本研究の目的は, 1) 「能の学習プログラム」を開発し, 2) これを学校で実践し, 3) 児童の学習・変容の様子を考察することである。宮城県大崎市大貫地区には, 中央では廃絶された「春藤流」の流れをくむ謡が伝承されている。「学習プログラム」は, この地域の能を対象としたものである。授業の題材を含む全体構成を筆者が企画し, 地域保存会の伝承者, 能楽師, 小学校教員と共同して作成にあたった。同プログラムに基づく授業は, 平成27年度から28年度にかけて実施している。本研究はこの授業の観察やワークシートの記述等を通して, プログラムの成果を検証しようというものである。
検証の結果, 「新聞パンチ」の身体の使い方と連動させた謡の継続的な学習に顕著に見られたように, 児童は能楽師からも評価されるような響きのある声が出せるようになった。さらに, 地域の祭に参加して謡を披露するなど, 授業から発展した成果もあげている。
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