音楽教育学
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41 巻, 1 号
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研究論文
  • ―無伴奏, カラピアノ使用時と比較して―
    齊藤 忠彦
    2011 年 41 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル フリー

     歌唱表現におけるカラオケ使用時の大脳皮質前頭部および側頭部の活動の特徴をつかむことを研究の目的とした。脳活動の計測には光トポグラフィ装置を用い, 前頭部22チャンネル, 右側頭部12チャンネル, 左側頭部12チャンネルの計46チャンネルで計測した。被験者は健常大学生10名とした。カラオケ使用時の特徴を明らかにするために, 同一楽曲を無伴奏で歌う時またはカラピアノで歌う時と比較した。楽曲は《翼をください》を取り上げ, 無伴奏, カラピアノ, カラオケの3つのタスク (各75秒) を設定し実験を行った。

     その結果, 前頭部では, カラオケ使用時はカラピアノ使用時より酸素化ヘモグロビン (oxy-Hb) が有意に低下することが明らかとなった。側頭部については, 3つのタスクの群間の有意差は見られなかった。

  • ―一般的な音楽教師が可能な長唄の指導法―
    山内 雅子
    2011 年 41 巻 1 号 p. 11-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル フリー

     平成20年告示の学習指導要領において, 日本の伝統的な歌唱の指導がさらに重視されたものの, 音楽教師の多くが日本の伝統的な歌唱について専門的な知識と技能をもっていないことから, 実践に広がりが見られない。そこで, 一般的な音楽教師が指導可能な長唄の指導法を明らかにすることを目的として, 本研究に取り組んだ。

     長唄のスペシャリストによる指導と長唄の経験のない音楽教師による指導の比較を通して, 歌唱の到達度を統計的手法を用いて検証すると共に, スペシャリストの指導と児童の変容の観察を通して, 一般的な音楽教師も適切な音源を用いて, 歌うときの姿勢と発声の仕方についてポイントを押さえた指導を行うことで, 長唄の歌唱表現の指導を行うことができることを明らかにした。また, 五線譜を用いないことの重要性や音源を聴いて作成する歌詞譜の有効性, さらに日頃の合唱指導との関わりについても言及した。

  • ―イェーデの音楽観「オルガニク」を検討の基盤として―
    小山 英恵
    2011 年 41 巻 1 号 p. 24-35
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル フリー

     本稿では, 20世紀ドイツ語圏において活躍した音楽教育実践家であるフリッツ・イェーデが提唱する音楽基礎教育について, 彼の音楽観「オルガニク」を基盤として検討することにより, その特徴を新たに指摘した。「オルガニク」とは, 音楽の文法に基づく心理的エネルギーの動きによって音楽活動を規定するエネルギー論をイェーデが独自に展開させたものであり, 内面における動きの感覚による音楽認識を目指すものである。検討の結果, イェーデの基礎教育全体を貫く特徴は, これまでの先行研究において指摘されている音楽活動の中での基礎教授という点だけでなく, 以下の点にもあることがわかった。すなわち, ①音楽の文法に基づく音の動きを内面において感じさせることを基礎教育の内容とすること, ②その動きは音楽の種類によって異なるために, どの音楽を理解させるのかという明確な意図をもって, 基礎教育の内容を編成していることである。

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