型の墓標を望んでおり,「共同化」「有期限化」となる合葬方式や納骨堂は,それぞれ1割前後である.お墓の形式における選択はさまざまであるが,お墓とお参りはセットのようで,墓制のカタチには関係なく,それを所有する者のほとんどはお参りをしている.墓制・葬送の選択がお墓参りという行為が前提にあり,そこにあるメンタリティと家族の個人化,多様化による家族形態との関係性が墓制・葬送の新しいカタチを多様化させ,商品化されている.

  • 西下 彰俊
    2020 年 32 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 2020/04/30
    公開日: 2021/05/11
    ジャーナル フリー
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