口腔粘膜の角化に関与する因子の研究はほとんどなされていない。本研究において,口腔粘膜上皮の角化亢進のメカニズムを解明するため,歯肉上皮由来不死化細胞(GE1)をair-liquid interfaceで培養し角化性重層扁平上皮の
in vitro実験系を作製した。このair-liquid interface培養系で,炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6),表皮細胞増殖因子(FGF10),アポトーシス阻害因子(caspase family inhibitor)の口腔粘膜上皮へ及ぼす作用を検討した。その結果,TNF-αが角質層を肥厚させた。同時にTNF-α添加によりBrdU取り込み細胞数とTUNEL陽性細胞数(
P < 0.05)が増加した。さらに培地にcaspase family inhibitorを添加すると重層したGE1細胞から角質層が消失した。これらの結果から,TNF-αがアポトーシスを促進させ口腔粘膜上皮の角化亢進を誘導することが推察された。
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