従来日本から未記録であったスッポンタケ科の菌,Mutinus elegans の日本における発生を初めて報告し,本種にタヌキノベニエフデ(狸紅絵筆)の和名を与えた.本種はキツネノエフデ(M.bambusinus)に類似するが,子実体がより大形で,かつほぼ全体的に比較的濃い赤色(淡紅赤色~珊瑚赤色)を帯びる点で区別される.産地としては今のところ大阪府高槻市が知られているのみであるが,11月から12月にかけて,道端や開放地などの良く陽の当たる場所においてマダケやクヌギ,ケヤキ,クスノキなどの木の下あるいはそれらの近くの地面に発生する.
中国雲南省の黒トリュフの子のう果および子のう胞子の形態的特徴を検討した.子のう果は華山松に雲南松が混生するマツ純林から採取され,華山松の細根に外生菌根を形成していた.子のう果表面は不規則で平滑な多角形を示す.子のう胞子表面は先端がやや曲がり幅の広い基部をもつ長さ3-6(-7)μmのとげで覆われていた.とげの基部は数本ずつが脈絡し,部分的に多少の網目模様が見られる.日本産イボセイヨウショウロに似るが外殻皮や子のう胞子の形態が若干異なる.