音楽教育学
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47 巻, 2 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
研究論文
  • ─宮城県大崎市大貫地区に伝わる「春藤流」の謡を核として─
    田村 にしき
    2018 年 47 巻 2 号 p. 1-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は, 1) 「能の学習プログラム」を開発し, 2) これを学校で実践し, 3) 児童の学習・変容の様子を考察することである。宮城県大崎市大貫地区には, 中央では廃絶された「春藤流」の流れをくむ謡が伝承されている。「学習プログラム」は, この地域の能を対象としたものである。授業の題材を含む全体構成を筆者が企画し, 地域保存会の伝承者, 能楽師, 小学校教員と共同して作成にあたった。同プログラムに基づく授業は, 平成27年度から28年度にかけて実施している。本研究はこの授業の観察やワークシートの記述等を通して, プログラムの成果を検証しようというものである。

     検証の結果, 「新聞パンチ」の身体の使い方と連動させた謡の継続的な学習に顕著に見られたように, 児童は能楽師からも評価されるような響きのある声が出せるようになった。さらに, 地域の祭に参加して謡を披露するなど, 授業から発展した成果もあげている。

  • 水野 伸子
    2018 年 47 巻 2 号 p. 13-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は, 生演奏とDVD再生演奏という異なる演奏形態に対する聴取者の集団的手拍子反応の違いを, 主として打拍率, 打拍同期度の観点から検討した。実験曲は《きらきら星変奏曲ハ長調k. 265》 (モーツァルト作曲) のピアノ演奏である。手拍子情報は, 先行研究 (安藤ほか 2014) で開発してきた音楽リズム反応記録装置を用いて時系列的に計測し, 記録した。装置に入力されたすべての情報から4分音符レベルの手拍子を抽出して解析した。その結果, 生演奏群における聴取者集団の打拍同期度はDVD再生演奏群より高く, 生演奏群の方が手拍子のタイミングはよく揃うことがわかった。打拍率の推移をフーリエ級数展開した結果, 第12変奏において生演奏群からのみ3拍周期を示すスペクトルが顕著に認められた。生演奏群は手拍子の拍節構造を階層的に変化させて2拍子から3拍子への拍子の変化を知覚していることが示唆された。

  • ―スペイン・ムルシア州におけるインタビュー調査を通して―
    桐原 礼
    2018 年 47 巻 2 号 p. 25-36
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究においては, 多様なルーツの児童が混在する学校現場における, 児童間の関係性構築に向けた音楽教員の対応の仕方について明らかにすることを目的とした。このため, 多文化化の進行しているスペイン・ムルシア州にて, 公立小学校に勤務する音楽教員9名を対象としたインタビュー調査を行った。教員の語りにおいて, 児童同士の対抗意識のあらわれや孤立児童の様子など, 児童間の不和に関する様々な捉えがみられた。音楽教員はこれらの課題解決に向けて, ルーツの異なる児童同士が混ざり合うことに慣れたり, 協力し合うことができたりするよう, 授業形態や教材選択の工夫を試みていた。また, 児童同士が相手への見方を変えたり, 個々が自分に自信を持ったりすることができるような場を設定していた。学校の多文化化に伴う課題に直面しながら, 児童同士の心理的距離の接近に資する活動を展開している, スペインの音楽教員の配慮や工夫について提示した。

  • ―R. ランゲとG. カペレンによる伊澤修二編『小学唱歌』第一巻の翻訳・編曲に焦点を当てて―
    釘宮 貴子
    2018 年 47 巻 2 号 p. 37-48
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

     明治期の西洋音楽受容については多くの研究が行われてきたが, 明治期に日本の学校唱歌が西洋に伝えられ, 和声付けされていたことについてはまだあまり研究されていない。本論文は伊澤修二の『小学唱歌』第一巻 (1892) が日本学者ルドルフ・ランゲと音楽家ゲオルク・カペレンによってどのように翻訳・編曲されていたのかを明らかにすることを目的としている。伊澤修二の『小学唱歌』第一巻は, 教育勅語の内容をわかりやすく歌で教えることを目的としていた。ランゲの研究論文「日本の小学唱歌」 (1900) の考察から, ランゲは伊澤修二の『小学唱歌』第一巻を深い理解に基づき翻訳していることが明らかとなった。またカペレンの編曲『小学唱歌 伊澤修二の日本の旋律』 (1903) の分析により, カペレンが日本の唱歌の旋律に複数の和音や, 複数の調性の可能性を見出し, 独自の和声付けを試みていることが明らかとなった。

論考
書評
第48回大会報告
(大会実行委員会企画)
基調講演
シンポジウム
(常任理事会企画)
プロジェクト研究Ⅰ
プロジェクト研究Ⅱ
(共同企画Ⅰ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅱ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅲ) パネルディスカッション
(共同企画Ⅳ) デモンストレーション・ワークショップ
(共同企画Ⅴ) パネルディスカッション
(共同企画Ⅵ) パネルディスカッション
(共同企画Ⅶ) パネルディスカッション
(共同企画Ⅷ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅸ) パネルディスカッション
(共同企画Ⅹ) ラウンドテーブル
(共同企画Ⅺ) ラウンドテーブル
feedback
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