日本口腔粘膜学会雑誌
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9 巻, 1 号
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  • 伊藤 弘人, 神部 芳則, 王 軍, 草間 幹夫
    2003 年 9 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2003/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    遺伝子銃は遺伝子を導入する有用な方法である。Helios Gene Gun®は手持ち式であり, 局所に遺伝子を導入するために便利で, 効果的である。本研究の目的は, 遺伝子銃を用いてイヌの口腔粘膜に遺伝子を導入するための適切な条件を決定することである。実験方法; Helios gene gun ® を用いて種々の圧力でイヌの口腔粘膜 (舌背, 舌下面, 歯肉, 頬粘膜, 口蓋) にGFP (緑色蛍光タンパク) を射入し, GFP遺伝子の発現を分析した。方法はUVを照射し, 緑色蛍光の発色を検出した。結果; GFPの発現はイヌ口腔粘膜の全ての部位で観察できたが, 最も発現の高かったのは頬粘膜であった。射入圧力は200あるいは250Psiが適当であった。金粒子の深達度は頬粘膜で5mm, 舌下面, 歯肉で2mmであった。病理組織学的に, 組織の損傷は確認されなかった。
  • 松本 孝夫
    2003 年 9 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 2003/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    口腔白板症107例において, ATM, p53およびMDM2蛋白の発現と上皮性異形成の関連を免疫組織学的に検討し, in situ hybridization 法でATMおよびMDM2遺伝子の局在について検討した。口腔白板症107例は上皮性異形成が認められないもの9例, 軽度35例, 中等度30例, 高度33例に分類し, コントロールとして正常口腔粘膜上皮22例, 口腔癌組織19例を用いた。その結果, 正常口腔粘膜上皮に比べ, p53蛋白は, 高度上皮性異形成の白板症で有意に高い陽性率を示した。ATMの蛋白発現は, 軽度上皮性異形成の白板症で高い傾向を認めたが, 有意差はみられなかった。MDM2蛋白は, 軽度および高度上皮性異形成の白板症および口腔癌組織で有意に高い陽性率を示した。ATMおよびMDM2遺伝子は, それぞれ主に有棘細胞層, 基底細胞層直上を中心にその発現が認められ, 各々の蛋白発現と一致していた。
  • 清水 啓代
    2003 年 9 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2003/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    口腔白板症および口腔扁平苔癬の臨床診断のもとに生検あるいは切除生検を行ったそれぞれ285部位, 72部位について臨床診断と病理組織診断との不一致について検討した。その結果, 口腔白板症での診断不一致率は13.4%であり, 病理組織診断で扁平上皮癌と診断されたものが最も多かった。それらは舌に多く, 臨床型は erosiva type が大部分を占めていた。一方, 口腔扁平苔癬での診断不一致率は44.4%で, 不一致例では口腔白板症と病理組織診断されたものが多く, 次いで非特異的潰瘍であった。不一致例には扁平上皮癌と診断されたものが2例含まれており, いずれも歯肉に生じ, びらんを伴っていた。これらのことから, 舌でびらんを伴う口腔白板症と診断される病変では, 生検が必須であり, また口腔扁平苔癬と臨床診断されたもののうち, 非定型的な病変では生検が必要と考えられた。
  • 李 進彰, 村岡 重忠, 小林 正樹, 横山 路子, 西松 成器, 宗本 幸子, 渋谷 恭之, 梅田 正博, 古森 孝英
    2003 年 9 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 2003/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    口腔扁平苔癬 (OLP) は口腔粘膜に発生する慢性炎症性疾患で, 今なおその病因・病態が明らかにされていない。今回われわれは, 口腔粘膜にあるギャップ結合を構成するコネキシンに作用し, 細胞間のコミュニケーションを増強する働きをもつマレイン酸イルソグラジン (irsogladine maleate; 以下IM) の口腔扁平苔癬対する臨床的効果の検討を行い以下の結果を得た。対象は18例で, 女性が66.7%と多く, 発症年齢は50~69歳で70%以上であった。発症部位は頬粘膜が最も多く, 次に歯肉, 口唇, 舌であった。自覚症状の改善は13/18 (72.2%), 肉眼的改善度は10/18 (55.6%) であり, 臨床視診型では網状型の症例で高い有効率が得られた。
  • 本間 義郎, 河原 健司, 井上 聡, 横矢 重俊, 水沼 秀之, 土肥 雅彦, 久保田 英朗, 小園 知, 木下 靭彦
    2003 年 9 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2003/06/30
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    口腔多発癌を生じた紅板症の1例を報告した。患者は76歳女性で, 飲酒, 喫煙習慣はなかった。口腔内には広範な紅板症がみられた。生検の結果は, 軽度の上皮異形成であった。1年半後, 右頬粘膜に扁平上皮癌が生じた。7年半後, 正中下顎歯肉に扁平上皮癌が生じ, 放射線照射と化学療法が行われたが, 制御できず, 肺転移にて死亡した。
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