音楽教育学
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46 巻, 2 号
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研究論文
  • ―東京音楽学校への校歌作成依頼状に着目して―
    須田 珠生
    2016 年 46 巻 2 号 p. 1-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

     本稿では, 『東京音楽学校作曲委託関係書類』を主な史料として, なぜ学校はその学校固有の歌である校歌を作るようになったのかを明らかにした。『東京音楽学校作曲委託関係書類』とは, 東京音楽学校と同校に校歌の作成を委託した学校との間でやりとりされた往復文書の綴りである。東京音楽学校には, 1907 (明治40) 年から1945 (昭和20) までに計456件の校歌の作成委託がなされている。校歌の作成は法令によって義務付けられてはおらず, 作成には資金が必要であったにもかかわらず, 学校は校歌を作るようになった。とりわけ1930年以降には, 東京音楽学校への校歌委託件数が急増する。学校は, 同校へ校歌作成を依託することで「優れた校歌」を手に入れ, 自校の校訓や理念を盛り込んだ校歌を, 式典や儀式の際に学校外部者に向けて披露した。校歌は, 周囲の環境や徳目を児童生徒のあるべき姿と結び付けることで自校の理念を体現し, 独自性を打ち出す手段だったのである。

  • ―National Core Curriculum 2004と国立三大学の学位プログラムの分析を中心に―
    藤井 惠子
    2016 年 46 巻 2 号 p. 13-24
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は, フィンランドにおける音楽科教員養成課程の実態を整理・提示し, フィンランドにおいて求められる音楽科教員の資質・能力の特徴を明らかにすることである。そのためまず, フィンランドの音楽科教員養成課程の歴史的変遷を概説した。次に, 音楽教育システムの構造と各教育段階における音楽教員の資格を整理し, 音楽科教員養成課程を持つ国立三大学の学位プログラムを対象にナショナルコアカリキュラム2004との関連性について分析を行った。その結果, 求められる資質・能力として, ①高い実技能力 (即興能力, 伴奏などに対応した高度な教科専門性), ②広範な専門知識, ③教育学や長期的な教育実習で培った実践的なスキルに裏打ちされた指導力, ④協働する力を育てるプロジェクトを子どもと推進する力, ⑤音楽教育における新技術とメディアを利用できる力, ⑥リサーチで得た課題をフィードバックし研究できる力といった特徴が明らかになった。

  • ―音楽は自己のイメージから生成しない―
    清水 稔
    2016 年 46 巻 2 号 p. 25-36
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究では, 創作行為におけるイメージと音楽, 自己と他者の関係性をラカンの鏡像段階論の視点から捉えなおすことで, 創作教育の教育的意義を新たに見出すことが目的である。ラカンは, 主体が常に自己を喪失しており, 他者に投影されることで自我 (自己認識の像) を得ていると主張している。この理論から導かれるのは, イメージも音楽も, 他者として自己を投影している意識対象の「もの」ということであり, そこから, 創作は, 「音」を音楽へと構成することそのものによって成り立つのであって, イメージを発展させれば音楽をつくることになる, というのではないということである。それは, 創作教育で最も重要なことが, 「音」を音楽へと構成する〈技術〉を教えることであることを意味する。これらの見解から, 創作には自己を認識する行為としての意義と, 社会における他者とのコミュニケーションを生成するきっかけとしての意義があることが明らかになった。

書評
第47回大会報告
(大会実行委員会企画)
基調講演
シンポジウム
(常任理事会企画)
プロジェクト研究Ⅰ
プロジェクト研究Ⅱ
(共同企画Ⅰ)ラウンドテーブル
(共同企画Ⅱ)パネルディスカッション
(共同企画Ⅲ)ラウンドテーブル
(共同企画Ⅳ)ラウンドテーブル
(共同企画Ⅴ)ラウンドテーブル
(共同企画Ⅵ)パネルディスカッション
(共同企画Ⅶ)ワークショップ
(共同企画Ⅷ)ラウンドテーブル
(共同企画Ⅸ)ラウンドテーブル
(共同企画Ⅹ)ラウンドテーブル
(共同企画Ⅻ)ワークショップ・デモンストレーション
(共同企画ⅩⅢ)パネルディスカッション
(共同企画ⅩⅣ)ラウンドテーブル
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