日本菌学会会報
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論文
  • 服部 友香子, 安藤 裕萌, 中島 千晴
    2021 年 62 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル フリー

    本研究では,19科31種の宿主植物から得られた樹木寄生性の狭義Botryosphaeria属菌と推定される50株を供試し,分子系統解析に基づく分類学的検討を行った.rDNA ITS, rpb2, tef1-α, tub2領域の部分塩基配列からなる多遺伝子領域結合配列を用いることにより,供試菌株のうちタカノツメ由来1株は海外産B. qingyuanensisともに独立したクレードを形成した.その他,49株とB. dothideaおよび複数の近縁種は単一のクレードを形成し,種複合体となった.この種複合体クレード内では,宿主に対応する形のサブクレードが見られ,クルミ褐色枝枯病やハンノキ類ギグナルディア胴枯病に由来する菌株が,それぞれサブクレードを形成し,宿主植物の分類群の違いや形態的特徴が,本属種の特徴付けに有効である可能性が示唆された.しかしながら,本研究にて行った4領域を用いた系統解析の分解能は十分ではないため,今後は,この種複合体に対し明瞭な識別感度をもつ遺伝子領域に基づく系統解析を行うとともに,種々の表現形質を明らかにする必要がある.

  • 小畠 靖, 白井 伸生, 河合 昌孝, 村口 元, 坂本 裕一, 松本 晃幸
    2021 年 62 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル フリー

    紫外線照射により胞子落下量が元株(野生型)の1/10,000程度に低下したシイタケ胞子欠損性変異体B682を分離した.SEM観察において変異体ヒダ表面には成熟胞子がほとんど認められず,未熟な球状胞子が観察された.変異体の子実体ヒダ組織をギムザ染色したところ,担子器の多くで8個の核が観察され,減数分裂後の担子器内4娘核の体細胞分裂が推察された.検定集団(98115A population)を用いた遺伝性解析で,本変異形質は一因子性の顕性変異によるものと推察された.次世代シーケンス解析に基づく元株と変異体ゲノムの配列比較により,変異体の推定遺伝子領域にナンセンス変異を生じる一塩基多型(SNP)を見出した.本SNP特異的なPCR増幅の有無は検定集団(32D population)の表現型と完全に一致した.B682はシイタケで初めて確認された顕性の胞子欠損性変異体であり,育種利用を進める上で本SNPはマーカーアシスト選抜を可能にする有効な変異点と考えられる.

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