日本口腔顔面痛学会雑誌
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6 巻 , 1 号
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依頼総説
  • 井川 雅子, 間中 信也, 今井 昇, 池内 忍
    2013 年 6 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    目的:発作性片側頭痛(PH)は,自律神経症状を伴う一側性の眼窩,眼窩上部から側頭部にかけての短時間の激痛発作と,インドメタシンが絶対的に奏効することを特徴とする神経血管性頭痛であり,三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)に分類される.PHの患者は,群発頭痛同様,歯痛や顎関節症と誤認して歯科を受診することが稀ではない.本報告では,歯科を受診した慢性発作性片側頭痛(CPH)の4例を報告し,本疾患の特徴と鑑別点について文献的考察を行った.
    症例:2006年7月から2009年9月までに当科口腔顔面痛外来を受診した連続4例のCPH患者(男性2名,女性2名).症例1:25歳,女性.右眼窩部から頬部にかけての疼痛であり,顎関節症の既往があったため顎関節症の増悪と誤認されていた症例.症例2:61歳,男性.上顎左第1大臼歯の歯痛が主訴で抜髄が行われ,群発頭痛の診断基準とのオーバーラップ内にあった症例.症例3:57歳,女性.初期には結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)の診断基準とのオーバーラップ内にあり,時間の経過と共に典型的な形に移行した症例.患者は歯科治療が原因で発症したと認識していた.症例 4:76歳,男性.CPHと三叉神経痛の合併症例(CPH-Tic syndrome).
    結論:PHは非歯原性歯痛を呈する可能性のある神経血管性頭痛であり,インドメタシンの有効性により速やかに診断できる疾患である.不要で無意味な治療を行わないためにも,歯科医は口腔顔面痛の原因疾患の一つとして,本疾患を正しく診断できる知識を持つ必要がある.
症例報告
  • 前川 賢治, 古味 佳子, 窪木 拓男
    2013 年 6 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は,初診時56歳の女性で上顎左側第一大臼歯相当部の慢性灼熱痛を主訴に来院した.痛みは無麻酔下でのスケーリング・ルートプレーニングに端を発し,同歯を抜歯し一時的に疼痛は緩和したが,徐々に再燃した.患者の症状が神経障害性疼痛の診断基準に合致したため,三環系抗うつ薬を中心とした薬物療法,認知行動療法を行った.患者が毎日記録していた各薬剤の服用量の長期経過から,初診後8年の間に疼痛減少による服薬量の減少傾向が認められた.しかし,その後疼痛は再燃し,各薬剤の服薬量も再度増加した.そこで,2010年に日本で末梢性神経障害性疼痛治療薬として認可されたプレガバリンの服薬を開始した.継続記録していた服薬状況から,プレガバリン服用開始後現在までの3年間で,すべての薬剤の服薬量の劇的な減少が認められた.特に,本患者が疼痛の強い際に習慣的に服用していた消炎鎮痛剤の服用は,全く認められなくなった.
    考察:神経障害性歯痛に対する特異的治療法に関しては,未だ臨床エビデンスが不足している.今回,服薬量から本疾患患者の発症後16年間の症状の推移を評価したところ,プレガバリンの高い鎮痛効果が示されたと考えられた.
    結論:各種治療法で管理を実施するものの,疼痛症状の一進一退を繰り返していた神経障害性歯痛に対して,処方が認可されたプレガバリンの服用により,疼痛の劇的な減少を認めた1症例を経験した.
  • 安藤 祐子, 山﨑 陽子, 新美 知子, 井村 紘子, 細田 明利, 川島 正人, 嶋田 昌彦
    2013 年 6 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例の概要:56歳,男性.左側上下顎および頬部の疼痛を主訴に当科を訪れた.疼痛は食事や洗顔で誘発し,2∼3分間持続した.MRI所見で左側三叉神経根部に脈管の接触が認められた.以上より,左側三叉神経痛(第II·III枝領域)と診断し,カルバマゼピン200 mg/日を処方したところ,疼痛は軽減した.しかし,処方開始6週間後,肝機能障害が出現し疼痛も増強したため,カルバマゼピンを増量せずガバペンチン400 mg/日を追加したところ,疼痛は軽減し肝機能障害も改善した.処方開始14週間後,ガバペンチンの代わりにプレガバリン150 mg/日および桂枝加朮附湯7.5 g/日を追加したところ,疼痛はさらに軽減した.その後,薬疹のためカルバマゼピンを中止し,プレガバリンと桂枝加朮附湯のみの処方としたところ,薬疹は消失し疼痛の増悪もなかった.約1ヵ月後,桂枝加朮附湯は中止し,以降プレガバリンを600mg/日まで漸増し,疼痛管理が可能になった.その後,疼痛が軽減したためプレガバリンを漸減し,処方開始17ヵ月後には中止し,翌月終診となった.
    考察:プレガバリンおよび桂枝加朮附湯は,肝機能障害の発生頻度がカルバマゼピンに比べ非常に少なく,肝機能障害により治療に難渋した三叉神経痛症例に有用であると考えられた.
    結論:肝機能障害により治療に難渋した三叉神経痛の疼痛管理に,プレガバリンを中心とした薬物療法は有用であると考えられた.
  • 岡安 一郎, 鮎瀬 卓郎, 和気 裕之
    2013 年 6 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    症例の概要:患者は27歳女性(主婦).歯痛と歯の違和感を主訴に,2013年4月,「長崎大学病院オーラルペイン・リエゾン外来」を受診した.診察と検査の結果,口腔異常感症,顎関節症,知覚過敏と診断した.知覚過敏と顎関節症に対しては,それぞれ,保存治療とカウンセリングによる管理開始後,歯痛,筋痛ともに軽減した.しかし,その後,疼痛よりも違和感を強く自覚するようになった.心理社会面を中心とした医療面接と心理テストから,より専門的な精神面での対応が必要と判断して,当院・精神神経科と連携した.そこで,「身体表現性障害」,「うつ病」と診断され,薬物療法(抗うつ薬,抗不安薬)と精神療法が行われた.その後,疼痛,違和感ともに軽減し,当院での管理を終了した.
    考察:本症例のように,身体的な自覚症状は存在するが,詳細な診察と検査を行っても,症状を説明する他覚所見が見つからないケースは,心身医学・精神医学的な対応が必要とされる場合が多い.今回,精神神経科と連携して対応することで,短期間で症状を軽減することができた.
    結論:歯科医師は口腔医学および心身医学の知識と技術の習得とともに,診療に当たっては,精神科医や心療内科医をはじめとする医師との医療連携が必要である.当院では,2012年3月,「長崎大学病院オーラルペイン・リエゾン外来」の設立以来,歯科と医科との密接な連携を基本方針としたリエゾン診療を行っている.(600)
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