音楽教育学
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47 巻, 1 号
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研究論文
  • ―質問紙調査とインタビューに基づく分析―
    大野 はな恵
    2017 年47 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル フリー

     古楽復興運動の影響を受け, バロック声楽作品の歌唱やそれを専門とする歌手は「バロック歌唱」, 「バロック歌手」と呼ばれるようになった。その人気を受けて, 昨今では, 「メインストリームの歌手」にもバロック声楽作品を歌う機会が増えている。しかし, メインストリームの歌手が書物から実践上での指針を得ることは難しい。本研究では, メインストリームの歌手がバロック声楽作品を歌う上で留意すべき諸点を, メインストリームの歌手とバロック歌手を対象とした質問紙調査と, 著名なバロック歌手へのインタビューによって浮かび上がらせた。すなわち, ヴィブラートや音色, 音量といった具体的項目において両者の認識は大きく異なっていた。また, バロック歌手は, 音色, 音量, ヴィブラートを自在かつ器用にコントロールする能力を「バロック歌唱」に求めており, これらの要素は現在の「バロック歌唱」を特徴づけるものである。

  • ―その有効性と課題―
    山口 亮介
    2017 年47 巻1 号 p. 13-24
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル フリー

     本研究は, 協同学習の手法の一つである知識構成型ジグソー法を用いた, 小学校音楽科の鑑賞の活動での実践研究である。鑑賞の活動に知識構成型ジグソー法を取り入れることで, 児童の学習意欲が向上し (仮説1), 聴取力も向上する (仮説2) と考えた。検証方法は, 知識構成型ジグソー法を行うA組と, 旧来のグループ学習を行うB組の差異を, KBDeXを用いた発話分析, 四件法によるアンケート, 聴取力の調査を行った。知識構成型ジグソー法の有効性として, 聴取力が向上することや, 自分の考えを伝えることができる児童の増加につながることが明らかになった。一方, 教師は児童の協同学習に必要な技能を育てることと, 教師自身がファシリテーターとしての技能を身に付ける必要があるという課題も明らかになった。

  • ―ブータンの掛け合い歌に見られる双方向性をてがかりに―
    黒田 清子, 伊野 義博, 権藤 敦子
    2017 年47 巻1 号 p. 25-36
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル フリー

     本稿では, ブータンの掛け合い歌に見られる双方向性に注目し, フィールドワークによって得られた記述をフィードバックの観点から分析し, 教科内容としての学校教育における「歌うこと」を音楽文化の視点から再考することを目的とする。とくに, 歌唱領域において育むことのできる資質・能力についての考察を行う。ブータンの学校におけるツァンモ大会では, 臨機応変に, メタファーを活用し, 定型に歌詞を整え, 旋律を選択し, 演劇的なパフォーマンスで表現するなかで, 口頭性, 即興性, 応答性を活かした音楽表現が行われている。音楽文化をより広く捉えることによって, 教科内容としての歌う活動はより多様なものとなる。自らの思いを即興的に掛け合う行動や, すでにレパートリーとしてもっている旋律を借りて伝えたいことを表現する行動は, さまざまな文化に広く見られる。そこには, これまで学校教育で重視してきた表現力とは異なる可能性が存在する。

  • ―昭和12年度の武蔵野高等女学校での実践に着目して―
    長尾 智絵
    2017 年47 巻1 号 p. 37-48
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル フリー

     本稿では, 一宮道子 (1897-1970) の武蔵野高等女学校における授業実践の内容, および笈田光吉 (1902-1964) の音感教育体系と一宮の授業実践との関連を分析することによって, 昭和10年代, 国民学校芸能科音楽に至るまでの絶対音感教育の変化の過程において一宮道子が果した役割とは何であったのかについて明らかにした。笈田が1937 (昭和12) 年に公表した音感教育体系を公教育に適するように組み直すにあたり, 一宮は武蔵野高女での実践によって, 第1に, 生徒の実情をふまえ, カデンツを構成するいくつかの主要三和音に指導内容を限定し, 和音感訓練の第1段階と合唱訓練を直結させた。第2に, 公教育に適するように新たに組み直したこの課程と従来の歌唱指導とを連結させた。この2点の修正は, 1938 (昭和13) 年7月に笈田によって中等学校用音楽教科書としてまとめられた。

  • ―「叩く」に着目して―
    伊原 小百合
    2017 年47 巻1 号 p. 49-60
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル フリー

     幼児期には, 環境を探索することを通して自分を取り巻く世界の理解を深めていくことが重要であると考えられている。近年では音楽教育を取り巻く隣接諸科学からも, 探索的な経験の重要性が指摘されている。本研究は, 幼児の身近な環境にあるモノの一つである楽器に着目し, 幼児が主体的に楽器とかかわる様子を縦断的に検討することを通して, そうした探索的行為の様子や変化を明らかにするものである。幼稚園にて自由遊びの時間に楽器とかかわる幼児の観察を行い, キッズジャンベを手で叩く行為に焦点化した行動記録を作成した後, 楽器と対象児との位置関係, 手の動き, 視線, 叩く行為が発現した回数, 音の響きの5つの視点から考察を行った。その結果, 幼児が探索的な行動を通して楽器との関係性を安定させていたこと, 叩く行為と「聴く」行為が深く関連していたことが明らかとなった。

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