音楽教育学
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50 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究論文
  • ─ 20世紀初頭のアメリカ音楽科成立期と器楽の導入 ─
    齊藤 紀子
    2021 年50 巻2 号 p. 1-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

     本論文では, W. M. ヴォーリズが近江セールズを通じて輸入した米国ミーズナー製ピアノが考案された音楽教育史上の背景を示す。その目的は, ヴォーリズの音楽観に対する理解を深めることにある。20世紀初頭の米国では器楽も含む音楽科が確立され, 学校教育の一科目として全米に広めようとする動きが起こった。このピアノの考案者O. ミーズナーは, 全米音楽指導者会議に名を連ね, スローガン「すべての子どもに音楽を」を掲げるなどその運動を先導した音楽科教員の1人である。教育機関での使用に特化した小型ピアノを考案したミーズナーは, ピアノの一斉指導用の教則本も作成した。人として生きるうえで音楽が欠かせないと考え, 一般市民を音楽の初学者として広く育成しようとしたミーズナーの様々な活動には, 「教養ある人格を造る」ものとして音楽を捉え, 日本で手がけた様々な事業に音楽をとり入れていたヴォーリズに通じるものがあると考えられる。

研究報告
  • ─ ヒップホップの教材としての意義に着目して ─
    磯田 三津子
    2021 年50 巻2 号 p. 13-23
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

     本論の目的は, 「文化に関連した指導」の中で主張されている社会正義ついて明らかにし, そこで子どもたちが獲得すべき能力は何かを明らかにすることである。アメリカ合衆国には, 「文化に関連した指導」という考え方があり, マイノリティの子どもたちの教育の在り方を考える際に注目されている。こうした考え方に基づいて実践される教育の中で用いられる教材として, ヒップホップがある。本論では, 前述した研究目的を明らかにするために, 「文化に関連した指導」の理論及び, ヒップホップの実践の意義を考察する。考察の結果, 明らかになったことは, 先ず, ヒップホップによる社会正義の獲得を目指す音楽授業の目標が, 人種や民族, 階層といった問題について考え, 社会を改善するために行動できる能力を育成することである。次に, ヒップホップがマイノリティにとって身近な内容を表現しており, 社会を批判的に捉えるのに適した教材だということである。

  • ─ ドイツにおける“JeKits (Jedem Kind Instrumente, Tanzen und Singen)”の意義 ─
    清水 久莉子
    2021 年50 巻2 号 p. 24-34
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

     本論文は, 文化的な格差とその再生産を抑制するための社会制度が, 音楽教育の分野でいかにありうるかという着眼から, 学童期の子どもへの音楽的経験を組織的, 継続的に提供するドイツでの事例を記述している。すなわち, ノルトライン=ヴェストファーレン州全土に及ぶ, JeKits (「すべての子どもに楽器, ダンス, 歌を」) という音楽教育プロジェクトは, 21世紀初頭から約15年間にわたって行われ, 現在, 約1,000校の基礎学校 (初等学校) とおよそ8万人の子どもたちに, 鑑賞に留まらず演奏という主体的な音楽活動に廉価で参加できる場を実現している。それは州政府, 初等学校, 公立音楽学校, これらを結ぶJeKits財団に支えられた, 政治的文脈と財政的・教育上の資源に裏打ちされる社会制度と呼ぶべきものであり, 音楽教育を通じた社会改革, あるいは公的制度や組織間の連携と協働 (「チームとしての音楽教育」) としてさらに注目すべき動向である。

研究動向
第51回大会報告
(会長諮問に基づく緊急プロジェクトチーム企画)
プロジェクト研究
(常任理事会企画)
プロジェクト研究
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