口腔扁平苔癬62症例について, 臨床的特徴を検討した。結果は以下のごとくである。1. 男女比1:1.8で, 87.1%が40~60歳台に認めた。2. 主訴は接触痛が最も多く, 次いで白斑であった。3. 71.0%が1年以内に受診していた。4. 全身疾患は51.6%にみられ, 全症例の41.9%がなんらかの薬剤を服用していた。5. 76.5%が金属パッチテスト陽性であった。6. 69.4%が多病変症例であった。7. 部位別頻度は, 頬粘膜66.2%, 下顎歯肉16.5%であった。頬粘膜病変の70.2%は両側性に認められた。8. 網状型が最も多く, 次いで白斑型であった。9. 著効11.8%, 有効35.3%, やや有効35.3%, 無効17.6%で, 有効率47.1%であった。ビタミンA剤, ステロイド軟膏, アルカロイド製剤それぞれの有効率は約50%であった。口腔扁平苔癬は局所的因子と全身的因子が関与している可能性があり, 副作用を考慮するとアルカロイド製剤の有用性が示唆された。
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