目的:非歯原性疼痛に対する薬物療法における副作用は,一定の割合で発生している可能性がある.本研究は非歯原性疼痛に対する薬物療法における副作用をレトロスペクティブに調査し,副作用発生リスクとなる薬物を検索することを目的とした.
方法:2018年11月から2020年3月に当院口腔顔面痛みしびれ外来で担当した患者を対象に,診療録から患者背景と使用薬物,副作用を抽出した.初期投与量以下での副作用の有無を従属変数として,ロジスティック回帰分析を行った.独立変数に疼痛治療薬(アミトリプチリン塩酸塩,カルバマゼピン,Ca
2+チャネルα2δリガンド,トラマドール塩酸塩)使用の有無を用いた.モデルの適合度は正判別率,モデルχ
2検定,Nagelkerke R
2,Hosmer-Lemeshow検定で評価し,ブートストラップ法を用いてモデルの検証を行った.
結果:123名中30名で副作用を認めた.非歯原性疼痛に対する薬物療法における副作用発生リスクとして,Ca
2+チャネルα2δリガンドの使用(
p=0.001,オッズ比(OR):5.61,95%信頼区間(CI):2.01-15.7)とカルバマゼピンの使用(
p=0.022,OR:4.02,95%CI:1.22-13.3)が挙げられた.
結論:プレガバリンやミロガバリンベシル酸塩などのCa
2+チャネルα2δリガンドやカルバマゼピンは添付文書に記載される初期投与量以下でも副作用を発症するリスクが高い可能性が示唆された.
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