「郷土の音楽」は, 1958 (昭和33) 年の学習指導要領告示以降, 音楽科の目標あるいは内容として明記されてきたが, 概念や範囲には曖昧さを伴ってきた。本稿は, この曖昧さの諸要因を整理し, 学習指導要領・教科書の史的分析を通じて, 音楽科の学習における「郷土の音楽」の概念と教材観を考察する。まず, 教科書掲載楽曲に見出された共通性から3つの要件を定め, 対象教科書から該当内容を抽出した。次に学習指導要領および関連文献による分析によって「郷土の音楽」の画期を明確にした。考察では, 史的変遷を概観した上で, 学習指導要領・教科書上に見出された「郷土の音楽」を「日本の伝統音楽のうち, 地域的特色をもち, 特定の共同体意識に支えられた音楽」と位置付けた。また, そのうち共同体意識の視座から, 「郷土の音楽」の学習には方法論・目的論の2つの観点があることを認め, 両者の相違を明確にした。その上で, 今後の指導の示唆として, 従来の教材観にあてはまり難かった, 目的論に基づく学習の教材選択の指標を検討した。
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