作業科学研究
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巻頭言
第21回作業科学セミナー佐藤剛記念講演
  • ボンジェ ペイター
    2018 年 12 巻 1 号 p. 2-13
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル 認証あり
    作業科学や作業療法の文献には,当事者にとって意味のある作業を可能にする目標に向かって,様々なストラテジーから構成されたアプローチが提案されている. そのような典型的アプローチの実施は,当事者にとって健康な生活やウェルビーイングのために,「作業の力」を十分に活用しているかという疑問を生じさせる. 本論文では,行動の中のナラテイィブ(Narrative-in-Action)方法論とトランザクション論(相互浸透論)を媒介(手がかり)にして,人々のおかれている日常の生活とセラピューティック場面から,機会がどのように生じるのかを探る. そのような計画されていない機会を活用することは,人々が病気や怪我の後,自分らしい生活への移行中であるとしても,そして,まだ達成されていない長期的な目標があるとしても,彼らが満足できる生活に近づくだけでなく,むしろ,彼らがそれによって健康やウェルビーイングを経験することになりうる.
第21回作業科学セミナー基調講演
  • カンターズィス サラ
    2018 年 12 巻 1 号 p. 14-37
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル 認証あり
    歴史的,社会的,文化的,経済的状態を含めた我々の社会的世界の構築は,一部の人々を不公正な立場に,つまり家族や地域社会で営まれる日常生活に対して完全な参加から排除する立場に置いてきた.「ソーシャル・インクルージョン(訳注:社会的包含,社会的包摂と訳されることがある)」という用語は,社会を変革し,「すべての人のための社会」を再構築するために実践するプロセスを意味する.しかし,これは複雑で多層的なプロセスであり,すべての人による変化を必要とする.この中では政策と経済の変化が不可欠ではあるが,地元の社会世界,近隣とコミュニティの公共の世界における変化が重要であることもわかっている.私は本日の講演で,集合体としての作業と私たちが行ってきた集合体としての作業に関する研究と実践がこれらプロセスの重要な部分であることを提案したい. まずソーシャル・インクルージョンの概説,次に集合体としての作業の概念,そしてインクルージョンと排除両方の状況を含む地域社会の構築と維持に対する集合体としての作業の貢献について述べる.その後,日本とヨーロッパの例を含めて,ソーシャル・インクルージョンを支える集合体としての作業がどのように発展するかを議論することを目指す.この発展に関して不可欠な部分は,公共世界の重要性についての理解,認識,参加市民権の概念の理解である.我々の地元地域やコミュニティにおいて集合体としての作業を通してすべてのソーシャル・インクルージョンが可能となれば,今日の社会において多くの人々が直面する生活上の不公正な状態に対処するために必要な社会変革の一助となるだろう.
第21回作業科学セミナー教育講演
第21回作業科学セミナー特別講演
  • 増川 ねてる
    2018 年 12 巻 1 号 p. 40-49
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
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    先ずは、この場に呼んでいただいたことに感謝です!  私にとって作業療法士とは、リハビリテ―ションの分野において、「意味」を扱える唯一の職種。作業療法とは、「意味」にアクセスできるリハビリテーション。そして、ヒトというのは、「意味」なしには生きていけない生き物。 そんな風に考えているので、この場で、「リカバリー」について、そして「WRAP®」について、みな様に話が出来ることを、光栄に、そして大きな好機と思って感謝です!  私は、精神疾患・精神障がい分野における、いわゆる「当事者」です。精神症状が日常的にあり、精神病院への入院体験があります。病気が元で差別偏見を感じたこともありますし、それがもとで居られなくなったコミュニティもあります。市役所でもやな想いをしました。でも、一番ショックだったのは、「現代医学では解明されていないので、治らないかも知れません」と言われた時だったと思います。「これが、ずっと続くのか」 と途方にくれました。19歳の時でした。   でも、今は、ほんといい時代になったと思います。 なぜって? それは、メンタルヘルスのリカバリーに関して、「WRAP®」があるからです。「WRAP®」は、リカバリーした人たちが、自ら開発した、リカバリーのための系統だったシステムです。医学では治せないかも知れませんが、「リカバリーした人たち」 は、現実に存在しています。  そして、実体験に基づく知恵を般化させ、誰でも使えるようにしたもの(それがWRAP®です!)が、存在しています!!「メンタルヘルスのリカバリー」と「WRAP®」。その関係を、私自身や、仲間たちの体験と共にご報告いたします。
研究論文
  • 小田原 悦子, 西方 浩一, 鴨籘 菜奈子
    2018 年 12 巻 1 号 p. 50-59
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は,障害のある子どもと母親がともに社会的存在として成長する過程を共作業の視点から理解することである.日本のある地方在住の重症心身障害児と母親の会に所属する母親にインタビューを実施し,参加観察を行った.母子の共作業は子どもの成長段階につれて変化し,子どもの作業的場所は母子,家族,社会へと広がっていた.従来の重症心身障害児・者の母子の共作業にみられた密着した関係と異なり,母子以外の他者を含み,子どもの社会参加が広がっていくことがわかった.この子どもがどのような社会的存在として成長しているのか,それを母親がどのように支援しているのか共作業の視点で理解する.
