強い抗腫瘍活性な示すと報告されているメシマコブ菌糸体を,大量かつ安定的に培養する目的で,生理学的要因を詳細に検討し,最適培養条件を見い出した.メシマコブ菌糸体は10-35°Cで生育し,生育適温は25-32.5°Cであった.25°Cで初発pHの依存性を調査したところ,3.0-7.0の範囲で生育を示し,最適初発pHは5.5であった.最適炭素源の検索は五炭糖,六炭糖を含む12の炭水化物を用いて行った.グルコースが菌糸体生長に最も有効で,五炭糖は生育に効果的ではなかった.窒素源として無機態窒素源は利用性が低かったが,有機勝窒素である酵母エキスとポリペプトンを単独にあるいは併用したときに菌糸体生長は非常に良好であった.通気培養すると誘導期は7日で,通気をしない場合より菌糸体重量が増大した.さらにグルコースを4%添加すると,誘導期が短縮され,菌糸体乾燥重量が7.8g/Lに達した.
18S rDNA塩基配列の類似性に基づき無抱子不完全菌PF1022株の分類学的位置を推定した.その結果,本菌株は子嚢菌門のfamily Xylariaceaeに所属し,Xylaria属やRosellinia属に近縁であり,中でも、R. necatrix IFO 32537に最も高い近縁性を示した.この手法は,有性および無性の胞子形成能を失った菌株同定にとって非常に有用性が高いと判断された.
タモギタケの西日本における発生は非常に稀で,従来,九州の熊本県菊池市菊地渓谷での発生が知られているのみであった.本報では,鳥取県氷ノ山の仙谷で採集された標本(腐朽した広葉樹の倒木上,1999年7月4日)に基づいて,同地をタモギタケの中国地方における初めての産地および西日本における第2の産地として記録した.また,氷ノ出産標本の顕微鏡的特徴を簡単に記載した.
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