日本口腔粘膜学会雑誌
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3 巻, 1 号
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  • 最近の病因論を中心として
    川辺 良一, 藤田 浄秀
    1997 年 3 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
  • 神部 芳則, 内藤 浩美, 野口 忠秀, 赤坂 庸子, 矢尾板 英夫
    1997 年 3 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    ヒト正常粘膜上皮のうち舌背, 歯肉, 頬粘膜について9種類の抗ケラチンモノクローナル抗体 (AE3, AE5, 903, No5/6, No4, No13, 4.62, CK1, PKK1) を用いてケラチン分子種の発現状態を検討した。その結果, AE3, AE5, 903を用いた場合は舌背, 歯肉, 頬粘膜の全層が染色されたが, 他の抗体では部位によって染色像が異なった。ケラチン分子種の発現状態をまとめると舌背, 歯肉, 頬粘膜の3部位全てに発現していたのは角膜型ケラチンであった。これに加えて食道型ケラチンは舌背乳頭間上皮, 歯肉, 頬粘膜にみられ, 表皮型ケラチンは舌背と歯肉で発現していた。また単層上皮型ケラチンは頬粘膜に発現していた。このようにケラチンの発現状態の部位による違いが観察された。これらの結果から口腔粘膜の分化様式は極めて複雑に, また高度に組織化されていることが示唆された。
  • 辻野 哲弘, 前田 耕作, 井上 伸吾, 中島 英元, 原田 直, 田中 浩二, 杉山 勝, 石川 武憲
    1997 年 3 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    1980年1月より1996年12月までの16年間に, 当科で対処した血管腫性病変を有する患者110例の119病巣について臨床統計的検討をした。臨床的所見のみで92.4%が血管腫と初診時に診断され, 臨床診断は容易であった。発症年齢は, 生下時から79歳までにわたるが, 20歳未満が23%を占め若年者に多い傾向にあり, 男女比は1:1.6と女性に好発していた。部位別では, 舌例が最も多く32.8%で, 次いで頬部21.8%, 下唇19.3%, 上唇11.8%の順に多かった。主訴は腫瘤形成が74.1%で大多数を占めた。90%以上の例で摘出術を主とする治療を行い良好な結果を得た。静脈石は全症例の約10%にみられ, 2cm径大以上の大きな病変例に随伴する率が高かった。病理組織学的には, 78.8%の例が海綿状血管腫であった。
  • ThinPrep を利用した細胞収集法について
    寺崎 伸一郎, 沖永 繁章, 吉田 憲史, 小林 忠男, 亀山 忠光
    1997 年 3 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    ヘルペスウイルス感染症における細胞診は, 他の検査方法と比べると簡便かつ迅速な検査方法である。しかし, 口腔領域におけるヘルペスウイルス感染症では, 細胞採取に問題があるのかその正診率は低い。そこで今回まったく新しい細胞収集の原理をもつ, ThinPrep 法 (以下TP法と略す) を用いた細胞診を行なったのでその概要を報告する。対象は, ヘルペスウイルス感染症と診断され, 初診時にウイルス分離陽性であった10例で, その内訳は疱疹性歯肉口内炎6例, 再発ヘルペス3例, 帯状疱疹1例である。結果は疱疹性歯肉口内炎6例中3例, 帯状疱疹1例の計4例に細胞診が陽性, 再発ヘルペスでは全例陰性で, 全体で10例中4例 (40%) の正診率であった。これは以前我々が報告した通常法での細胞診の正診率 (43%) とあまり変わらない結果であった。今回まったく新しい試みであったため, その手技手法に問題があり, 必ずしも良好な結果は得られなかったが, 今後症例を増やし検討を行ないたいと考えている。
  • 塗谷 達, 東 みゆき, 榎本 昭二
    1997 年 3 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    接触性過敏症の抗原感作時のT細胞と抗原提示細胞間相互反応におけるCD80/CD86分子の発現およびそのリガンドであるCD28及びCTLA-4の抗原特異的T細胞活性化に与える役割について接触性過敏症モデルを用いて検討した。感作時の抗CD86抗体投与によって耳介腫脹の著しい抑制が認められたが, 抗CD80抗体投与では明らかな変化は認められなかった。組織染色では感作後の表皮から真皮に移動したLC上にCD86の発現が認められたが, CD80の発現は認められなかった。また, CD28と相反する抑制シグナルを伝達すると考えられているCTLA-4に対する抗体を投与したところ耳介の腫脹の充進が観察された。以上の結果から, 皮膚での抗原感作反応には, LC上のCD86がリンパ節内のナイーブT細胞との相互反応に重要な役割を果たしていること, またCD28だけでなくCTLA-4の機能も関与していることが明らかとなった。
  • 町野 守, 深美 優, 佐藤 範子, 柏木 康志, 藤沢 盛一郎, 田島 義文, 内海 順夫
    1997 年 3 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    白色海綿状母斑は, 1935年 Cannon によって報告された白色病変で, 口腔粘膜も含めてあらゆる粘膜にみられる疾患である。本邦では6報告がみられるにすぎない。遺伝性疾患と考えられている。組織学的に基底細胞層には異常が見られず上皮内の空胞化を伴った上皮の肥厚を特徴とし, 異型性や悪性像もみられない。白色海綿状母斑の本邦における7例目を報告し, 文献的考察を加えた。
  • 櫻井 仁亨, 朝比奈 泉, 丸岡 豊, 東中川 真木子, 戸田 ひとみ, 榎本 昭二
    1997 年 3 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    近年, 肝疾患と扁平苔癬の関係を示唆する報告が数々なされているが, 今回我々はC型肝炎に対するインターフェロン (IFN) 療法により口腔扁平苔癬の出現あるいは増悪を示した5症例を経験したので報告する。
    これら5症例に特徴的な臨床視診型あるいは病理組織学的所見はなかった。また, 用いられたIFNはIFNα2aかIFNα2bで, その投与量は様々であった。
    IFNが免疫系に作用することにより口腔扁平苔癬の症状を増悪させる可能性が考えられた。
  • 熨斗 利光, 堀内 克啓, 土田 雅久, 森本 佳成, 正田 農夫, 杉村 正仁
    1997 年 3 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    上唇部に発生したリンパ管腫に対して, Nd-YAGレーザーによる光凝固法を応用し, 著効をみた症例を経験したので報告する。症例は9歳の男児で, 右側上唇部の腫脹を主訴に来院した。同部に30×20mm大の腫瘤が触知された。生検による海綿状リンパ管腫の診断のもと, OK-432局注療法を行うも, 効果が認められなかったため, Nd-YAGレーザーによる光凝固術を施行した。術後, 経過良好で審美障害や機能障害は認められなかった。
  • 石垣 佳希, 佐藤 田鶴子, 秋山 眞一, 片岡 靖景, 白川 正順, 荒井 千明
    1997 年 3 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    今回著者らは義歯裏装材によるアレルギー性口内炎を経験したので報告する。
    患者は56歳女性。下顎総義歯の不適合を主訴に近歯科を受診し, 義歯裏装材にて調整を受けたところ口腔内の発赤, 下唇の腫脹を認めたため精査を勧められ当科に受診した。問診および現症より義歯裏装材によるアレルギー性口内炎と考え, パッチテストを施行し, モノマー (++), 混合ペースト (+) の結果を得た。
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