実践報告
  • 大松 慶子
    2018 年 12 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル 認証あり
    心疾患後, 臥床傾向となっていた 90 歳代前半の女性に対し,作業療法で,若い頃から続けていた短歌を詠むことを勧めた. 女性は「家庭人であり短歌を詠む人でもある」という自己イメージを持っており, 短歌を詠み始めてから周囲の変化に気づくようになった. そして,自己イメージに近づくとともに,生活を律する存在として自ら変化していった. 退院時は,自由を謡歌でき家族と医療・福祉職種とともに営む一人暮らしに帰ることができた. 女性の変化には,短歌を詠むことを促し,短歌を詠む人として接する支援が重要であった. また,この変化は,Wilcock による"doing, being, becoming, belonging"の過程に沿って,超高齢者であっても, 意味のある作業に従事することにより自分らしさと役割を取り戻し,なりたい自分になり,健康になれることを示していた.
短報
  • 安齋 哲也, ボンジェ ペイター
    2018 年 12 巻 1 号 p. 66-72
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル 認証あり
    【目的】日本の作業療法士および作業科学者が,高齢者にとってのまちや社会づくりをどのように捉えているかを,Age-Friendly Cities (AFC)の概念を用いて,その特徴を探索することである.【方法】日本における作業療法あるいは作業科学に関連する文献を対象に「作業の視点からみた日本の AFC」という概念を Rodgers の革新的概念分析の手法を用いて分析し,記述を行った.【結果】概念分析の結果,4つの特性,3つの先行因子,3つの帰結が特定された. 特性は【社会的基盤の強化】【住民への介入】【周囲の環境の調整】【作業の視点からの介入】,先行因子は【社会的問題】【周囲の環境の問題】【作業の問題】,帰結は【高齢者が安心できる】【公平性が担保されている】【作業の保障】がカテゴリとして特定された.【結論】本研究によって得られた対象概念の分析結呆は文献数の少なさや認知症者に関する文献に偏っていたことから暫定的なものである. 今後 AFC に関連する文献数を確保した上で,さらなる概念分析が必要である.
作業的存在
  • 中塚 聡
    2018 年 12 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル 認証あり
    てつおさんは,奈良県出身の漫才コンビ「笑い飯」の一人です. 本誌のインタビュアーとは,高校時代の同級生でともにサッカ一部に所属していました. 彼は高校時代,部活のサッカーでは全く目立たない存在でしたが,人を笑かすことには当時からかなりのこだわりをもっていて, 芸人になる前から周囲を笑わせていました. そんな彼について,自分が知っている彼と「お笑い芸人てつお」がどのように結びついているのか,人を笑わせるという作業の原動力が何なのか知りたくて,今回,インタビューをお願いしたところ,快く引き受けてくれました.
書評
資料
  • 森川 すいめい
    2018 年 12 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル 認証あり
    1960 年代,フィンランドの精神医療の中で「Need-Adapted Treatment」といった考え方が生まれた. 精神病院での病状が切迫したような急性期の初回面接時,それまでは,本人抜きで入院や治療方針が決まっていたが,アラネンらはその意思決定の場に本人とその家族を招き対話(ダイアローグ)した. ただこれだけで入院の必要性が4割に減った. この考え方は1981年に国家プロジェクトとなった. その影響を受けるようにして,1984年にオープンダイアローグが誕生した. オープンダイアローグは,フィンランドの西ラップランド地方ケロプダス病院を中心に1980年代から開発と実践が続けられてきた精神医療やケアシステム全体を総称したものである. 「本人のいないところで、本人のことを話さない」「対話主義」「即時支援」「リフレクティング」「病はひととひとの間に起る」「ネットワークミーティング」「Need-Adapted Treatment」「treatment の場面では1対1にならない」「自分を大切にすること」などといった考え方が,クライアントやそのご家族のニーズに徹底して寄り添いダイアローグを続けることによって大切にされていった. この実践が驚くべき成果を上げ国際的に注目されている. 例えば国の調査では治療を受けた人の約8割が就労か就学した(対照群では約3割). オープンダイアローグは,サービス供給システム, 対話実践, 世界観などのいくつかの側面からとらえることができる. この西ラップランドで開発されたオープンダイアローグを日本のそれぞれの現場で実践するにはどうしたらいいのか. 今回はそのヒントに迫るためにダイアローグの場をつくる.
  • 2018 年 12 巻 1 号 p. 98-141
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル 認証あり
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