日本口腔顔面痛学会雑誌
Online ISSN : 1882-9333
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ISSN-L : 1883-308X
3 巻 , 1 号
December
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依頼総説
  • Glenn T. Clark
    2010 年 3 巻 1 号 p. 7-19
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    This paper describes what is the evidence that BMS is a neuropathic pain disorder, and discusses how having this condition may change the brain of the patient and possibly alter their behavior. To confirm the presence of definitive neuropathic pain, the European Federation of Neurological Sciences suggests that a positive diagnostic test be added to the medical and examination data collected. Unfortunately other than tongue biopsy for small fiber nerve atrophy, no current test is adequate. There have been three studies (from two different laboratories) that suggest that while not all patients with BMS will show small fiber atrophy of the sensory nerve in the fungiform papilla, as many as 75% will be positive on this test. Next, there are multiple animal and some human studies that suggest the brain does indeed go through degenerative and adaptive changes when chronic pain is untreated. Specifically, anxiety increases, sleep disturbance is more prominent and neuronal changes promote hyperalgesia in the periphery. While most of the data on pain induced brain change is drawn from animal studies or human pain problems such as back pain and complex regional pain, there has also been one study on burning mouth patients that provides data consistent with the idea that chronic pains causes brain hypoactivity and reduced brain density.
  • 井川 雅子, 山田 和男
    2010 年 3 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    非定型歯痛(AO),非定型顔面痛(AF),舌痛症,口腔内灼熱性疼痛(BMS)は,器質的原因がほとんど認められず,心理的要因と強く関連して発症する傾向が高いことから,心因性疼痛,疼痛性障害,Functional Somatic Syndromes,特発性疼痛などという用語が用いられてきた.
    しかしながら,近年の脳科学の研究から,特発性疼痛のメカニズムの解明が進み,侵害刺激の入力がなくても,心理的要因(情動や認知)や過去の経験などが直接脳に作用して痛覚認知を修飾し,慢性疼痛の状態に陥る可能性があることがわかってきた.また,これらが中枢性の疼痛であることから,抗うつ薬や認知行動療法が奏効する可能性が高いことも示唆されている.
    本論文ではこれらの概念と,著者らが行っている薬物療法を具体的に解説する.第一選択は三環系抗うつ薬のアミトリプチリンであり,平均約80mg/dayを使用する.三環系抗うつ薬単独で奏効しない場合でも,抗精神病薬や炭酸リチウム,バルプロ酸ナトリウムなどの追加による増強療法で効果が得られる場合が多い.また,これらの特発性疼痛は再発する傾向があるため,再発予防のためには,疼痛が消失した後も約6か月から1年間の維持療法を行う必要がある.
    著者らは,舌痛症やBMSは,AOやAFに比較して治りやすいという印象をもっている.しかし,特に高齢者の難治性の舌痛症の中には,認知力やIQが低下した患者が散見され,数年後に認知症が顕在化する症例もある.治療のゴールを設定するためにも診断時に鑑別が必要であると考えている.
  • 大久保 昌和
    2010 年 3 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    目的:Burning mouth syndrome(BMS)の病因は不明であり特発性口腔顔面痛に分類されている.本論文の目的はBMSに関する文献検索から,最近の研究動向と提唱されている病因論,そしてエビデンスに基づき推奨されている治療法を読者に伝えることである.
    研究の選択:PubMed(米国医学図書館の電子検索システム)を用いてBMSに関連する論文検索を行った.また,抽出された論文リストの中から,過去5年間のレビューを中心に要約を行い,国際学会の意見や重要と考えられる最新の知見もあわせて吟味した.
    結果:“Burning mouth syndrome”のキーワードを用いた文献検索では2010年8月までの間に673編の文献が抽出された.病態生理に関する新たな知見に基づく専門家の意見は末梢のみでなく中枢が関与する神経病理学的な原因との考え方が有力である.治療法は緩和療法が主体であり,コクランシステマティックレビューにより管理の推奨がされている.
    結論:BMSに対する関心は過去10年間で急速に高まっている.しかしながら,病因が不明であることから診断基準の統一が図られておらず,その自然経過,長期予後に関する結論も出ていない.治療法に関しては非常に限られているのが現状であるが,利用できる証拠に基づく有害でない治療法を選択する必要がある.今後,病因の解明と治療法の確立のためのさらなる研究が必要である.
症例報告
  • 山崎 陽子, 新美 知子, 安藤 祐子, 川島 正人, 嶋田 昌彦
    2010 年 3 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は40歳女性である.初診時の主訴は左のこめかみや顎,後頭部や後頸部の痛みであった.平成14年に下顎右側第三大臼歯の抜歯を行ったが,直後より疼痛が出現した.耳鼻科にも受診したが明らかな異常は認められず,平成20年に当科へ受診した.
    疼痛の範囲や強度は日によって変化し,疼痛のため睡眠が困難であった.全顎的に歯肉の発赤およびプラークの付着を認めたが,ロキソプロフェンナトリウムを服用するも,疼痛の軽減は得られなかった.当科では慢性辺縁性歯周炎および左側非定型顔面痛と診断した.
    一般心理療法を行ったところ,日中の疼痛は軽減した.夜間の疼痛に対して立効散2.5gを処方したところ,睡眠可能となった.そこで中断していた歯科治療を再開した.歯科治療を行うと数日間疼痛が再燃したが,立効散の服用でコントロール可能であった.初診から約14ヶ月で,口腔内は機能的および審美的に回復した.
    考察:非定型顔面痛の発生機序は,いまだ確立されていないが,非定型顔面痛の発生要因には,心理的要因や神経学的要因などが提唱されている.本症例では,立効散が神経学的要因に対して効果を発揮したと考える.立効散の局所麻酔様作用によって一次神経の興奮が抑制され,中枢への情報伝達が減少し,疼痛が軽減したのではないかと考えている.
    結論:歯科治療を契機とした非定型顔面痛の症例では,立効散の使用は有効と思われた.
  • 安藤 祐子, 山崎 陽子, 新美 知子, 冨澤 大佑, 川島 正人, 嶋田 昌彦
    2010 年 3 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    症例の概要:症例は78歳の女性.食事および会話で左頬部に電撃痛が出現するようになった.近医にてカルバマゼピン(CBZ)200mg/日が処方されたが,胃腸障害のため服用を中止した.当科初診日に,ゾニサミド100mg/日を処方したが疼痛は軽減しなかった.翌月,脳梗塞発作で入院.以後約2年6ヵ月間,疼痛は消失していた.再来院時にCBZを100mg/日を処方したところ,疼痛は顕著に軽減した.約2ヵ月後,疼痛は増強し,CBZを200mg/日に増量したところ,ふらつきが顕著に出現した.そこで,ACイオントフォレーシス(AC IOP)を行ったところ,疼痛は軽減した.同日より,CBZに加え,漢方薬(立効散,五苓散)も処方した.約6週間後,疼痛が増強したため,CBZを280mg/日に増量し,さらに鍼治療を併用したところ疼痛は軽減した.約3週間後,疼痛が増強したため,ガンマナイフを行ったが,疼痛は消失しなかった.そこで,AC IOP,鍼治療,CBZおよび漢方薬による治療を継続したところ,約2ヵ月後に疼痛は消失した.
    考察:三叉神経痛治療において,CBZの副作用が出現した症例では,治療に難渋することが多い.
    今回,CBZ内服に加え,AC IOP,鍼治療および漢方薬の併用により,疼痛管理が可能となった.
    結論:治療に難渋する三叉神経痛患者の疼痛管理にAC IOPおよび鍼治療の併用は有用であると考えられた.
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